第6話 その2

 あたしは、いわゆるグループには属していない。


 タカコがからんでくるから、シューガールに入っていると思われているらしく、ゆえに他の女子がめくりにくることはない。


 これは、タカコとカトーちゃんのおかげである。


 読モでインフルエンサーのカトーちゃんには、多くのファンがいるので、彼女に嫌われたくないと遠慮しているから、ちょっかいを出さないのだ。


 ただし人気のある者に妬む者は、どこにでもいる。


 カトーちゃんには敵わないから、シューガールのマスコットであるビトーちゃんと、異物感のあるあたしをターゲットにして、ちょっかいを出してやるとなるのだが、それの壁になっているのがタカコである。


 妬んでひがむヤツってのは、独特のオーラが出ているらしく、それを敏感に感じとってソイツに話しかけ、ガス抜きをしているのだ。


 正規のクラス委員ではないが、裏のクラス委員としてタカコは君臨している。らしい。


 おかげで、女子には遠巻きでじろじろ視られるだけで済んでいるのだが、男子まではそうはいかない。


 録画状態のスマホを床に滑らして、スカートの下をすり抜けさせようとするヤツ。


 階段下で待機するヤツ。


 前や後ろで物を落として、拾うついでに覗こうとするヤツ。


 2人組で片方が足を引っ掛け、あたしか相方を転んだ拍子に覗こうとするヤツ。


 そして実力行使で、ダイレクトにスカートをめくろうとするヤツ。


ヒマか、ヒマなのか、そういうことに頭を使うくらいなら、勉学に励めよ。


 そんなに見たいか秘密の花園を、シークレットベースを、君がくれたものを。セーラー服を脱がさないでよ。


「言っちゃあ何だけど、ネットで検索すればそんなもの見放題でしょうに」


 あたしのぼやきに、カトーちゃんが、ちっちっちっと指を動かす。


「そりゃ、女の子の○○○を見るだけならそうだけど、これに[うちの学校の]とか[クラスメートの]とか[あげはの]とかが付くとプレミアが上がるのよ。男ってそういうイキモノなの」


 カトーちゃん、なぜにそんなに達観しているのだ……。


 こういうのが続くと、究が変態なのか、一般男子が変態なのか、分からなくなってくる。


 今日も何とか乙女の秘密を死守して、帰宅する。

家事のルーチンをすますと、両親共に遅くなると連絡があったので、3人で食事をすませて、お風呂に入ることにした。


「オレも一緒に入る」


「たてははもう一人で入れるでしょ。先に入りなさい」


「みんなで一緒に入ろうよ、その方が早く寝れるじゃん」


 魂胆はみえみえだ。あたしの裸というか、おっぱいを見たいだけだろうに。


 まったく、歳に関係なく男ってのは、おっぱいに吸い寄せられるな。若くてぴちぴちしたおっぱいがそんなに好きか。


 いや、たてはは10コ下だから、歳上好きになるのかな? コイツは歳上の熟女好きなのかな、って誰が熟女だ!!


 なんかもう、考えるのが馬鹿馬鹿しくなったので、結局3人で風呂に入ることにした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る