第5話 閑話 銀髪の騎士
非番だったので、街を散策していたら
「だれか〜!その男を捕まえてくれ〜!!子供がさらわれた〜!!!」と聞こえてきた。
そちらに目を向けると幼子を傍に抱えて猛然と駆け抜ける男がいた。
「退けぇ〜、この子供を助けたければ道を開けろ!」
ナイフの刃を子供に突きつけながら走って威嚇中だ。
しかも結構な手練れだ。
何年か前、騎士になって少し強くなってきた時に、フワッと光る粒子が私には見えてきた。
その粒子を見てると人を避けて漂っていたり、粒子がペタペタ張り付いてる人もごく僅かだがいることに気付いた。
なぜか強い騎士と剣を打ち合っていると、周りの粒子が腕に集まってきて打撃を与えると弾けるように粒子が動くことがある。
私以外にも、隊長格の人間は粒子を集めては霧散させているのが見受けられた。
なんだかわからないが、手練れた人間は粒子を纏わせることができるみたいだ。
そこでさっきの男を見てみたら、足と手に粒子を纏った状態だった。
これは、本気の誘拐だな。
こちらに近づいてきたら、男を取り押さえようと構えていたら、いつもはふわふわしている粒子が突然意志を持ったようにギュルギュルと回転して渦状に動き出した。
終着地点は地面と男の足が多めで、薄ら幼子の周りにも貼りつき出した。
こんなことは初めてだ。
始点はどこか?
赤い髪の少女の指先だ。
あ、男が挫いた。
不自然に盛り上がった地面でこけたようだ。
男の体勢が崩れたのは、少女が関係しているのか?
何もわからない。全く理解ができない。
粒子が渦になる現象なんて見た事がなかった。たまたま、粒子の始点が少女の指だっただけかもしれない。
確かめるにも、声をかけた後何を言えばこの現象を説明できるのかわからない。
そうこう考えてるうちに、少女たちは移動してしまった。
私は、少女が立ち去るまで見ていることしかできなかった。
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