第6話 彼女の夢

「許して、お願いですからっ!」

 私のお母さんとお父さんは冒険者の手によって何処か知らない土地に売り飛ばされた。


 私は森を死に物狂いで逃げる。お母さんとお父さんが身を持って守ってくれたこの命。肺がはち切れそうになるまで逃げ続ける。


 暗い森の中、私の上がった息の音だけが響きわたる。そしてあいつらが近づくと息を殺して隠れる。



「!?」

 私は目が覚めた。偶に酷い夢を見る。

 彼の腕に巻きつけていた古着を懐に手繰り寄せ、顔をうずくめる。そして私は彼の夢を見る事を願って、また深い眠りについた。

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