第5話 戦争勃発
敵対派閥との関係が悪化し、何百もの冒険者が駆り出され戦争に発展した。僕もその一人で、彼女のいる西の森の守護を任されていた。僕を含めて10人のパーティ、彼女の住む古屋よりも遠くに防衛線を張り敵の侵略を阻止する。
「ったく、またお前かよ。」
聞き慣れた声、そう、あの時僕にカースをかけた張本人。
「のたれ死んだと思ったが、しぶとい奴だなぁ。」
奴は余裕の表情をかまし、大樹に寄りかかっている。
「ここは通さない。」
その言葉と同時に、僕は一筋の風の様に疾走し攻撃を仕掛けた。
「面構えが前と違うな。」
僕は今という時間を守るためだけに戦う。
衝突しては距離を置きの繰り返し、同じAランク同士凌ぎを削っていた。やがて奴は左手を僕に向けカースでの攻撃を仕掛けてくる。黒紫の光を躱しながら、奴との距離を詰める。
もうすぐ届くその時だった、奴は僕の剣を右手で受け止め、同時にカースをかけてきた。相打ちだ。
僕はたちまち動けなくなり、彼は腕を押さえながら、こちらに近付いてくる。
「あの時、徹底的に息の根を止めなかった事が間違えだったな。」
奴が近づいてくるが僕の四肢は動かない。僕はここで終わるわけにはいかないんだ。ここを通してしまえば、守りたい者を失ってしまう。もう同じ過ちは犯したくない。
僕はまだ彼女の名前を呼んでいない。
僕は身体全体に魔力を巡らせ命を燃やす、人生史上最大の雄叫びを上げながら立ち上がった。
「ぐあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
よろけながらも、無理やり剣を握り締めた。奴は僕の行動に目を丸くして口をあんぐり開けている。僕は自分の身体から蒸気の様にオレンジ色の魔力が溢れ出ている事に気付かない。
そこから一瞬だった。力を振り絞り地を蹴る。疾風を巻き起こす様に飛び出し、奴の首を断った。
カースは解け、その代わり魔力の使い過ぎで膝をついてしまう。
僕は今日一歩踏み出してみせた。
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