第47話 幼馴染委員長の抜け駆け(中編)
「つ、翼くん?
あ、あれ?何で2人と一緒に?」
「七海?……あぁ、そうか。
松岡さんや長瀬さんと3人で遊びに来ていたんだな」
「うん。あぁ、なるほど。
翼くんも南雲くん達と遊びに来てたんだね」
「そうそう、それでさっき偶然そこで松岡さん達に会ってね。それでお昼を一緒にと誘われたところだよ」
「ね、七海さんもいいでしょ?」
「うん、もちろんいいわよ。昌美ちゃん」
…そうか、松岡さんって昌美ちゃんと言うのか。
七海達3人と、俺達3人との合計6人で一緒にお昼となった。
気になるのは、さっきから茂が大人しい……何か勢いで一緒に七海達とお昼に行くことになったのだが、気乗りしてなかったのかもしれない。茂はシャイなところがあるから、無理をさせてしまったか?
「(おい、翼……ちょっと話があるんだ)」
「(ん?どうした茂?小声で)」
「(あぁ、茂はアレか?松岡さんだろ?)」
大地が頷きながら会話に加わる。
「(ん?何のことだ?松岡さんって?)」
「(茂の好きな女の子って、松岡さんなんだよ。
よしよし、俺達に任せておけ茂)」
「マジか!?茂って農作業しか興味ないと思ってたぞ!おまえ好きな女の子いたのかよ!」
「(シッ、声が大きいって、翼)」
「す、すまん」
「(まあ、いいタイミングで松岡さんと2人になれるようにしてやるよ。な?翼)」
「(あぁ、もちろんだ。協力しよう)」
「ありがとう。大地、翼」
「ねえ?男同士で何をコソコソ話してるの?もしかして……私達を何処に連れ込んじゃう相談してたりして〜」
「「「!?」」」
気づいたら、長瀬さんが後ろから話かけてきた……ちょっとビックリしちまった。
さて、何と返すかと考えていたら……
大地は黙って長瀬さんに笑いかける。
「え!?その笑顔なんなの!?冗談で言ったのに、なんなのー!?」
凄い、流石は大地だ。笑いかけただけで誤魔化してしまった。
そんなやり取りをしつつも、俺達は学生御用達の九州中心に展開されている格安ファミレスへと向かった。
ファミレスに到着して席につく。席の並びは右から俺、大地、茂。正面に座る女の子達の並びは、七海、長瀬さん、松岡さん。
自然と松岡さんの前に茂が座れるようにアシストした。俺の前には七海が座ることになったが、まあこれも自然なことだろう。
このファミレスは安くて旨い。ドリンクバーも充実しているので、学生もつい長居をしてしまう。
茂も1対1では会話が弾むとはいかないが、俺や大地も交えながら松岡さんとの会話を楽しんでいた。
そして食事も進み自然とこれからの話になっていく。まあ、結論から言うとこの後もみんなで遊ぼうとなった。
茂へのアシストを考えたら、こちらも願ったり叶ったりである。茂も机の下で小さくガッツポーズを決めている。
いつも茂は、土のことや再生させている海岸のことばかり話をしている。そんな茂の高校生らしいところが見れて新鮮だ。
ファミレスで食事した後に向かったのは、VRが楽しめるアミューズメント施設だ。
俺はゲームが大好きである。そして松岡さんもゲーム好きらしく、俺と松岡さんが何故か意気投合してしまった。そして、俺があまりにも松岡さんと仲良くしてしまったことが、七海を暴走させるきっかけになったことを、この時の俺は知る由もなかった。
そして幾つかのVRゲームを遊びながら、お化け屋敷体験型の2人1組で遊ぶゲームで事件が起こることになる。
2人1組……まあ、男女それぞれでペアを組むのが定石だろう。俺達も当然ながら茂のアシストに動く。一番いいペアの組み合わせとしては、俺と七海、大地と長瀬さん、そして茂と松岡さん。
このメンバーが最もいい組み合わせだと思っている。
だが、ここで不測の事態が発生する。きっかけは長瀬さんの一言。
「ねえ、七海さんと翼くんをペアにしちゃうと新鮮さがないじゃない?
男女でシャッフルしましょうよ?」
「はぁ?何言ってるの?智子ちゃん!」
へぇ〜長瀬さんって智子ちゃんと言うのか。
俺とペアを組む気しかなかった七海が憤っている。
「まあ、まあ七海さん」
そう言いながら七海が長瀬さんに連れて行かれ女子達がコソコソ話している。
そして数分後……
不機嫌なんです。と表情に出ている七海が戻って来た。
「お待たせしました。こちらはシャッフルで話が纏まりました。翼くん達もそれでいい?」
長瀬さんがそう尋ねる。
「俺はいいぞ。翼や茂はどうだ?」
「俺もいいよ(……うわ、七海が睨んでくる……怖っ)」
「(俺は……松岡さんとが良いなぁ)……あ、はい」
茂は本音がボソボソと言うから、誰にも聞こえてないだろう。
そして…よくあるアプリを使ったペア分けを使った結果
大地と長瀬さん
茂と七海
俺は松岡さん……すまねえ、茂
――――――――――――――――――
【読者の皆様へお願い】
作品を読んで『面白い、面白くなりそう』と思われた方は、目次の下にあるレビューから★3を頂けると嬉しいです。作品フォロー、応援、わたしのユーザーフォロー大歓迎です!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます