第20話 12月21日

 青々とした群青色の機体は、青白い光りを放ちながらペルー上空を飛翔する。

 友軍機だ。

 大気圏内用の仕様になっており、脚部がジェットエンジンと、燃料タンク。マニピュレータは最低限、細くなっており最低ラインの武器を保持できる。戦闘機のそれを模した機体は、着艦用のタイヤを露出させている。

 この基地に着陸しようとしているのだ。

 制圧したペルー南東の基地はアレキパ空軍基地である。航空戦力を呼び寄せると、俺は制圧した基地からの脱出を考える。

 俺の機体は本来、宇宙用なので、宇宙への出口――マスドライバーか、宇宙エレベータが必要になってくる。

 マスドライバーが磁力の力を利用して加速する、レールガンと同じ技術が使われいる。

 宇宙エレベータは地上から宇宙に向かって伸びる一本のエレベータである。

 そのどちらかでなければ、宇宙への離脱ができない。機体を捨てればいけなくはないが、愛機を捨てるほど情が薄いわけでもない。

「どうよ。地球の空気は」

 アルメッシュ少佐はこちらに向かって歩いてくる。

「うまいですね……。初めての母星にかえってきた感じがあります」

「ははは。冗談がうまいな。こんな荒れ果てた土地で、うまいわけがない」

 俺の意見を無視して会話を始めるアルメッシュ少佐。

「これでも空軍トップエースパイロットなんだぜ。お前の力も見てみたいものだ」

「こちらは宇宙軍ですので、対応できかねます」

「まるでエリート気取りだな。それで地べたを這いずっているおれを見下しているつもりか?」

「い、いえ。自分は。そんなつもりじゃないです」

 エリート思考というものがある。宇宙に出た人類こそが新たな世界の幕開け。世界をリードするのは宇宙に暮らす人類革新者と呼ばれている。

「はっ。その鼻っ面へし折ってやる。演習開始だ!」

 こうして俺とアルメッシュ少佐は演習を始めることになった。


                          ~続く~


※※※


 AnDの地球での活躍を描いてみました。

 宇宙に進出した人類が、地球出身者ともめる――戦争になるというのはとある科学者によって仮説としてあるのです。すでに予見されている内容ですので、ありえないとは言い切れないんですよね。

 実際、宇宙で暮らすのは色々と不都合が生じやすいので、マウントをとりたがる人も出てくるでしょうね。

 宇宙で暮らすということは、それだけでリスクもありますし、今のところエリートしか行けないイメージがありますし。

 その劣等感などを描いてみるのも面白いかもしれない、と思ったしだいです。

 AnDはいろんな見方ができてとても面白いと思います。


 ではでは。

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