第14話 第一回脳内会議
みんな〜、アリスンだよ〜。
今日は第1回多重人格会議をするよ!
今日のゲストはこの5人!
まずは、最初の人格騎士隊長ガウウィンさん(以降“ガ”)。執事メルギフ(以降“メ”)さん。魔女代表グレーテル(以降“魔”)さん。賢者代表ダヴィンチ(以降“賢”)さん。一般人代表梅子おばあちゃん(以降“梅”)。でお送りします!
アリスン:「皆さん...ハスウェルの呪いで騎士科になりました....。どうしましょう?残り5年実力を隠して生きていくべきでしょうか?」
魔:「当然、隠して過ごすべきじゃないかしらん。何事にも目立つ杭は打たれるっていうし?
私なんて魔女狩りよ!?たくさん人助けをしてあげたのに、最後は火あぶりなんてありえないわっ!
私の魅力がありすぎて、勝手に民草が私の元に集まってきちゃっただけなのに『傾国の魔女』なんて言われて。
歯が黄色くて髪が縮れた汚い
ほんとっに、頭に来ちゃう。 (プリプリ、ぷんぷん) 」
梅:「そんな汚い言葉を使ってはダメじゃよ、美しい娘さん。
きっとその坊やも、焦ってたんじゃろう?
どの時代でも程度の違いはあれど、足を引っ張りあうものじゃ。」
魔:「足を引っ張るどころじゃないわよ、おばあちゃん!
殺されてるのよ、わたし。
しかも、あの汚物を坊やなんて、反吐がでるわ!ぺっぺっ。」
ガ:「どんどん陛下を表す言葉がひどくなる....。魔女よ、不敬じゃないか?」
魔:「あんたの時代の陛下がどんな奴か知らないけど、私の時代は、犬のう○ちよ!
私の中であんたは見てたでしょ!?」
ガ:「.......。」
メ:「確かにあの方は、白銀の城に似つかわしくない方でしたね〜。良くて、城の中の塵?ってところでしょうか。
よくあなたは、そんな方の治癒をしたものです。私なら手遅れですって捨ておきますね。
目に優しくない公害です。」
賢:「そんなにひどい外見の王様なんていたんですか?
グレーテルさん、記憶を共有しませんか?その王様見てみたいです。
普通、王族は美人美男子の掛け合わせですからブサイクは生まれないのが世の摂理でしょう?
とても興味深いです。」
魔:「嫌よ!思い出したくもないわ。
メルギフあなたが共有してあげなさい!えっ、いや?
じゃあ、騎士のおっさん!」
ガ:「覚えてない...醜悪な方だったと思うが、細かく容姿なんて覚えてないぞ。グレーテルの時代からもうすでに1000年は経ってる。」
賢:「そうですか、残念です。」
梅:「うちの陛下も、いい男じゃなかったねぇ、優しそうではあったけども。言うなれば、独特じゃった。」
アリスン:「みんな!今は王様の容姿なんてどうでもいいんだよ!私の進退を話し合って。」
全員:「「「「そうだった(じゃった。)」」」」
アリスン「わたし、手加減って苦手なの。
みんなの人格が合わさって、今の私がいる。みんな基本ポジティブか、事流れ主義でしょ?ガンガンいこうぜっとか、何とかなるって感じだったでしょ?
おばあちゃんも若い時はブイブイ言わせてたじゃない?」
賢:「確かに梅子どのは、すごかったです。相手が複数人いても、ブッキングすることなくのらりくらりと波風立てずに人生を全うしていましたね。会社も経営して軌道に乗ってましたね。」
メ:「いつか刺されると思ってましたよ。」
梅:「若気の至りじゃ。最後は爺さん一筋じゃったがね。爺さんは、ひだまりのようないい男じゃった。」
アリスン:「梅ちゃんの人生を振り返らなくていいからっ!」
メ:「それでは、まじめに話しましょうか。
私でしたらちょうど中間に調整をします。
私の人生は主人の横暴や無茶振りに、ひたすら耐える人生でしたので。5年くらい能力を隠しながら過ごすくらい耐えられます。
目立ちたくないのでしょう?」
魔:「えー、わたし5年は耐えられないわ〜。自由に動きたいし、痛いのやだわー。
わたしに一撃でも入れられたら細切れにしてやるわっ!!」
ガ:「メルギフは、耐えていたってわけじゃなくないか?
執事のかたわらに、商売に手を出して主人より資産家になっただろう。
それで、主人に命令されながら『私より貧乏人のくせに、うるさい豚ですね。』って思いながら嬉々として働いてたじゃないか?」
賢:「メルギフさん、性格ねじ曲がってますね〜。」
ガ:「そもそも私は、別に実力を出しても構わないと思うぞ。私の時代の女騎士は、強かった!
まあ、俺の時代は科学技術が半端なくてほぼ実力っていうよりも武器や道具をうまく使える奴が強かったからなぁ。」
賢:「僕は、隠せるなら隠したほうがいいと思いますよ。無双になると、人は無尽蔵に頼ってきてしまいます。結果僕は過労死です。
まだ、地方を発展させるための法案を練ってる途中でした...。民たちは、そのあと幸せになれたのでしょうか。それだけが後悔してます...。」
梅:「じゃが、お前さんは、苦しんでる民を見ると手を伸ばさずにいられない性格じゃったからのぉ。
全力を出して改革したことは後悔してないんじゃろ?過労死するのが遅いか早いかの違いじゃ。」
賢:「そうですね、その通りです。」
梅:「魔女狩りにあった娘さんは、よっぽど運が悪かったんじゃ。
嬢ちゃんが騎士として頭角を表しても、何でもかんでも命令を受け入れなければダヴィンチ坊やみたいに過労死せんじゃろ?
適当に身体強化の魔術を使いながら、無双してしまいなされ。
今の世界なら、アリスン嬢ちゃんに勝てる国すらないじゃろうて。
何度も何度も生きて、ただでさえ苦しい思いをしてるんじゃ。今生きてる時くらいは我慢せんでいいじゃろう。」
ガ:「確かに、今の世界なら人間兵器だな。
誰もお前を殺せない。
今世は、思うがままに生きろ。何かに耐えるのは、俺たちじゃ無理だ。
メルギフだって、はたから見たら辛抱強いって思われてたけど、心ん中真っ黒だったしな。嬢ちゃんは、素直だから負けてやりながら『実は私の方が強いのよ、あはは』って思えないだろう?
耐えてしまった常識人の奴らは、狂人になって廃人になった...。」
魔:「いつになったら、リセットして死ねるのかしら。そろそろ精神体も疲れたわね〜。」
全員「「「「「「............。」」」」」」
アリスン:「今世は神様がいるといいね。祝福を重ね掛けして呪いを解いてほしい。普通の人のように、死を恐れる人生を送りたいなぁ。」
アリスン:「じゃあ、私来年から人間兵器になるわ!きっと強くなれば、いろんな国や地域に派遣されまくるでしょう?
そんで黒竜神とか白竜神みたいな神様に会える機会を増やしてみる。そろそろ私たちも輪廻の輪に入りたいしね。」
アリスン:「じゃあ、みんなありがとう。また迷ったら、相談に乗ってね!」
アリスンは、ゆっくり目を開けて見慣れた天井を確認した。
今は、深夜で窓からうっすらと月明かりが入って来ている。
ふぅ〜、脳内会議疲れた...。
「....今世は、女騎士団長にでもなるか...。」
と、しーんと静まりきった夜の帳に包まれながら、ひとりごちた。
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