第21話 その3

「廿日さんはものすごい剣幕で電話してきてね、今は防犯のために自動で会話内容は録音されるの。それを今朝聴いて、先生に話がまわってきたというわけ」


「どうします、全校集会で止めるように言いますか」


「それも手だけど、とりあえず実態調査をします、と返事をしておきました。もうひとり、青草くんにも事情を聴くから、昼休みもここに来てください」


「もうひとり? はっちゃん、いえ廿日さんは?」


「青草くんにも聞いてほしいからあとで説明するわ。では、教室に戻ってください」


なんかわからないけど、とりあえず教室に戻り授業を受け、休憩時間に3人に何があったか話す。


「舞ちゃんもそう言ってました…、それでしばらく部活休むって…、夜にメールがあったの…」


「ビトーちゃん、はっちゃんと連絡とれる? メールしてるんだけど、既読がつかないのよ」


「あたしもです…」


 わけがわからないまま昼休みとなり、はっちゃんに会いに1年のクラスに行きたかったが、約束があるので生活指導室に向かう。


 葵先生とともに究のいる化学部に着くと、究に昨日の話を訊ねた。あたしの話とほぼ同じである。


よけいな事を……、ボソッと先生が呟いた。


「廿日さんは、そんな破廉恥な学校には通わせないって、娘さんを休ませたの。それどころか風紀を正さないと転校させて、学校を訴えるとまで言っているのよ」


あたしは仰天した。


「そんな事になっているんですか!! え、あ、じゃあ今日ははっちゃん、来ていないんだ」


あたし達だけに話を聴くという事態を、ようやく理解した。


いやいやいやまてまてまて、これはひょっとして大事になってないか。

当事者の究は、なんでそんな事になっているんだと、きょとんとしている。まだ自分のした事を理解していないらしい。

もし、はっちゃんが転校したら、お前のせいだからな。


「どうします」


腕を組んで窓の外を見ながら、考え込む先生に訊ねたが、返事はなかった。どうしよう。


「……よし、紅さん」


「はい」


「あなた方で、この問題を解決しなさい。なるべく早く、いいわね」


ま、丸投げ!! そんなぁ


「ち、ちょっと先生、それはあまりにも無責任ではないですか」


「そのくらいやりなさい、先生が高校生の頃、これより大きな問題を生徒だけで解決したのよ。元をただせば、スカートめくりが発端でしょう。やりなさい」


口ごたえは許さないとばかりに言われて、どうやら反論は無駄のようだと諦めた。仕方なくやると返事をする。


「それと、今夜家庭訪問するから、ご両親に連絡しておきなさい」


それだけ言うと、先生は職員室に戻っていった。呆然としたあたしと究を残して。

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