第8話 図書委員枠押さえてるよ

 第5話から連続で書きました高校の図書室なんですが。

 ここで図書室通いが始まって、結局如月は図書委員になったわけなんです。


 いや、何だって良かったんですよ。生徒会以外なら。如月、目立つの嫌いだからね、陰キャの代表みたいな人だったからね。今でもそうだけどさ。

 だけどなんだかやたらと担ぎ出されることが多くて、生徒会が嫌だから図書委員になったっつーのに、生徒会に立候補するやつの応援演説させられたりとかね、相手選べよ、陰キャにやらせんなよ。教室の隅で一人で弁当食っていたいんだよ、俺は。


 話が逸れましたので戻します。

 陰キャ代表の如月は地味で暗い印象の図書委員というポジションがとても好きで、図書委員になってからというもの、用もないのによく図書室に入り浸るようになりました。


 そこで仲良くなったのが司書の海津先生です。

 絶対聖域だった司書室に入れてくれるようになり、そこから図書委員は割と司書室に入り浸るようになり、みんなで読んだ本の感想を言い合ったりオススメし合ったりと、楽しい時間が過ごせるようになりました。海津先生のおかげですね、ありがたいです。


 そんな楽しい図書委員の活動を続け、二年生の最後の日に海津先生から恐ろしい宣告を受けることになります。


「今年一番本を借りてた生徒がキミなんだよねぇ。400冊近く貸し出ししてるから。それでね、まあ当然だけどこれだけ図書室のお世話になったんだしね、当然だけどね、来年の図書委員長、決まったからね。よろしくね」


 断れない理由を先に述べ、しかも「当然だけど」を強調しての攻撃。強い。


「いや、でも、ほら、自分よりタカコの方が――」

「ここ十数年でこの『ミイラ』っていう本を借りて行ったの、キミだけだからね」


 そこツッコむとこかよ。


 三年に上がって最初の日、委員会を決めるホームルームで担任が言いました。

「ああ、如月は司書の先生からもう図書委員長で決まってるからって言われてるから、如月以外の全員決めるからなー」


 あの時のクラスメイト達の目が……「おい、陰キャがもう図書委員枠押さえてるよw」みたいな?

 目立ちたくねえんだよ、頼むよ先生。


 んでもってみんなが委員会とか決めてる間、暇なんですよ。もう決まっちゃってるし。逆らえないし。暇なんで本読んでるんですよ。如月にとってヒマつぶし=読書ですからね、小学校の頃からね。

 そんな時に限って筒井康隆とか借りてるんですよ。しかも分厚いハードカバーのやつね。分厚いつっても京極夏彦あたりと一緒にしないでね、あれはもはや異次元だから。文庫と比べりゃデカくて厚いっていう程度ね。


 で、中身が筒井康隆でも見た目が凄いことになってるから、「如月めっちゃ難しそうな本読んでるよ」みたいな目で見られたりする。

 実際のところ、農協のオッサンたちが月へ向けてフライトする中、CAのお姉ちゃんにセクハラしたり、楊枝をシーハーしたり、ティッシュが無くて手洟かんだり……今考えても酷でぇ内容だ(『農協、月へ行く』ですな)。

 そんなの読んでるのに「如月すげえ、あんなの読んでる」「本読むやつって頭いいんだよな」みたいな先入観に基づく非常に大きな勘違いをしてる。

 しかも性格の悪い如月は、そのまま勘違いさせておくわけだ(そんなに賢かったらまずその高校行ってねーし、高卒で終わんねえよ)。


 そんなわけで海津先生の策略にまんまと嵌められたわけですが、この後、海津先生は思わぬ行動に出るのです。それによって如月は海津先生を死ぬまで忘れることはないだろうと思うことになるのです。


 ――to be continued……

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