第12話 読書家ってなに?

 よく「私、読書家だから、年間〇冊読んでる」ってな話を耳にします。

 でもいつも思うのね、読書家って読んでる数で決まるの?


 例えばですよ、「かいけつゾロリ」10冊読んでる人と、京極夏彦先生の鈍器を1冊読んでる人、どっちがいっぱい読んでるかって言ったら、京極先生の方だと思うんですよ。私なんかは絵本オタクですから、絵本を数に入れたら年間のべ千冊いっちゃいます。


 でもそういう話じゃないですよね?

 人によっては何度も何度も反芻して読んだりするんですよ。私は読んでる途中に何度も戻ったりします。牛かよ。


 以前も書いたけど、私は自分が『いち癇』でデビューするまでまともに読書なんかしてこなかったわけでして、デビューしてから五年ほど経ってからやっと(本当にやっと)自分の好きなジャンルを見つけて活字中毒になったんですよね。

 読書歴はまだ2~3年ですからね。


 ちょっと脱線して、私の好きなのは警察小説と犯罪小説です。ミステリじゃないんです、謎解きは別に好きじゃない。

 犯人が追いつめられるのが好き。警察が追いつめられるのが好き。被害者が追いつめられるのが好き。

 人間って追い詰められた時、その人となりが出るじゃないですか、それが好き。そういう限界に達した人間の行動心理って、自分が書くときの参考にもなりますよね。


 閑話休題。テンポプリモ(←音楽人にしか通じない)。

 最初に出て来た「私、読書家だから」の人、年間30冊くらい読んでるんだそうです。12日に1冊換算ですかね。すっごい反芻してるのか、仕事が忙しい中で30冊も読んでるのかよくわかりませんが、私は読書家の定義がよくわからないんで「ふーん、そうなんだ」と頷くだけです。(私が年間150冊読んでると知ったら倒れてしまうか、よっぽどの暇人認定されてしまいそうなのでそこは黙っています)。


 灘だか開成だか忘れたけど、1冊の本を一年かけてじっくり読む遅読という授業があるというのを聞いたことがありますが、ああいうのって本当の意味で読書家さんなんじゃないかなと思ったり。量を取るか質を取るかってとこだと思いますが。


 それでも、読書家って共通の定義が無いなら自分の中の定義でもいいんじゃないかなという気もします。それが他人との間でお互い納得できるかどうかは別なので、私はなるべくその話題が出た時には触れないようにしています……。

 

  

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