第十四話 再・草原で検証 その二
「ほら、あと一往復いけるぞ!」
「はぁ……はぁ……もう限界っすぅぅぅ……!」
そろそろ草原の色が夕焼け色に変わってきそうだなという午後の遅い時間帯、穏やかな夏の風が草花を揺らすその場所で、目印として二十メートル離して立てた二つの木の枝の間を、息を切らしながら走るグリィ殿にエールを送りながら、自分は秒刻みで変わる数字が表示された半透明の青い板を確認していた。
この時間や距離、重さから速さまで数値で分かるとても便利な画面は、彼女の体力測定中に【鑑定】スキルが成長して変化した【鑑定・計測】の能力によるものだ。
最初は自身の鼓動の速さから秒数を計ったり、リンゴを潰せる握力が七十キロ程というところから逆算して、草原を散歩していたスライムが力加減してどれくらい潰れるかを確認したりして推測していたのだが、いくつかのテストを終わらせるとそのスキル成長が行われ、感覚でしか分からなかったそれらが視界に数値で表示されるようになった。
太陽の位置から推測しなくても思考操作で秒単位の現在時間が表示されるのも普通に便利なのだが、特に対象物を持ったり触れたりしなくてもモノの大きさや重さが分かるので、体力測定が終わったら行おうと思っていたが実施方法に悩んでいた身体測定が、グリィ殿に少し視線を向けただけで解決したのは僥倖だろう。
「よし、そこまで!」
「はぁぁ……やっと終わったぁぁぁ……」
このシャトルランが最後の項目だったのでこれでグリィ殿の体力測定が全て終わったわけだが、その結果は流石この未開拓時代の冒険者というべきか、彼女の身長や体重的には中学生の平均より随分と幼いのに対して、その運動神経はおそらく平均を上回っているだろうという数値になっていた。
Fランク昇格試験の成績を聞いた限り頭を使うことに関してはそれほど得意でないと分かっていたが、代わりに身体を使うことは得意と言ったところだろうか、反復横跳びや五十メートル走などの瞬発力が求められる測定は成人男性にも匹敵するレベルで、前屈のような柔軟性を求めるものや、立ち幅跳びなど跳躍力を求められるものはそれ以上と思われる結果が出ている。
「ふむ、しかし筋力が圧倒的に低いな……」
「はぁ……はぁ……冒険者とはいえ、私も一応か弱い女の子っすからね」
「うーむ、まぁそれもそうか……とりあえずほら、布と水袋だ、ちゃんと汗を拭いて、水分補給もしっかりとな」
「ありがとうっす……しかしまぁ体力測定でしたっけ? なんだか騎士団の入団試験を庶民的にかつハードにしたような内容だったっすけど、これで私の戦いの立ち回りとかが決まるんすかね?」
「ああ、決まったぞ……というかまぁ体力測定をやる前から決まっていたがな」
「え……今まで私が汗水たらして息を切らしていた意味……」
「いや、それも最終確認のために必要だったのだ」
「そ、そうっすか……」
実はグリィ殿のステータス自体は、体力測定をやってもらう前から【鑑定】を使って把握していた……ただ、やはり数値で見ただけでは実際にどの程度動けるのかイメージできなかったので、その辺りを把握するためには体力測定は必須だったのだ。
そして、ステータスを見ても体力測定の結果を見ても、彼女は筋力が低い代わりに器用度と敏捷度が高く、体力が平均程度なので、おそらく重い武器を振り回すよりも、小さな武器で多くの攻撃を加える事を得意とする、RPGでいう盗賊タイプのキャラクターだろう。
持久力が少々心許ないが、何度も試験に落ちながら諦めなかったり、酷い環境だと思いながらも馬小屋で寝泊まりできたりすることを考えると、精神面でのタフさはあるようなので、足りない体力はいくらかそちらで補えそうだ。
「……というわけで、グリィ殿は今日から斥候の軽戦士だ」
「斥候の軽戦士っすか……うーん、軽戦士は何となく自分でも合ってそうな気がするっすけど、何か頭を使いそうな斥候は向いてないんじゃないっすかね……?」
「いや、そんな事は無いぞ? というか、グリィ殿は勉強ができないだけで頭が悪いわけではないだろう」
「はい? 勉強が出来ないのと頭が悪いのは同じじゃないっすか?」
「同じではない、その二つは全くの別物だ」
そして自分は、むしろ彼女の頭はいい方だと思っている……。
試験の日と昨日を合わせて三日間ずっと話していて気づいたのだが、彼女は話があまり得意ではない自分が伝えた内容をしっかりと理解し、噛み砕き、要点をまとめて聞き返している。
過去の昇格試験で何がいけなかったのかをちゃんと理解して対策しているし、馬小屋での宿泊に関するデメリットを分かりやすく説明できていたし、自分が彼女の能力を知りたいと言っただけで連携のために必要なのだと気づいて、体力測定のそれぞれの項目に対してそれがどんな力を測るものなのか教えることなく理解していた。
おそらくグリィ殿は、ただ読んだり聞いたりした内容を覚えるだけという事が苦手なだけで、自身が生きていくために本当に必要だと感じた事だったり、その身で実際に経験した事などに関しては、人並み以上の知識吸収を見せるタイプなのだろう。
「私は頭がいい……うーん、今までそんなこと言われたことないんでしっくりこないっすね……まぁ、Fランク昇格試験の成績がトップで我がパーティーリーダーのオースさんがそういうなら、出来るだけ頑張ってみるっす……あまり期待はしないで欲しいっすが」
「ああ、きっと出来るから頑張ってくれ」
「はいっす、それで、もう夕方になるっすけど、今日はもう休憩っすかね?」
「いや、陽が沈むまでは明日の戦闘訓練のための準備をしようと思う」
「戦闘訓練の準備っすか?」
「そうだ、そのためにはこれが必要だな」
自分はそう言って亜空間倉庫から準備に必要なものを取り出す。
―― ドサドサドサッ ――
「……料理用の鍋と……大量の……植物?」
「うむ、この植物を一定間隔で植えて、つぼみの中に川で汲んだ水を入れるのだ」
「うーん? これが何なのかもその作業が何のために必要なのかもよく分からないっすけど、とりあえず植えて水を入れればいいっすね?」
「ああ、手分けしてやっていこう……それが終わったら食事だ」
「了解っす! オースさんの作る飯は食材が質素な割になんかうまいんっすよねー、ちょっと疲れてるけど頑張って行ってくるっす!」
そう言って彼女は水を汲むための料理鍋と、前も自分が草原で戦闘の検証をする時にお世話になった大量の〈スライム草〉を持って走って行った。
うむ、攻撃力が低く防御力が高い敵と一度に大量に出会える方法があると言うのは非常にありがたいな……これで明日の朝になればすぐに二人の連携を高めるための戦闘訓練が開始できる……デメリットとしては、大量のスライムに圧死させられそうになって目が覚めると言う、寝起きが少々不快なものになることがあるが、まぁ大した問題では無いだろう。
自分はそんな思いを巡らせると、ついでに二人とも寝てるときに敵に襲撃される検証も出来るなと考えながら、残りのスライム草を持って歩き始めた……。
♢ ♢ ♢
「ぎゃぁぁあああぁああああぁああ!!!!!」
翌日、テントの方から聞こえてきた叫び声によって目を覚ました。
「「「ぴぃっ! ぴぃっ! ぴぃっ!」」」
声のする方を見るまでもなく、自分の視界は予想通りプルプルと跳ねる半透明のそれらに埋め尽くされている……外にいる自分でもそんな状態なのだから、きっと狭いテントの中にいるグリィ殿はもっと大変なことになっているだろう。
自分は昨日、先に見張りをしていたグリィ殿と交代すると、テントから少し離れた場所で久しぶりに満天の星空の下で大の字になって寝たのだ……もちろん見張りを自分がサボるパターンの検証を兼ねて。
《称号【仲間を陥れる者】を獲得しました》
うーむ……そして久々の称号獲得かと思ったら相変わらず不具合を疑う名称だな……自分はパーティーを組んでからずっと仲間のためを思って行動しているというのに……。
「グリィ殿、昨日交代の時に言ったことはちゃんと覚えているか?」
「『ダガーを胸に抱えて寝ろ』っすね! もちろんやったっすよ! そして今まさにそのダガーで戦ってるっすよ!! って、まさか今の状況ってわざとっすか!! 信じられないっす! うぁああぁあああ!! ちょっ! オースさんどこっすか!! スライムが多すぎて何も見えないっす!! 連携の訓練どころじゃないっす!! 助けてくださいっす!!」
「大丈夫だ、そちらの体力は把握している、本当にピンチになったら助けるから実技試験のことを思い出して自力で抜け出して見せるのだ」
「実技試験!? 痛っ! 顔面に体当たりしてくるんじゃないっすよ!! って、あ! アレっすね! ウィークポイントでしたっけ? 覚えてるっす! 覚えてるっすけど……! ちょっ! 苦しいっす! もうテントの中は満員っす!! こんな中で正面がどっちかも分かりにくいスライムの一点だけを狙うなんて無理っすよ!!」
「ふむ、仕方ない、少しだけ数を減らしてやろう」
自分は勢いよく起き上がって上に乗っていたそいつらを天高く飛ばすと、大量のスライムに手足に纏わりつかれながら騒がしい声のする方へとグイグイ進み、崩壊したテントを思考操作で亜空間倉庫に収納すると、彼女に群がっていたスライムの何匹かを指一突きで倒して、変化した〈スライムの粘液〉も亜空間倉庫に仕舞った。
「「ぴぃーっ! ぴぃーっ!」」
「うぅっ……ちょっと楽になったっす、これなら……」
なんとか腕が自由に動かせるようになった彼女は、ウィークポイントへの命中率こそ限りなく低いものの、群がるスライムに手当たり次第ダガーを突き立てて、少しずつ、少しずつその数を減らしていく……しかし。
「うーむ、このペースだと倒しきる頃には夕方になってしまうな……」
「分かってるなら手伝ってくださいっすぅぅ!! 連携はどうしたんすかぁぁ!!」
彼女が一匹倒すと別の一匹が近づいて、また一匹倒すとさらにもう一匹近づく……彼女に群がるスライムの行列は六百以上……一匹に一分もかけていたら、全部倒すのに十時間もかかってしまう……ここは彼女の言う通り、少し連携する方向で考えた方がいいかもしれないな……。
「よし、グリィ殿、一旦伏せるのだ」
「え? はいっす!」
自分は彼女を地面に伏せさせると、トルド殿から貰った槍を亜空間倉庫から取り出してその柄で力任せに辺りを薙ぎ払う、【身体強化】で上げられた筋力で振られたそれはグリィ殿に群がっていたスライムを遠くに吹き飛ばし、少しの間ではあると思うが空間に十分な余裕が出来た。
「グリィ殿、スライムの弱点は後頭部だ……跳ねて体当たりするときは必ずそのウィークポイントが反対側の上部に位置する……自分がスライムの攻撃を引き受けるから、あとはやってくれるな?」
「うぅっ……ちょっとまだ自信は無いっすけど、正面から狙うよりはいけそうな気がするっす」
「ふむ……なるほど……よし……」
そう言って自分は槍を片手に持ち、もう片方の手で亜空間倉庫から取り出した小石を掴みながらスライムの大群を見つめた。
それらを使って自分が本気で集中すれば、おそらく槍の突きも投石も全て的確にスライムのウィークポイントを攻撃して十分もしないうちに壊滅させられるだろうし、そんなことをしなくても【身体強化】と【体術】や【剣術(基礎)】の組み合わせで暴れまわれば弱点など関係なく一撃で仕留められてその半分の時間で全て倒せる。
しかしそれではグリィ殿の訓練にならないし、パーティーの連携も上達しないし、なにより自分の技術の向上にもならないだろう……自分はこの戦闘であえてウィークポイントを全て外して攻撃することで敵からただ攻撃のターゲットを取るだけに専念し、彼女の戦闘の質を高めると同時に、ついでに自分自身も何らかの戦闘技術を上げられないかと思ったのだ。
「さぁ……検証の開始だ……」
♢ ♢ ♢
《スキル【弱点感知】を獲得しました》
《スキル【手加減】を獲得しました》
《スキル【槍術(基礎)】を獲得しました》
《スキル【指導術】を獲得しました》
「うむ、まぁこんなところか」
「はぁ……はぁ……あぁぁあぁやっと終わったっすぅぅ……」
結局、夕方には差し掛からなかったものの、全てのスライムを倒しきったのは早朝から始めてそろそろ昼休憩を取る時間だなという頃だった。
自分はその戦闘で新たに獲得したスキルを確認すると、草原に仰向けに寝転がりながら息を整えているグリィ殿に布と水袋を渡し、自分も彼女の隣に座って汗を拭いたり水分補給をしたりする。
「疲れたか?」
「当たり前っすよ! なんで途中からスライムの抑え込みを緩くしたんっすか! せっかく弱点を突くのに慣れたと思ったのに、そこからは時々飛んでくるスライムを避けながら攻撃しないといけなくなったじゃないっすか!!」
「ふむ? 慣れたから難易度を上げたのだろう?」
「スパルタすぎっす!!」
まぁ、確かに戦闘継続時間的には多少厳しい長さだったかもしれないが、スライム相手であれば自分と一緒にいる限り命に危険は無いので、登山初心者が経験者に見守られる中ヘトヘトになりながら山に登るくらいの感覚だろう。
それにグリィ殿も感覚で分かっていたみたいだが、自分は【鑑定】で彼女にも【弱点感知】のスキルが現れるのを見て、それを使いこなしてスライムの処理が楽になっている様子を確認してから難易度を上げたのだ……それでも決して彼女が対応できないレベルまでは引き上げていないし、そのまま楽な状態で続けてもあまり成長は見込めないと思ったので少しだけ難しくしただけなのだ。
結果的に彼女はそれにもちゃんと対応できていたし、全てのスライムが片付くころには【成長強化】を初めとするいくつものスキルを獲得していたようなので、終わり良ければ総て良しというやつだろう。
馬小屋で寝泊まりするなど今までの人生経験で得たのであろうスキルも含めると、冒険者ギルドで人間観察と称して各ランクの冒険者を【鑑定】していた感覚から言えば、現時点でFランク冒険者にしておくにはもったいないレベルの力を持っていると思う。
▼スキル一覧(グリィ)
【打撃耐性】【加重耐性】【精神耐性】【病気耐性】【五感強化】
【知力強化】【身体強化】【成長強化】【短剣術(基礎)】【体術(基礎)】
【サバイバル】【気配感知】【視線感知】【人族共通語】【社交術】
「とりあえずこれだけ出来れば色々な依頼をこなせるだろう」
「そうっすかね……まぁ、オースさんと過ごすこの二日間で肉体的にも精神的にも色々と成長しているような気はするっすけど」
「うむ、戦闘訓練はこれで完了としよう……食事をとって少し休んだら、森で少しリンゴや食用のキノコを採ってから街に戻るぞ」
「え……森に入るんすか? 竜の食事処っすよ? 間引きされてないんで凶暴な獣がわんさかいるって話っすよ?」
「出会ってしまったらその獣もついでに狩ればいいだろう?」
「いやいやいや、狼くらいならともかく、サーベルタイガーなんて出てきたらFランク冒険者二人じゃ勝てないっすから! リンゴが食べたいなら街で買いましょうっす!!」
ふむ? フランツ殿も言っていたがあの虎はそんなに強い部類なのだろうか……確かにその爪も牙も驚異的だったが当たらなければどうということも無いし、丈夫な毛皮と筋肉で殴ったくらいでは殆どダメージが入らないが、一撃でダメなら百回殴ればいい事だろう。
それに、おそらくだが自分が入ろうとしている森の入り口程度の場所ではそいつらに出会うことすらないと思われる……検証のためとはいえ少し生態系に影響を与えすぎたかなと後で少し反省したあのスタンピード処理から一か月と数週間しか経っていないから、きっとまだ当分は森に棲む獣の量がそこまで回復しないはずだ。
「まぁ大丈夫だろう、なんならグリィ殿はここで待っていてくれても構わない」
「いや、竜の休息地に一人でポツンと待ってるのも、それはそれでドラゴンへの貢物にされているみたいで嫌なんすけど……」
「ふむ、確かにドラゴンが現れる可能性もあるのか……それならその時は自分が来るまで足止めしておいてほしい、ついでにドラゴンの検証もして帰ろう」
「ぜぇぇぇええっっったいに嫌っす!!! 荷物も持たずに全力で逃げるっす!!!!」
「うーむ、まぁいい……食事が終わったらなるべく早く採取してくるから、食休みの間だけでも待っていてくれ」
自分はグリィ殿にそう言うと食事の準備を始め、食事が終わると先に伝えていた通り一人で森の中へ入る……結局、予想通り獣には一匹も遭遇せずに大量のリンゴと食用のキノコが集められたので、昼過ぎには草原を出発して、間に一泊挟んで、その翌日の夕方ごろには商業都市アルダートンに帰ってくることができた。
特に依頼は受けていないが検証に協力してくれたこともあったので、倒したスライム三百匹分の素材を売ったら手に入るだろう金額を報酬としてグリィ殿に渡そうとしたのだが、何だかんだ色々と教えてもらってばかりだったのにそんなに受け取れないと言って、その半分だけ受け取ってもらうことになる。
実際に〈スライムの粘液〉は売っていない……というか、あまり使い道が無いらしく引き取ってもらえていないので亜空間倉庫に今も大量に眠っているのだが、そのうち何か利便性が発見されたら売れると思うのでその辺りは別にいいだろう……カロリーナ殿にはゼリーの材料として少しだけ買い取ってもらえたしな。
「じゃあ私はもう寝るっすよ、明日もよろしくっす」
「ああ、寝る前や朝起きた後に教えたことはちゃんとやるんだぞ」
「ストレッチってやつっすね? 分かってるっすよ、あれをやるようになってから身体の調子がいいんで、これからも続けてみようと思うっす」
「それなら良かった、おやすみグリィ殿」
「はい、オースさんもおやすみなさいっす」
宿屋〈旅鳥の止まり木〉の食堂で一緒に食事をとった後、グリィ殿とは挨拶をして別れ、自分は少し身体を動かすために宿屋の裏庭に出た……パーティーの拠点と決めたこの宿屋にはこれからも長くお世話になると思い、宿泊費は前もって一か月分まとめて払う方針にしたので、グリィ殿もしばらくは寝る場所の心配は無いだろう。
裏庭から見えるのは、鎧戸が閉められた窓から薄っすら零れる蝋燭の明かりと、夜空に浮かぶ数多の星々とこの世界の月”アルア”から降り注ぐ光のみ。
そんな静かで薄暗い世界で、自分は日課にしている体術の型の確認をして、トルド殿にせっかくもらった武器を使ってそれぞれの素振りを行った。
これは戦闘相手のいない自主訓練でもスキルの獲得や成長が行われるのかと、しばらくスキルを使わなかった場合その能力が下がったりスキルが消えたりするのかを確認する検証として始めたものだが、今日スライムを相手に一度だけ久しぶりに【剣術】を試してみたところ殆ど衰えていないようだったので、どうやら一度スキルを獲得したら使用しなくても消えることは無さそうだと言うことが分かり……。
《スキル【短剣術(基礎)】を獲得しました》
そして、実際に戦う相手がいる時と比べると獲得は遅いが、自主訓練だけでも戦闘スキルが獲得出来ることが分かった。
「うむ、スライムとの戦闘で【体術】のキレが良くなっているのも感じたし、スキルの獲得や成長を考えて自主訓練は無駄にはならなそうだな」
そうと分かれば自分がやることは決まっている。
スキルの成長限界は分からないが、分からないからこそ検証するしかないだろう。
「ふむ……なるほど……よし」
「とりあえず毎日全戦闘スキル素振り千回だな」
こうして今日も長い夜は更けていくのであった……。
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