アカノの喪失と喪心

「私たちも舐められたものじゃ…一度ならず二度までも虚偽報告とはな…【宝珠】だがな、アカノが殺気を放ったと同時に起動させておるわ!!」





その言葉を聞き、ライアは驚愕している。





「疑わしき者に今から使用しますよと言う訳がなかろう。先程既にギルドマスター権限の基に使用の宣言をしているであろう?」


そう言いながら後ろに控えさせている女性から【宝珠】を受け取りながら伝言を受ける





「お前が虚偽を放った箇所はクロノが煙幕を使用しお前たちを逃がした部分と、SS級のプライドの為に虚偽報告を行ったという2点じゃな…【真祖】と出くわした点が真実であるというのは私の立場からすると受け入れたくない事実ではあるが…」





「そんな事はどうでも良い!!!クロノはどうした?!!クロノは生きているのか?!」





私は今度こそ鞘から剣を抜いて構えて伝える


「もし、次に嘘を言ったら、どんな事であれ…覚悟しろ…」





剣に魔力を込める


赤い炎が私の剣を纏い、周囲を威圧する


だが、そんな事はどうでも良い…


私が知りたいのはクロノの事だけだ





「まぁ、これ以上はフォロー出来んかのぉ…これまた仮説じゃが…クロノは煙幕でお前たちを逃がさなかった。神と同一視される【真祖】たる存在が何の手段も用いずに逃がす筈がない。という事は…見逃された…?」


ルナエラのその発言により3人の表情が強張る





何故かその表情と相対的にルナエラ自身の表情も強張る


「とすれば、クロノだけを見逃さなかった?何故……いや先程のヴァリアのメンバーを貶める発言とSS級のプライドをもってしてのという部分が虚偽だとすると…保身…」





その瞬間、ルナエラ自身も身体全体に魔力を纏う


片手を上げて手の平に雷属性を凝縮した魔力を込める


「貴様等…クロノを、?」





仮説と言いつつ魔力を込めて威嚇しているという事は確信に近いのだろう


私も剣を構えながら3人の一挙手一投足を見逃すまいと凝視する





「答えよ…クロノ=エンドロールをどうした?先に告げておくがこの回答が虚偽であった場合はギルドマスターとしてこの魔力を放出して制裁するものとする。」





そう告げられた3人は震えだし、互いを見合わせる





その後ローエルは観念したのだろうか?一歩前に進んで叫びに似た哀願で縋ってきた


「待ってくれ!!【勇者】として国の為にも危害を加えられる事は認められない!!」





その言葉を聞いて冷ややかな目でルナエラは答える


「私は真実を知りたいだけじゃ。虚偽報告に次ぐ虚偽報告、掘れば掘る程にろくでもない事態となりよった。貴様等が真実を答えれば私は手を出さぬよ。」





ローエルは観念したのか目に力は入っておらず、俯きながら「…した」と何かを呟く





「なんじゃ、聞こえんぞ?しっかりと報告せい!!」


ルナエラの魔力密度が一層濃くなる





「殺した!!クロノは俺たちが殺した!!あいつは役立たずだった!!しかも【真祖】と遭遇させる様な不吉のしょうちょ…ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ----------!!」





私が剣を振り血を払うと同時に、外道の肩から左腕が床にボトンという音がして落ちた





「言ったじゃろう?私は真実を答えれば手を出さぬ、と…」


そう告げたルナエラの口調も私の耳には遠く聞こえる








この感情を何と言えばいいだろう…?





絶望?憤怒?狂気?怜悧?


どれも似ている様で何か違う…











私は、最愛の弟を、仲間だったモノの手によって、失った…

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