第4話 霊感の強いBちゃんの話

 霊感の強い友人Bちゃん


「私ね、自分の力を使って、悪霊がとり憑いているか、とり憑いていないか視えるようになったんだよ」


 小学生の頃、よく一緒に遊んでいたBちゃんはそんなことを私に教えてくれた。

 Bちゃんは霊感が強く、たまに幽霊の話もしてくれた。その日も、休み時間に運動場で一緒に遊んでいたときに、Bちゃんは本に書いてあった方法を覚えたのだと、私に教えてくれた。私と話しながらも、Bちゃんは「ほら、あの子悪霊に憑りつかれている」と、私に教えてくれた。私は「凄いね」と相槌しながら、今日の放課後、Bちゃんと一緒に遊ぶ約束をして教室に帰った。Bちゃんと私は、互いに家と小学校が近く、よく学校やお互いの家を行き来して遊んでいた。

 放課後、私たちはランドセルを各々家に置き、学校に集合することにした。

 その日は、母が弟を幼稚園に迎えに行っていたため、家には誰も居らず、一人で家に帰り、飼い犬の鳴き声を聞きながら、裏口の鍵を持って学校へと直行し、先に着いていたBちゃんのもとへと慌てて向かった。


「Bちゃんお待たせ!」


「大丈夫だよ!」


 ブランコで先に遊んでいたBちゃんは、機嫌を特に悪くしたわけもなく、ニコニコと私を許してくれた。それで安心したのだろう。私は早速、Bちゃんに悪霊の見分け方について聞いてみた。Bちゃんは私の質問に快く答えてくれた。


「あのね、目をつぶって集中するの、その後、視たい人を見ると、その人に色が付いてるの」


 Bちゃん曰く、視たい人が何の色をまとっているかで、悪霊が憑いているか、憑いていないのかが分かるのだと、説明をしてくれた。私は説明を聞き終えた後、好奇心から自分を指さしてBちゃんに聞いてみた。


「私は?どう?」


 そう問いかけた私に対して、Bちゃんは静かに目を閉じ、しばらく沈黙する。程なくして、Bちゃんがいきなり目を開け私を勢いよく見る。その表情は何故か焦っていた。


「早く家に帰って!!早く!!」


 来たばかりなのに家に帰れとは・・・と、思ったが、Bちゃんがあまりにも怖く、私も感化されすぐに家まで走った。走れば1分もしない位置にある家にすぐ着くと、ポケットに入れていたカギを取り出し、鍵穴に刺そうとドアノブに触ったとき。


 ・・・カチャ。


 扉が開いた。私はしばらく恐怖で動けなくなり、ドアを勢いよく閉めるとカギを掛け学校へと慌てて戻る。私はブランコに座っているBちゃんのもとへ走り、勢いよく話しかけた。


「凄いね!家の鍵が開いていたなんてよく気づいたね!」


 私が恐怖心と興奮を混ぜ込みながらBちゃんに話しかけると、Bちゃんは私の問いに答えず、視線が彷徨っていた。私はBちゃんの様子が気になり、再度名前を呼ぶと、彼女は私の目を見ながら話してくれた。


「あのね?実留ちゃんに悪霊は憑りついていなかったよ?」


「そうなんだ、でもどうして家の鍵が開いていることに気づいたの?」


 Bちゃんは一度私の家の方面に目線を向けると、困惑気味に話し始めた。


「実留ちゃんさ、学校に来るとき、裏口から来たよね?」


「うん、玄関で犬飼っているから、裏口をいつも使っているよ?」


「実留ちゃんを視たときね?裏口が視えたんだけど・・・」


 Bちゃんは一度間を開け、私に伝えてくれた。


「裏口のドアに、手を掛けようとしていた黒い影が視えて・・・あの悪霊、実留ちゃんの家に入ろうとしていたんだよね」


 私が慌てて駆け付けたため、悪霊はいなくなったそうだが、着くのがもう少し遅かったらと思うと、今でもゾッとします。

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