1.3歳①

 この世に生を受けてから三年が経った、俺はもう3歳だ。


 自分でご飯食べて、お風呂入って、夜一人でトイレへも行けた。


 姉貴には「ユーリーが夜一人でトイレ行けるッ、私は5歳になるまで一人で出来なかったのに……」と謎に色んなことに対して対抗心を燃やして、結果は気負いするのだ。


 それともう一つ、今までは呂律がうまく回れなかったけど、やっと喋れるようになったぞ!うおおおお!!


 俺はどうやら、もう自分の生きていた世界とは別の世界へ産まれてきたらしい。そう、異世界だ!!


 夢にも見た魔法が、この世界には存在する。この世のものは全員魔力を持ち魔法を使えるみたいだ。


 しかし、魔力が足りなくて魔法を使えないといった例外は存在する。


 自分はそうではなくて良かったとりあえず、自分でこっそり魔法を何度も使ったが、問題なく使えた。


 もちろん、こっそり村にある図書館の魔導書を読んで独学したのだ。


 まぁ、この話はどうでもいい。


 この世界での俺の名前はユーリー、家族はお袋と姉貴と3人暮らしをしている。お袋の名前はマリア、姉貴はメアリー。


 親父はどうやらお袋が俺を産む数ヶ月前に、戦死したという届けがあったみたいだ。


 みたいだと不確定なのは、遺体がないのが原因である。


 親父は俺たちの住んでる国【王国】で百人隊長を任せられるほど腕がある兵士だった。しかし丁度村へ帰ろうとした時、隣国が攻めてきたため、その数もかなり大規模な戦となれるほどの軍隊を引き連れて。


 緊急招集で王国も兵つわものを集めれるだけ集めた、そして両軍はぶつかり合い、結果的に王国は勝って平和は訪れたのだが、戦での王国軍の犠牲者の数もハンパではない。


 隣国はほぼ全滅して撤退、勝利した王国軍も8割の損害を被った、人員的損害だ。


 その日を国王は記念日と定め、王国のために命を賭けて守った兵達の魂を休めるために。


 しかしその中で、一隊だけ行方不明になった隊があった。


 それが親父が率いた百人隊だ、人数こそは多くはないが精鋭が集まっていた。王国軍の中でも5本指に入るくらいの強さを誇る隊だ。


 その名はベイリー隊、親父の苗字を継いでいる。親父の名前はジョージ・ベイリー。


 別働隊として敵本陣を奇襲する任務を遂行して、敵本陣の奇襲に成功して敵は退却を始めたのだが、その時天から稲妻が落ちたと言われている。


 丁度稲妻が落ちたのが、敵本陣を奇襲成功した別働隊のところで、本隊は急ぎ生存者を探しにいったところベイリー隊の剣だけが落ちていた。


 お袋はそれを聞いて一晩泣いていたと村の人が噂していた。お袋は姉貴に親父が死んだとは話していないらしい。親父は遠いところへ行って俺たちを見守っていると。


 クソが、どうして前世も今世も俺のお袋は苦しい目に遭わなきゃいけないんだッ、クソッ!


 よし、決めた。今度の人生は、お袋と姉貴。家族を悲しませない様に、立派に生きようと。そして、家族の大黒柱となる為に、これから頑張る所存だ。


 そうと決まれば、もっとこの世界のことを知らなくては!将来家族を養うために必要なことを知らなくては。


***


 1ヶ月間、この世界の事についてお勉強をしました。


 何故こんなにかかったのかって? それは……姉貴がずっと構ってきて相手になっていたので、半分くらいは姉貴の遊び相手になってたね。


 まぁ、基本的におままごとをしてたんだけど、いつもパターンが同じ。


 俺がお父さん役で姉貴がお母さん役、そして他にはオモチャを子供と例えるまではいいんだけど、いいんだけど会話の内容が問題なんだよ。


 まず設定が、俺は家庭主夫で姉貴は家族を養う為に出稼ぎに行ってる。あれ? この世界って女性が社会出るのが普通なの?


 いや、性別差別じゃなくてあの、現代という世界において日本でも徐々に女性の社会進出が進んでとてもいいと思ってるんだけど、なんか異世界って基本的に昔の世界観って感じじゃない?


 いや女騎士や女魔導士とか沢山あったわ、異世界は現実より女性の社会進出が活発だった。


 まぁいいや、で帰ってきた姉貴に俺が「お帰りなさいあなた」って言う。


 男が「あなた」って言うのおかしいと思うけど強要されたからしたけど、その次が衝撃なんだ。


 「ああ、ただいま。今日も疲れたよ、愛しの君に癒やして欲しいかな?」


 あれ? なんかセリフキザっぽくないかい? コラ、誰が姉貴にそんなキザなセリフを教えたやつは!


 しかし姉貴はまだ幼さがあるけど、将来美人になりそうなのは確実だけど何故かカッコいい。カッコいい系女子なのだ。


 しかしそれを耳元で囁かれると、俺ダメになっちゃうんだ。


 実は俺Mだから、迫られると割とあの……うん、男だけど割と脳みそ乙女だから。


 年上系の女性にいじめれたいと言う性癖が前世からある。これは転生しても変わらなかった。


 そんな風に姉貴に至近距離で顔を見つめられて、愛を囁かれて思わず顔も脳みそも蕩けていたところ…


 『おいコラ!しっかりしろ!こいつはお前の姉だぞ! 姉弟で男女の情は持ってはダメだ!』


 はっ?!そうだった!危うく俺は将来一線を越えそうに危機を把握して、それを避ける為に正気を保つ!しかし……


 『くくく、よいではないか、良いではないか。姉といえど、将来お前好みの女になるんだ。周りの目なんて気にするなよ。近親相姦をした神もいるんだから気にすんなよ』


 やっと正気を保ちかけたところで、天使の自分を悪魔の自分が再び禁断の世界へ踏み込む様に唆す。


 そ、そうだよな。愛が有ればいいのさ!


 『だ、ダメだよ!そんなことはきっと良くない!』


 天使の自分がなんとか悪魔の自分に反論しようと試みるも、何故か具体的な根拠が湧かないまま反論した。


 『くくく、そんなこと言っちゃって実はお前もそういう世界に興味があるだろ……コッチ来いよ、いい事しかないぜ……くくく』


『そ、それは……』


 悪魔の自分の囁きに天使の自分が言いくるめかけられていた。


 『一歩越えちまえばどうって事ねぇよ、どれお前の頭の中覗いてみるか……』



 悪魔の自分が天使の自分の脳みそを覗き込むと……






×××××××××××【18禁の世界】×××××××××××××






 『お、おう。なんだ?こいつ俺よりいけない事想像してやがる……アッ、そ、そんなことまで……イケナイッ……』


 天使の自分の頭に中を覗いた悪魔の自分が蕩けた顔をしていた。そして制止するものがいなくなった俺は…


 ダラッーーーー


 「きゃーーーー!!!おかーさーーん!ユーリーが鼻から血を流してるーーーー!!!」


-数分後-


 「全く、ユーリーったらどうしたの?急に鼻から血ぃなんて出すからビックリしちゃったじゃない」


 俺の顔を両手で包みこんで、鼻血が止まったのを姉貴は確認していた。


 あぁ、やばい…両手で俺の頬を包み込んで……


 ポッ……


 「あれ?どうしたのユーリー、顔がとても赤いy……」


 姉貴は急に両手で包み込んでいた俺の顔が急に熱くなったのを感じるとまた焦って大声を出した。


 「きゃーーーー、おかーさーんー!ユーリーの顔がとても熱い!熱出したみたい!」


***


 はい、やっと落ち着きました。いけませんね、このままだと自分はシスコン確定になってしまって将来危ない事するかも。


 他の『年上のお姉さん』を見つけて、情をそっちに移さないと。将来姉貴を襲ってしまうかもしれん。


 前世でも、付き合ったことある彼女は年上しかいなかったけど、最終的には異常なほど年上にいじめれたいM性質な俺に気味悪く感じて別れてしまった。


 姉貴に迷惑はかけてはイケナイ……イクナイ……




 まぁそんな話しはどうでもいい、話しを戻すが俺はこの世界のことを色々知った!


 この世界でポピュラーかつ稼げる職業とは即ち、騎士!魔術士!そして使用人である!


 これらの職業はとても需要が大きい。まず騎士と魔術士は戦争が起こるとき、言葉は悪いが死人が出やすくて雑兵が常に必要。この二つの職業には階級があり、生き残って功績をあげれば挙げるほど収入も増え、いずれ地位を得たりすることが出来る。


 しかし地位を貰えるほど活躍した騎士や魔術士はそれぞれ一人しかいなかった。そこまで辿り着くまでに人が死んでしまうからだ。


 稼ぎが多い分、リスクも大きい。


 そして次に使用人、これは貴族たちの身の回りを世話すると一見普通の職業なのだが、使用人にも種類があり、身の回りを世話しながら護衛をしたり、稀に使用人が実はご主人の私兵部隊で暗殺をすることもあると言う。


 しかし内乱が無くなってから、ここ百年間そういった存在は確認されてないと言われてる。


 まぁ、多分まだあるが暗殺部隊を擁しているなど大々的に言ったりはしない。表からは消えた存在だろう。


 しかし、そうだな。魔法はどうやらこの世界の人は全員使えるが、魔力量や適正が高い低いもある。


 騎士とは魔術をうまく使えないものが目指すもので、魔術士は魔術をうまく扱えるものがする仕事だ。


 その中でも、魔術適正が高く、剣にも精通していると魔剣士といった職業もある。


 この職業は魔術士の一種として分類されている。


 そうだな、なんか魔剣士ってのが1番強そうだからこれから魔術と剣を極めていこうと思う!


 さぁ!俺のトレーニングライフの始まりだ!!!


 えいえい、おーー!


 「ユーリーったら、掛け声を掛けながら急に腕を上げでどうしたの?」


 気合い入れたところを姉貴に見られていた、なんか恥ずかしい。

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