■コンビニに入って

「夏椿。世の中には、セックスフレンドというシステムがあるね」


「秋咲。それ女の子連れて帰る途中のコンビニで、一番言っちゃいけないセリフだよ」


「考えてみなよ夏椿。この先、ゼミの飲み会は何回もあるわけ」


「まああるね」


「つまり今日をしのいでも、毎回このやりとりは行われるわけ。だったら割り切って、体だけの関係にしたほうがお互い楽でしょ」


「ちょっ! 変なこと言わないでよ! 周りに人いるのに」


「変なことねえ」


「なに」


「いまのは友だち同士なら笑って流す話だよ。夏椿、わたしのことを、恋愛対象として気になりはじめてない?」


「ない! ……と思うけど……」


「あ、うなぎのおにぎり好き」


「会話の落差が激しいなあ」


「ごめん、わたしB型だから」


「うそ。あたしもB型」


「えー、夏椿A型っぽいのに」


「秋咲はAB型っぽい」


「共通点が見つかった」


「うん。ちょっとうれしい」


「ほら、夏椿はやっぱり女子っぽい」


「女子だっつーの。秋咲だって、いまの会話は女子っぽかった」


「うん。こういうの楽しいね。ふたりで家飲みの買い出しするの」


「だね。あたしはこの関係を死守したいよ」


「わたしも。でも性のはけ口にもしたい」


「言葉選ぼ?」


「傷ついた?」


「いまは平気だけど、あとからジワジワきそう」


「ゴメス。じゃあ会計しよ」


「謝罪が軽い」


「夏椿、二十円ある?」


「あるよ。はい」


「ありがと。あ、レシートいいです。じゃあ行こ」

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