第51話 幼馴染と最低男②
頭が一瞬真っ白になったかと思った。
二度と見たくもないと思っていた男、私の愚かさの象徴とも言える男、思わず自分への怒りで頭の中が真っ白になってしまった。
「やあ、楓さん。久しぶりだね、元気そうで良かったよ」
「……よく私の前に顔を出せましたね、それと下の名前で呼ぶのやめてもらえますか?」
私はポケットにしまったスマホを操作しながら、三枝へ返答する。
「一度デートした仲じゃないか?それに何度も2人で会ったりしただろ?
恋愛相談にも乗ったし、そんなに邪見にしなくてもいいじゃないか、楓くん」
「……今ここに呼びましょうか?あなたの義妹を。そして私の実妹である紅葉を」
「……はぁ、分かったよ。いま紅葉には会いたくないからね、久遠さん」
「それで何の御用ですか?妹さんからも逃げ回っているようですけど?」
(クソッ、やはり紅葉からある程度の話は聞いているか……)
「久遠さん、興味はないかい?俺が君の相談に何で乗っていたのか?
良かったら、少し落ち着けるところで話をしないかい?」
(何かある。でも、こいつの企みを明らかにするには、いまは誘いに乗るか……)
「えぇ、いいですよ。では丁度近くに『小戸公園』もあります。この時間ならあそこはあまり
(……こいつ、バカか?わざわざ人気のない公園だと!?誘ってやがるのか?このビッチが。まあ、こちらには好都合だけどな)
「……公園か、そうだねでは『小戸公園』で少し話そうか。あまり人に聞かれたい話でもないしね」
(乗ってきた。バカね、誘いとも知らずに。もしかして私の身体狙い?少しでも触れてきたら再起不能にしてやるわ)
「では、行きましょうか?三枝さん」
「あぁ、行こうか。久遠さん」
2人それぞれの思惑があり、舞台は『小戸公園』に移ることになった。
お互いに気づいていないが、それぞれが相手に侮蔑の表情を浮かべていることに2人は気づかないまま歩く。そして、移動中の2人には一切の会話もなかった。
――――小戸公園に到着。
「では、公園の中にある小戸神社の方にでも行きましょうか」
(小戸神社か、この時間だと
「あぁ、いいよ。行こうか」
「(……こいつ、やっぱりロクなこと考えてなさそうね、小戸神社と聞いた途端に笑ってたわ、バレてないとでも思ってるのかしら)」
「(この女、本当に俺を誘ってやがるのか?頭も股も緩いビッチが)」
2人は心の内で互いに罵りながら、公園の中にある「小戸神社」へと移動する。
安産祈願に霊験があると云われている公園にある小さな神社である。そんな場所で2人は最初から友好さの欠片もないまま話し合いを始めようとしていた。
「さて、まずはそちらの話から聞きましょうか」
楓が光一に話を促す。
(ふむ、確かに俺たち以外に
光一も計画を進める決意を固めた。
「いいよ、俺から話そうか。
なんで俺が君の相談に乗り、あんなことをしたのかをね」
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