第49話 ???
見かけたのは偶然だった。
俺は彼女に会いたくなると、美里さんを見に行く。ただ眺めているだけ、まだ行動するには早いから、いまはまだ見ているだけだった。
この日も俺は美里さんを見に行った。
彼女の行動パターンは一定だ。家庭に入ってからはあの男の会社へ行き、15時くらいに近所のスーパーで買い物して、いつもの散歩コースをのんびりと楽しみながら帰宅して行く。
その日は、いつもと違っていた。
美里さんと、忌々しいあの女が帰宅途中に出逢ったのだ。あの愚かな女と。だが、問題はあの女ではない。
俺にとっては義理の妹。旧姓は
あの愚かな女、
つまり俺の情報もある程度は姉妹で共有されてると見た方がいいか。姉妹間でなら構わないが、美里さんに俺のことが伝わるのはあまり良くない。
公園で話をしていた3人が移動を始めた。
クソ、一体何を話しているのか……どうやらあそこのカフェに入るようだ。
これ以上は近寄れない。俺はカフェの外で待つことにした。
……何を話しているのか、気になるが確認する術がないのがもどかしい。
美里さんと久遠楓、そして紅葉の3人がカフェに入って1時間くらい経過した。
……仕方ない。時間をかけて久遠剛側から崩していくつもりだったが、方針を変更するか。
幸い紅葉は俺が海外に行ってると思ってるはずだ。俺は美里さんを取り戻す為に動く覚悟を決めた。そして、カフェから出て来た3人を見送る。
俺は美里さんの姿が視界から消えるまで、ずっとその姿を見てめていた。
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side:
姉さんや美里さんと話をしてから数日が経過していた。
そして、今日は義兄の借りている部屋に来ている。使われていない部屋とはいえ、掃除や空気の入れ換えは必要だからと、母に頼まれて1人で部屋に来ていた。
それに少し気になっていたことがあるから。何かを見た気がしたのだ。何かをこの部屋で。
そして見つけた。以前に感じた違和感の正体がはっきりした。
久遠美里さん。姉さんの新しい家族であり、実父と再婚した女性。先日姉さんと一緒に話をさせてもらった時に、何処で見た気がした。でも何処で見たのか、もしくは会ったのか分からなかった。
ずっと、ずっとモヤモヤしていた。
その正体は写真だった。あまり飾りや物がないこの部屋に飾られていた兄と女性が映った写真。その写真の中で、兄の横にいる女性こそが美里さんだ。
これは一体何の意味があるのだろうか?
美里さんに聞いていいのだろうか?義兄とはどんな関係なのか?
さて、どうしよう。
困った……そうだお兄ちゃんに相談しよう。わたしは1人で抱え込まずに、お兄ちゃんを頼ろうと決めた。
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