L.

その夜の夕餉ゆうげの食卓は賑やかになった。北海道にある親の実家から送って来たと言って、芹沢が成吉思汗ジンギスカン料理の肉を持って来たのだ。千竃もどこやらの地酒を持って来ていた。

「こりゃ、お客様にご馳走になるなど、とんでもない話で」

 と康造は恐縮していたが、菜穂子も須黒も特に気に留めないようで、二人の客が増えたことを素直に喜んでいた。

「やっぱり温泉はいいなあ。おれ、温泉に来たのは学生時代以来だから、もう二年ぶりだよ」

「明日はもう帰らないといけないのが寂しいよな。せめて芦ノ湖でも見て帰ろうぜ」

 と千竃も芹沢も屈託なく飲んで食い、盛んに喋った。

「岳彦もせめてこの方たち程度に社交的だったら良かったんだが」

 と酔った父親は嘆くように言った。

「それは望んでも無理な相談だね」と息子の須黒は取り合わない。「ぼくには会社勤めは無理だったよ」

「それならそれで、税理士か何かの資格でも取るか、在宅でできる仕事でもしたらどうなのかね」

「そうよ。あんな変な人たちと付き合ったりしないでさ」

 と菜穂子も言う。須黒はそれを聞いて思い出したのか、都築の方を見て、

「おい、明日、きみにお客さんを呼んであるから。うまく解決するといいと思うが…」

「客? どんな客だい?」

 都築はやはり座の雰囲気にどうしても馴染めず、そろそろ中座しようと考えていた所だった。

「ほら、例の問題の解決だよ。――それから、あの葉書のことも聞いてみる積もりだ。菜穂子がまたぶうぶう言いそうだが」

「ええっ? またあの人たち、家に来るの?」菜穂子は大声を上げた。「もう、勘弁してよ。あんな変な人たち、見たこともないわ」

「変って、たかがただの坊主に占い師じゃないか。何も危害を加えに来るでもなし、そんなに嫌がることもなかろう」須黒は少し腹を立てたらしい。「きみは、そういう感じの人には免疫がある方かな?」

「いや、それ程でもないが、ぼくは色んな人を見たいと思ってる方だからね。どんな人でもOKだよ」

 しかし、その人間を肚の底まで信じるかどうかはまた別の問題だ。

 食堂を後にしようとしている都築に、須黒は後ろから、

「そうだ、さっきおふくろさんから電話あったぞ。例のものは無事飾ったそうだ」

 その夜、芹沢と千竃はそれぞれ二階に部屋を与えられて泊まった。都築は十時半過ぎに自室に引き取り、メールを書いてからPCの電源を落とした。あゆ子からのメールも読んだが、何も答えるべき言葉が見付からず、結局返信はしなかった。千竃や芹沢は温泉に入ったようだったが、都築はもう一度入ると湯中りしそうだったので止めておき、歯を磨いて十一時には寝た。今夜も〝菜穂子〟が来るのかな…と都築は思ったが、不思議と不快な感じはなかった。明日は須黒が客を呼んでくれていると言う。全く、箱根に来てから色々なことが起こる。もう少しゆっくり出来ればいいんだが…。篠生には悪いことをしたかな…。あゆ子のことはどうしようか…。そうこうしている内に都築は眠りに落ちた。

 そして都築は、周囲の部屋から聞こえて来る戸の開け閉ての音で目を覚ました。見ると、周囲は既に明るくなっている。夜はとっくに明けていた。都築は疲労が回復したのを覚えた。昨夜ゆうべはよく眠れた、と都築は思った。そう言えば〝菜穂子〟も来なかった。それはそれで良し。時計を見ると八時前である。皆も起きているらしい。都築が着替えて下に行くと、菜穂子が母屋からやって来た所だった。

「あら都築さん、おはようございます」と菜穂子は明るい声で挨拶した。「今皆さん、ご朝食お取りになられている所ですから」

 食堂に行くと、菜穂子の言った通り、皆朝食の最中だった。都築は自分の席に腰を下ろして熱い茶を啜った。何となく篠生の方は見辛かったが、篠生の方は全く気にしていないらしく、平生と変わりなく都築に話し掛けて来た。千竃と芹沢は、今日はどこを見ようか、と相談していた。

「あたしたちは昨日、都築さんの運転で芦ノ湖まで行ったのよ」と篠生は二人に言った。「それから、鶴の湯だっけ、温泉を一つ回って帰って来たの。ね?」

「――ああ、うん」と都築。「道は簡単だよ。一号線に出れば後は一本で湖に出るし」

「あれ、水臭いなあ」と芹沢が言う。「案内は頼めないのかな? 都築はまだこの宿に滞在する予定なんだろう?」

「いや、そうしてもいいんだが、今日は須黒がぼくに、客を呼んでくれていると言うんだ。それが済んだら、ぼくが運転してもいいよ。どうする? 芹沢は免許を持っていたよな?」

 二人は顔を見合わせて相談していたが、やがて千竃が、

「じゃあ、きみの用事が終わるまで待つことにしよう。帰りは夕方になっても構わないから。携帯電話で、湯本から夕方のロマンスカーを予約しておくよ」

 芹沢も、

「おれもほとんどペーパー・ドライヴァーでね。山道も走ったことはないし、余り自信がないんだ。きみにお願いするよ」

 食事は済んだが誰も食堂を去らず、話をしながら、食後に菜穂子が沸かしたコーヒーを各自注いで飲んでいた。都築も、その日仕事に取り掛かることは諦めた。

 そして九時半頃、玄関先でチャイムが鳴った。須黒がすぐに立ち上がって玄関に出た。戸を開ける音。そして、

「ご免下さい。お待たせしました」

 と言う野太い声。途端に菜穂子は露骨に顔を顰めて勝手口から旅館の方に行ってしまった。都築は、自分も出た方がいいか、と考え、どんな人物が来ているのか興味津々で食堂を出た。玄関で都築の出会したのは、眉の太い、無骨な顔付きをした男だった。猪首いくびの上に乗った頭は丸めているが、意外にも篠懸すずかけごろもなど身に着けず、結袈裟ゆいげさも着けていない。その代わり、緑のセーターを着て、その下に厚地のダンガリー・シャツを着ていた。男は眉の下のぎょろぎょろした眼で都築をじろじろと見た。

「あ、こちらが電話でお話した都築くんです」

 と須黒が紹介するので、都築も頭を下げた。男は、丁寧な仕草で一礼すると、

「都築さんですか。これははじめまして。私が蔵海ぞうかいです。どうぞよろしく」

 と言う。そして、須黒に目配せすると、須黒が頷いて見せるのを合図に靴を脱いで上がり込んだ。須黒がうやうやしい仕草でスリッパを揃えて出す。蔵海という男は、それを如何にも物慣れた様子で突っ掛け、奥へ入って行く。その時になって都築は、蔵海が一人ではないことを知った。蔵海の後ろから現れたのは、中背で痩せ型の、中年の女だった。目鼻立ちは整っており、髪が長く、きちんと化粧している。須黒は、

「これは、天原あまはら先生もご一緒でしたか」

 天原と呼ばれた女は、

「あたしはお邪魔だったかしら」

 と含み笑いをして見せる。須黒はいえいえ、と顔の前で手を振り、

「とんでもない。歓迎ですよ」

 天原は都築のことを頭から足先まで一通り、確かめるように眺め、

「はじめまして。天原あまはらきょうと申します」

 と丁寧な言葉で挨拶した。都築も名乗った。

 天原は蔵海に続いて須黒の出したスリッパを履いて食堂へ向かった。食堂には芹沢と千竃、そして篠生も残っていたが、都築が食堂に入ると吃驚したような目付きで二人を見ていた。新客の二名は、並んで上座にどっかりと座り込む。

「どれ、今日はわたしも珍しく忙しくてね。この後、平塚まで行かなければならないのだよ。早速話を伺おうか」

 と、テーブルの上で手を組んで蔵海は言った。菜穂子はいないので、須黒の父がコーヒーの残りを二人に注いで出した。須黒は、蔵海と天原の二人に向かって、都築と〝菜穂子〟の遭遇、そして都築の許に届いた訳の分からぬ葉書のことを説明した。蔵海は出された二枚の葉書をじっと見詰め、裏返し、表に返し、しかつめらしい顔で改めた。そして、須黒に向かって、

「この葉書、今日は来ていないのかね」

 と尋ねた。須黒は不思議そうな顔で、

「今日は日曜ですよ」

「いや、この葉書には消印がないだろう。これはこの宿に直接届いたものだ。確かめて来なさい」

 須黒は脱兎だっとの如く駆け出して行ったが、果たして一枚の葉書を手にして戻って来た。蔵海は満足そうに葉書を取った。須黒と都築も横から覗き込んだ。


「 明様

  私のお願い、早速快くお聞き届け下さいましてありがとうございます。

  今夜、私は箱根神社裏の洞窟に居ります、私に会いたければ今夜二時に是非お一人でおいで下さい。

  お待ちしております。」


 蔵海は葉書を三枚まとめてテーブルの上に置き、眼を閉じて真言しんごんか何かを唱えつつ、両手で印を結んだ。そのまま暫く固まったように黙り込んでいたが、やがてそっと目を開いた。そして静かな声で都築に、

「あなたはここへ、行かれますか?」

「――そうですね、場所がどこか分かりませんが…、取り敢えず行って確かめて見ようかとは考えていますが…」

 都築が曖昧あいまいな言葉で返事をすると蔵海は大きく頷き、

「それがいいでしょう」と言った。そして三枚の葉書を都築に渡し、「これは大事にお持ちなさい」

 蔵海は忘れていたようにコーヒー・カップを取り上げ、一口啜った。間髪を入れず、須黒が、

「あと、菜穂子の問題もあるのですが…」

「そうだった」と蔵海は言った。「ご本人を連れて来るのが一番なのですが、どうやらわたしは嫌われているみたいでね。仕方のないことだ。一口で言ってしまうと、夜中に出て来るのは菜穂子さんの生霊みたいなものだ。余り気にすることはないが、旅館では都合が悪かろう。一応、後ほどこちらで御法ごほうを執り行っておくので、それ以降も出るようだったらまた連絡して下さい」

 生霊、と聞いて都築は思わず飲んでいた茶を吹きそうになった。

「なぜ、都築くんの部屋に二度も出るのでしょうか?」

 須黒は生真面目な声音で尋ねる。都築も、

「それに、ぼくのことを助けてくれる、などと言うんですよ」

 と言ってみた。すると蔵海は呵々大笑かかたいしょうした。

「それは、わたしの口からではなく、妹さんご本人の口から説明して貰った方が良さそうですな。――まァ、要するに、あなたが懸想けそうされていると考えて宜しかろう。助けてくれると言うのなら、これは有難い話じゃありませんか」

 と言ってまた笑った。都築は煙に巻かれたような思いで蔵海を見た。蔵海は、それではこれで、と言い置いて、隣の天原の方を見た。その時だった。天原樹鏡が突然立ち上がったのだ。椅子がばたんと後ろに倒れたが、本人はかっと目を見開いて虚空を睨んでいる。蔵海はそれを見て、

「しまった。美智子のやつ、神懸かみがかりに入りおったわい。こんな時に、困ったもんだ」

 と苦い顔をした。

「どうにかできないのですか?」

 と須黒が尋ねたが、蔵海は溜め息を吐いて首を横に振った。

一同がなす術もなく樹鏡を見守っていると、樹鏡の呼吸は最初荒くなり、盛んに息を吐いていたが、やがて間隔かんかくが空くようになって、両肩がだらりと垂れ、ゆっくりと一座を見回した。ゆっくりとした深い呼吸だった。その目は瞳孔どうこうが開き、生者のものとは思えない。天原は、口を開いて、

「おお」と言った。「テツヤ…テツヤ」

 その声は最前までの天原の声とは似ても付かない、甲高く人間離れした声だった。何を言っているのか、と都築が訝っていると、不意に芹沢が、

「もしかして、お、叔母さんじゃないか…沙智子叔母さんじゃないか」

 と半ば茫然ぼうぜんとして叫んだ。蔵海は苦り切って腕時計を見、

「こりゃ都合が悪いわい。誰か親族の霊と波長が合ったのだな…。こうなると長くなるぞ。だからいつも気を締めておけと言うてるに。この分じゃ会合には間に合わんな」

 とぶつぶつ文句を言った。天原は、

「哲也ちゃん…会いたかったよ…。もう何年も会っていないじゃないか。姉さんは…お母さんは元気かい? 利道さんは? 真理ちゃんはもう高校出たのかい?」

「叔母さん…まさかこんな所で会うなんて…。叔母さんが――あんな形で亡くなった時にはお、おれ…どうかなりそうだったよ」

「哲也ちゃん。ここは、暑いよ。とっても暑い所だよ。水が欲しい。お水を頂戴」

 天原樹鏡は甥に懇願こんがんする。芹沢は既に涙にれていて、鼻水を垂らしていた。千竃がそっとティッシュ・ペーパーを渡してやると、芹沢は震える手先で摘み取り、どうでもいいことのように洟をかんだ。芹沢が、

「水を、…叔母さんに水を」

 と譫言うわごとのように言うので、康造がグラスに水道の水を汲んで天原の前に置いた。

「わたしはあの時、死にたくなんかなかったのよ。だけど…村崎さんのことを思ったら、あの人、わたしに生きていて欲しくなんかないんじゃないかと思って…それでやっちゃったんだよ。死にたくなかったよう」

「叔母さん…ああ可哀想に。叔母さん…」

 芹沢の言うことは涙にまみれていて言葉になっていない。

「寂しいよ、哲也ちゃん。わたし、ここに来てからもう寂しくて堪らないんだよ。早く誰か来ておくれ、お願いよ。母さんでもいい…お前のお祖母ちゃんはまだなのかい?」

「お祖母ちゃんはまだ元気だよ…沙智子叔母さん」

「そうかい。それじゃあ…だね……あれ…かい……」

 不意に天原の言葉は途切れ途切れになり、丁度ラジオの受信状態が悪くなって行くように声が遠くなり、同時に天原は白目をいて卒倒した。それを見ていた蔵海始め、天原の周囲の者は驚いて駆け寄り、介抱かいほうした。須黒が傍の和室の襖を開けて、取り敢えずそこに布団を敷いて天原を運び込み、氷嚢ひょうのうを額に宛てがって安静にさせた。都築は、枕元に膝を突いて甲斐甲斐しく世話をする蔵海に、

「いつも、こうなんですか?」

 と尋ねた。蔵海は額に浮いた汗を拭き取り、

「いや、普段の家内ならすうっと抜けるんですがね…。しかしこういうことは、霊様によっても違うし…あちらさんの状態とか、波長の合い具合とかね。だから一概には言えんのですよ。今日は流石にヒヤッとしましたわ」

 と心配そうに妻の顔を見ながら話した。

 都築が食堂に戻って芹沢の様子を見ると、依然肩を落として涙にむせんでいる。千竃がその背中を優しくさすってやっていた。篠生もティッシュ・ペーパーを取って芹沢に手渡していた。都築は傍らでタオルを絞っていた須黒に、

「おい、妹さんを呼んだ方がいいんじゃないかな?」

「菜穂子かい」須黒は露骨ろこつに渋い顔をした。「菜穂子、多分来ないと思うぜ」

「どうして?」

 すると須黒は、

「菜穂子はこの二人のことを毛嫌いしてるからさ。全く、これこそ偏見というものだよ。どうして菜穂子はこういう人の姿を見て大事なことを学ぼうとしないのかね?」

 と逆に都築に問うて来た。

「そんなに嫌っているのかい?」

 須黒は頷いた。

「ああ。この二人が帰ると、いつも玄関先で塩をくのさ。…こりゃあ、医者を頼んだ方がいいかな、父さん? 押尾先生は、休日は往診OKだったっけ?」

 その時、和室の戸ががらりと開いて蔵海が顔を出した。頬に赤みが差している。

「いやあ、皆さん、お騒がせしました。今、家内の意識が戻りましたので。大丈夫、ちゃんと話せますから。もう少ししたら立てるでしょう。いやあ、良かったよかった」

 都築や須黒は和室に様子を見に行った。天原はまだ氷嚢を額に乗せたまま横になっていたが、意識は戻っているようで、頻りと目をしばたたいている。須黒が天原の枕元で、

「先生、大丈夫ですか? ご気分の方は如何です?」

 と問うと、天原は先程よりはやや大人しい声で、

「ええ。悪くはないのだけど、ちょっと頭痛がするわ。お水が飲みたいわ。喉が渇いた」

「どうだ、起きられそうか?」

と蔵海が問うと、

「そうねえ」と考え、「今日はあなた一人で行って貰った方がいいわね。あたしはここで暫く休ませて貰います」

 と言った。蔵海は時間が気になるらしく、須黒に、

「いや、家内がご迷惑をお掛けして申し訳ありませんな。今日は大事な集まりがあるのですよ。家内はいなくても構わないのですが、わたしは遅れる訳に行かないんです。そろそろおいとましないと」

「そうですか。それなら、早く行かれた方がいいでしょう。天原先生のことは、ぼくたちが様子を見ますからご安心下さい」

 蔵海は頷いて廊下を玄関へ向かった。

「何かあったら、携帯電話に連絡を下さい」

 そう言い残して、恐縮したように頭は下げながらもそそくさと出掛けてしまった。都築が須黒と食堂に戻ると、芹沢の姿はなく、千竃が所在なげに一人でコーヒーを飲んでいた。

「芹沢は?」

 と尋ねると、千竃は暗い顔で首を振った。

「ありゃあ、相当参ってるね。部屋に戻って少し横になって休むってさ」

「じゃあ、今日は出掛けるのは止そうか」

「うむ。芹沢があんな状態じゃなあ。仕方ないから、我われはもう少しここにいて、芹沢が元気を取り戻し次第、出発するよ」

 千竃と篠生が何となくに落ちないような顔付きをしているので、都築は、

「ぼく、あいつと高二の時一緒のクラスだったんだけどさ、その時叔母さんが自殺なさったって聞いたことがある。その時は大分がっくり来てたよ」

 と教えてやった――が、当の都築にも、今目の前で起きたことが本当の「心霊現象」なのかどうかについては何も言えなかった。

「これはどうも、芹沢さんにはお気の毒なことでしたな」

 須黒の父が気遣った。

「おれは、ちょっと部屋に行って芹沢の様子を見て来るよ」

 千竃はそう言って旅館に戻ってしまった。須黒はその様子を見て、ぽつりと一言、

「まあ、こうなるのも無理はないな」

 と言った。都築は驚いて、

「どうして?」

「ここは、〝病める者〟と〝死に行く者〟の館だ。ああいう健康な連中が来ると、きっとこういうことが起こって追い出されるのさ」

 と皮肉そうに言うのだった。都築には返す言葉もなかった。須黒には時どき、妙なことを言い出す癖があったので、今回もそれだろうと見当を付けただけのことだった。

 天原は昼前に起き出し、食堂に戻った。母屋に戻って来た菜穂子は気味悪そうにしていたが、須黒が怖い顔をしたので、渋々天原の分のスクランブルド・エッグも拵えた。芹沢は昼食にも下りて来なかった。

「あたしはね、普段は湯本の喫茶店で占いをしているのよ。タロットも使うし、ホロスコープも使うわね。いつもはああいったことは起こらないんだけど…、そりゃ波長の合う霊体もあるから、入り込まれそうになることもあるんだけど、普段は寸前で止められるのね。それが今日はふとした切っ掛けで入られちゃったみたい。だめね」

 と天原は言い訳がましく話して無念そうに首を振り、パンを千切った。

 天原はオレンジ・ジュースとコーヒーをお代わりして飲み、午後早くにしっかりした足取りで帰って行った。須黒が言った通り、菜穂子は玄関先に塩を撒いた。芹沢と千竃は、それよりやや遅れて荷物を纏めた。

「今回は残念だったな。大丈夫か?」

 と都築が声を掛けると、大分顔色の戻った芹沢は、

「ああ。何とか帰れると思うよ。こちらこそ、お邪魔しておいてご迷惑にならなかったかな。丁度いい時間の特急が湯本から取れたから、それで東京に戻るよ」

 千竃も、

「おれが付いているから心配いらないよ。ただ、駅まで送ってくれたら有難いんだがな」

 都築は請合うけあった。須黒も車を貸してくれた。

 早目に出ると言うので、都築は三時過ぎに車で二人を小涌谷の駅まで送って行った。二人ともすっかり意気消沈してしまったようで、車の中でも一言も口を利かなかった。車は間もなく駅に着いた。都築も一旦車を降り、二人の荷物を後部座席から出して駅に運んだ。二人は顔を俯けてとぼとぼと歩を運んだ。切符を買うと、間もなく上り電車の到着時間になった。

「そのうちまた、飲みに行こうね」

 と都築は言ったが、二人は無言で頷くばかりだった。電車が来ると、都築は対向ホームにいる二人に手を振ったが、気付かないのか無視したのか、どちらも返事をしなかった。都築は電車の尾灯を見送ってから車に乗った。しかし、二人のことが気になって中々出発する気にはなれなかった。

須黒の「ここは〝病める者〟の館だ」という言い方が妙に心の中に残っていた。須黒は自分自身のことを言ったのか。都築や篠生のことも含めて言ったのか。須黒の口振くちぶりからするとどうもそうらしい。それにしても皮肉で辛辣しんらつな言い方が引っ掛かった。芹沢は「健常である」という理由だけで柏屋にいる資格がなかったと言うのか。それは都築に言わせれば、実に意地悪な物の見方だった。

それにしても、先程の天原の「神懸り」には都築も驚いた。ああいった能力を持つ人間がいるということは都築も聞き知ってはいたが、これまでは単なる芝居だろう、程度にしか考えていなかったのである。蔵海にしても、肚の底の方ではあまり信を置いていなかったと言ってよい。尤もらしいことを言い、尤もらしい所作を見せ、それである種の雰囲気を作り出し、人はそれを味わって満足しているのではないか、と都築は考えていたのだが、少し見方を変える必要があるかも分からなかった。

 死後の生はあるのか、と都築は思った。この辺に関しては、都築は今日に至るまで一切触れたことがない問題だった。都築は慎重かつ狡猾こうかつに不可知論を取っていたのである。だが、今日の天原の鬼気迫る様子を見せ付けられた都築は、その辺についても改めて考えてみる必要がありそうだった。

 都築は、自分の父親たる和弘については、既に亡くなっているか、それとも精神障害者としてどこかの療養所にでも収容されているのではないか、と考えていた。そして、この柏屋へ来た三通の葉書についても、誰かが仕組んだ巧妙な悪戯の類に違いないと半ば決め込んでいた。挙句には、高科重信が首謀者ではないか、とまで思い始めていたのである。帰京したら良子にそれとなく尋ねてみよう、とまで都築は考えていたのだ。

 自分の浅はかな考えを、都築はじた。

 考えて見れば、高科がそんなことに加担する訳はどこにもなかった。都築和弘が失踪した時、いの一番に知らされた高科は非常に心配して何日も自宅の和弘の部屋に泊り込み、仕事も和弘のアトリエを借りていた位なのだ。都築は学校帰りには、和弘がいた頃と同じようにまずアトリエを訪れ、高科に挨拶した。高科の画風は堂々たる男性的なダイナミックさと、色使いやタッチなど、細やかで知性的な繊細さとを併せ持っていた。いつもどことなく神秘的で、何を表現しているのかが曖昧になりがちな和弘の画風に慣れ親しんでいた都築は新鮮な思いを味わったのだった。…

 都築は時計を見た。もう四時を回っている。エンジンを切った車中は冷え切っていた。兎に角、帰ろう。帰ってから今夜の支度をしなければならない。そして、今夜、ぼくは真実と虚偽を見極めるのだ。

 都築は柏屋に帰ると、まず入浴した。身体の隅々までいつもより時間を掛けて丁寧に洗い、浴槽の湯はぬるめにしてゆっくりと浸かった。そして身体を拭くと、冷めないように厚地のタートルネック・トレーナーの上にセーターを着て、その上に旅館の丹前を着込んだ。暖房を入れて部屋を暖め、座椅子に寄り掛かって持参の本を静かに読んだ。一時間もしただろうか、廊下を歩いて来る足音がして、部屋の外から、

「都築さん、篠生さん、お食事の支度ができましたので」

 と菜穂子が呼んだ。

 都築が部屋を出ると、丁度篠生も顔を出したところだった。都築は篠生に対して多少忸怩じくじたる思いがあったが、篠生の方では全く気にも留めていない様子だった。

 二人は裏口から寒い外に出た。母屋の玄関までは少し距離があった。

「ね」と篠生はふと立ち止まって都築に話し掛けた。「今日は吃驚しちゃった。ああいう人がいるって聞いたことはあるけど、実際にあんな風になるのを見たのは初めて。肝を潰しちゃったわよ。東京に帰ったら、皆なに教えようっと」

「それはどうかな」都築は言った。「こういうことは、軽々しく他人に話すべきこととは思われないけどね」

「ううん。話の種にはなるもの。いいじゃない。菜穂子さんの生霊の話だってばっちり聞いちゃったもんね。やっぱり都築さんってもてるんだわ。この色男」

 そう言って篠生は都築を肘で軽く突いた。

「――色男はいいけど、昨日は一体何であんな真似をしたんだ? 尻軽って言われても仕方がないぜ。もっと自分は大事にしなくちゃ」

 都築は真顔で言った。

「何でかしらね」篠生は心底不思議だという口調で言った。「多分、やっぱり都築さんだったからじゃないかな。こんな所に流れ着いたところといい、あたしと共通点が多そうだもの」

 都築は、篠生が昨日自分と都築のことを〝ダメ人間〟と言っていたことを思い出した。

「まったく、須黒といいきみといい、おかしな言葉ばっかり使うな。ぼくらはダメ人間なんかじゃないよ。須黒は、芹沢や千竃がここに長くいられないのは、連中が健康的な人間だったからだ、みたいなことを言うし」

「そうよ。それ、当たってるじゃないの。――あのお二人さんは、人生の〝表〟の側をせっせと歩いて行く人たちよ。それはそれで無味乾燥だけど、あの二人にはそれが丁度お誂え向きなのよ」

「では、ぼくたちはどこが違う? ぼくだって表側を歩いて来た積もりだけどな」

「違う、ちがうのよ」篠生は激しく否定した。「これまではそれで良かったのかも知れないけど、これから先はそれじゃだめよ。それだけじゃやっていけない。きっと途中で潰れてしまうわ」

 都築は溜め息を吐いた。篠生の言うことは都築にとっては中々抽象的な話だった。この女はいつからこんな小難しいことを考えるようになったんだ? と都築は訝った。しかし篠生は、

「もう夕食だよ。冷めちゃう。行きましょう」

 と言って都築の袖を引いた。

 夕食の席では、天原の一件があるのか、それとも芹沢と千竃のことが尾を引いているのか、一同は黙々と食事をした。ただ、篠生と菜穂子の二人は元気で、屈託がなかった。

「そうだ。都築、この辺の地図を見せるよ」

 と食事が終わって茶を飲んでいる時に、須黒が言った。

「箱根町内の地図なら、かなり詳しいのが一冊ある」

「都築さん、やっぱり行くことにしたんだ」篠生はどこか嬉しそうな口調で言う。「きっとそれがいいわ」

 一方、菜穂子は、

「またあんなニセ坊主の言うことに動かされて」と不満顔だ。「きっとろくなことにならないわ。あたしなら、行かないな」

 しかし、この場では菜穂子の意見は少数派であった。康造も都築の決定には反対しなかったし、して都築に、

「それならうちの車をお使いなさい。ガソリンはまだあったな、岳彦?」

 と移動の足まで提供してくれたので、まだ気に迷いのあった都築は今更行かない、などとは言えなくなってしまった。

 須黒の出した地図で、箱根神社の位置はすぐに分かった。しかし、洞窟どうくつは地図にはなかった。須黒は、

「父さん、あの辺に洞窟ってあったかな?」

 と確かめた。康造は、

「うん。あの辺りは、昔戦争の頃に防空壕ぼうくうごうに使われた洞穴が幾つかあると聞いたことがある。確か、北参道の途中にあるとか言ったかな。何なら、北尾さんに確かめて来てもいいが…」

 と曖昧な記憶を辿って言う。

 都築は、取り敢えず懐中電灯と須黒のジャンパー・コートを借りた。都築の着て来たコートでは、草叢くさむらやぶの中での身動きには問題があったからだ。

 都築は、眠らぬようにと菜穂子に淹れさせたコーヒーのポットを持って一旦宿に戻り、もう一度温泉を浴びた。流し場では丁寧にひげった。今度は軽く湯に浸かるだけにして、早々に浴室を出た。そして、自室に戻ってまた本を読んだ。時計を見ると十時を回ったところである。暫くしてから須黒が部屋にやって来た。

「どうだい、気持ちの準備はいいかい?」

「ああ。少し興奮しているみたいだ。全身がわくわくするよ。この分だとコーヒーは必要なさそうだな」

 二人は暫く黙っていた。都築が見ると、須黒も本を読んでいた。

「何時に出る積もりだ?」

「そうだな。午前二時の約束で、ぼくには勝手の分からない土地だし、まさか人に道を聞く訳にも行かないし、零時半を回ったら出ることにしている」

「おれは、この部屋で寝ないで待っているから。何かあったら、携帯電話に連絡をくれよ」

「ああ、ありがとう」

 都築はポットからコーヒーを注いで、何も入れずに飲んだ。そんなものは飲まなくとも十分神経は興奮していたが、喉が渇いて仕方がなかったのだ。じっと本を読み、コーヒーを啜り、合間にノートPCを使ってウェブで調べ物をし、時計を見る。都築は行って見たい自分と、行きたくない自分の両方を自覚していた。そうだ、と都築は漸っと気が付いたのだが、まだ朝の葉書のことは良子に報告していなかった。どうしようか、と迷ったが、もう夜遅いことではあるし、連絡は翌日の朝に入れることにした。ぼくが行かなかったら、きっとおふくろはぼくをなじるか叱るかするだろうな、と都築は思った。ぼくが行った先には、本当に親父が待っているのだろうか? それを確かめるためにも、行かなければならない。

 見る見るうちに時間は経ち、あっという間に月曜は過ぎて行った。千竃からはスマートフォンに簡単なメッセージが届いていて、両名とも無事に東京に帰り着いたらしかった。二人で酒を飲んだらしい。都築はそれに簡単に返事を書いて送信し、須黒から借りたコートを羽織った。

「もう時間か?」

 本から顔を上げて須黒が尋ねた。都築は黙って頷いた。自分の顔が強張こわばっているのが分かる。腕時計を見ると、零時二〇分を回ったところである。

「それじゃあ、後は宜しく」

 と都築は不帰ふきの客のような言葉を残して部屋を出た。篠生の部屋の前を通ると、中から小走りの足音がして、がたりと襖障子が開き、篠生が顔を出した。都築の顔をじっと見て、

「行くのね。行ってらっしゃい。気を付けてね」

 と小さく手を振って見せた。

 都築は白い息を吐いて旅館の玄関から裏に回り、ポケットの中のキーをちゃりちゃりともてあそびながら車に向かった。車の中に入ると、何もかもが冷たく、自分を拒んでいるような気がして、都築は改めて気力の萎えを意識した。エンジンを掛け、暫く暖機だんきしておき、都築は助手席に置いた地図を取ろうとして手を伸ばした時、コートの内ポケットに何か硬い石のようなものが入っていることに気が付いた。ポケットの口を開けて確かめると、サントリーのポケット瓶だった。須黒が入れて置いてくれたのだろうか。都築はちょっと顔を緩めると、未開封の口を開けて少し啜った。やがてヒーターも効いて来た。都築は車回しから外に出た。都築には二回ほど柏屋から国道に運転して出た経験があったのでたじろがなかったが、もし初めての運転であったなら戸惑っただろう。それ程にも冬の夜の闇には密度があり、ヘッドライトを以ってしても闇を見通すにはとても足りなかった。都築はゆっくりと枝道を走り、国道に出た。国道は概ね空いていたが、時おりトラックや乗用車が早足で通り過ぎて行く。都築は頃合を見て車を出した。これはほぼ道形みちなりに行けばいいので気は楽だった。後は道が暗いので、大芝の信号を見落とさないようにしなければならない。

 問題の信号には、宿を出て四十分ほどで着いた。丁度赤信号で、都築は二、三台の車の後に停まった。勿論芦ノ湖は見えない。前の車の尾灯は不吉に赤々としていた。どちらも左に方向指示器を出している。都築だけが右だった。ここからは単騎(たんき)行かねばならない。

 信号を離れた都築は、制限速度より低い速度で車を走らせた。後続車は元より、対向車すら姿が見えない。左側は林とやぶで黒々としている。どこに箱根神社の裏口があるのか、標識すら出ていないと言うのに分かるのか、或いはもう過ぎてしまったか、と思いながら走らせていると、不意に林の途切れている所が見付かった。ここだ、と瞬間的に判断してブレーキを踏み、ハンドルを左に切った。ダイハツのヘッドライトに驚いたような表情の林が浮かび上がった。

 時刻は一時半前だった。都築はもう一度ポケット・ウイスキーを口に含むと、用意の懐中電灯を手に車を出た。真の闇の中を半ば手探りで歩き回り、懐中電灯でそちこちを照らして見ると、藪の中に道らしきものが見出せた。湖の方に向かっているらしい。都築はそこを一歩一歩確かめながらゆっくりと歩き出した。両側には杉か何かの背の高い影が立ち塞がっている。右側には土手があり、防空壕があるとすればそこに違いなかったので、都築は主に右手に目を凝らして歩いた。――と、いきなり草叢の向こう、二十メートル程のところにぽっかりと開く口が見えた。これだ。都築は藪を踏みしだいて洞穴に足を向けた。冬枯れの藪は足に絡み付いて厄介だったが、およそ十分の格闘の後、都築は遂にその口に辿り着いた。だが、都築の目に映ったのは、「立入禁止」と書かれたプレートと、黄色いチェーンだった。都築は荒い息で落胆した。気が付くと額には汗が浮いているようだ。都築は苦労して元の道に戻った。

 更に下って行くと、右手には次々と三つか四つの洞穴が現れ、都築はその度に接近して確かめた。何れにも例の黄色い鎖が掛けられていた。都築は、そこに至って佇立し、これはもう駄目なのか、入ることのできる穴はないのか、と絶望した。呼吸は荒く、厚いコートの中では汗に塗れ、それがじっとりと冷め掛けていた。あと一つ、と都築は思った。あと一つ見て駄目なら戻ろう。

 その最後の一つは、そこから二、三分下った所、山道のすぐ傍に口を開けていた。都築はがさがさと藪に分け入ったが、黄色のチェーンがやはり邪魔をしている。駄目だったか。都築は自分でも案外なほど冷静な気分でそう考え、道に戻った。さて、これは仕方がない、戻ろう、と踵を返し掛けた時、都築は目の前に湖が広がっていることに気が付いた。湖面には金色の波が揺蕩たゆたっている。そして微かな光が林に差し込んでいた。そうか、月が出ているのか、都築はそれに誘い出されるようにふらっと足を下方へ向けた。と、参道にごく近い馬手めてにもう一つ洞窟があることに気が付いた。都築がふとそれに目を止めると、鎖は掛かっていなかった。都築はもう一度確かめたが、やはり何もない。ここだ。

 都築は迷わずのしのしと歩いて洞窟の中に入った。入る時に足元を見ると、黄色い鎖が地面に垂れていた。しかし、ここしかない、という都築の思いには変わりがなかった。都築は懐中電灯を点けて、自分の身の丈より少し高い程度の洞窟に入って行った。だが、電灯のいらないことはすぐに分かった。背後から月が照っているのだ。この時間にこの月とはおかしいな、とふと振り返った都築は息が止まるかと思った。

月は洞窟の入り口の真正面に来ているのだ。まるで洞窟の中を覗き込んで来るようだった。月は満月だった。そして、洞窟の入り口をその姿で塞いでしまうほどに巨大だった。或いはそのように都築の目には映じた。そのまぶしい光から逃れるために、都築は手をかざさなければならなかった。

 都築が振り向くと、金色の光に照らし出された洞窟の奥には古びた祠が一つあった。その扉は壊れていた。あっ、と都築は思った。祠の中には女の生首があった。肌は土気色をしているが、その目はかっと見開かれて金色の月光を映し出し、都築のことをその硝子玉のような瞳で真っ直ぐに見据えている…。都築は蛇に睨まれた蛙のように足が竦んで、その場に釘付けになった。だが、都築が二、三度瞬きするとすぐにその姿は消え、祠も一緒に消えてしまった。

 都築は月の光で時計を見た。時刻は丁度二時を回ったところだった。

 都築は身体の力が抜けて行くのを感じた。そして、ここ数ヶ年で味わったことのないほど静謐(せいひつ)な気分を味わった。都築の頭には最早和弘のことなど欠片(かけら)もなかった。ただ、その場にこうしていられることで不思議な満足感、充足感を身体全体で感じていた。

 ――ふと気が付くと、月は見えなくなっていた。辺りも暗くなっている。しかし、都築の心の奥には熾火おきびのような幸福感が相変わらず強く残っていた。帰るか、と都築は口に出して呟いた。

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