第3話 名前のない日々【前編】

俺と萩井は、門をくぐって特にこれといった会話もないまま教室に入ってた

「久しぶりの教室だ」っと思ったら、そーいや一週間前も補習で来てたんだった

「あんた!補習は、ちゃんと行ったんでしょうね?このままじゃ」

少しハスキー気味のとても聞き覚えのある声だった。

「ああ、行った行った」

女子のこのクラスの学級委員【月乃 あや】だ。

いつも補習で俺が呼び出される度に注意喚起をしてくる。

学業優秀で美人だが、いつもなにかと怒っているイメージがあり正直いうと

関わりにくいというか近づきずらいというか、だけど俺ら補習組の面倒を

見てくれたり進級できるか先生に裏でこまめに確認しに行ってくれているらしい

俺なんか、一度もそんなことしに行ったことないが…

まあなんだかんだ面倒見のいい奴だ。

これは、いわゆる男の桃源郷であるツンデレという分類に入るのだろうか

そんなことを考えていると

ペチン!

俺は、考え事をしている最中に教科書でひっぱたかれたようだ。

「いてっ」

月乃「ちゃんと話聞いてるの?補習に行ったとしても、あと二回赤点取ったら

留年が確定しちゃうのよ?」

そんなもん俺が一番分かってるよ

俺は、頭の中でそうつぶやいた

「とにかく取り返しがつく内に頑張るのよ」

そう言って月乃は、その場を後にして、自分の席に戻り小説を読み始めた

「取り返しがつく内ね-」

俺は、窓の外を見ながらボソッと言った。

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