第2章 幼馴染たちは動き出した

第16話 幼馴染同盟の定例会議&男子トーク

 これは翼と楓が会話を交わした日の夜の出来事


 ――――幼馴染同盟グループLIINE部屋にて


 天:「……以上が、お兄ちゃんから聞いた楓とのやり取りです。」


 天:「お兄ちゃんから、このグループメンバーには全部話してもいいそうなんで共有しました。楓の許可も得てると言伝をもらってます。」


 紅葉:「聞かれる前に言っておきますよ。楓姉さんを唆した大学生……恐らく義理の兄です。同姓同名の別人でなければ。修悠館学院しゅうゆうかんがくえん中等部への入学を機に、以降はずっと一人暮らしをしています。わたしと一緒に暮らした期間はあまりなく、稀に実家に戻ってきた際に話すぐらいですね」


 茜:「世間は狭いものだな、しかし偶然なのだろうか?」

 

 紅葉:「それ、わたしも少し気になるんですよね、少し探ってみましょうか」


 茜:「では、その件は紅葉に任せようか。それで、久遠はいま結局どんな立ち位置なんだ?」


 天:「とりあえず告白して断られてるから、ポジション的には天たちと同じですかね」


 七海:「私、ちょっと明日話をしてみようかな、久遠さんと。紅葉ちゃんは久遠さんには会わないでもいいの?」


 紅葉:「わたしは、少し考えます。楓姉さんも轟沈した後なんで、今なら会っても良いですが、久遠の父とわたしの母がいろいろありましてね」


 茜:「私たちと久遠の関係性はどうだろう?この同盟には誘うのか?」


 天:「楓もここには合流しにくいでしょう。そもそも、あの人は自分がどうしていくか、今まさに考えてる最中だと思いますよ」


 七海:「天ちゃんは、久遠さんの絶縁はどうするの?」


 天:「浮気とは違うのかもしれませんが、あれを目撃した者としては、ちょっと思うことがありますね。前と同じようにはいかないでしょう。でも、久遠さん呼びだけはやめてあげようかなと。呼び方だけは楓ちゃんに戻してあげますよ」


 七海:「久遠さんと言えば翼くんの絶縁って言葉凄いよね、そんなに日常では聞かない言葉だし、インパクト強いよね」


 茜:「確かに。絶縁なんて、そうそう使う言葉じゃないな」


 天:「まあ、普通はそうですよね。でも天はあまり意外でもないんですよ。お兄ちゃんが幼馴染に絶縁って言葉を使ったの楓ちゃんで2回目だし」


 七海:「え?翼くんに絶縁された幼馴染って他にもいるの?」


 紅葉:「これフラグですか?その幼馴染が復活してライバルになったりして(笑)」


 茜:「幼馴染はそんなにポンポン増えないだろう?」


 天:「そうですね、その幼馴染は日本人じゃないから、復活なんてないでしょう。あちらもお兄ちゃんのことは、もう忘れてるでしょうしね」


 七海:「外国人?え?そんな人と幼馴染だったことあるの?翼くん」


 紅葉:「何処の国の人です?」


 茜:「私も初めて聞いたな……いや、まさか?あれか?翼と天が短期留学したあれか?」


 天:「そうそう。そのアメリカ留学ですよ。最後にお兄ちゃんと大喧嘩して、お互いに絶縁してやる!ってなったんですよ。懐かしいなぁ」


 七海:「あ!確かに私が転校する時に、翼くんと天ちゃん海外に短期留学してたよね」


 天:「時期的にはそうでしたね、帰国したら七海ちゃんが転校したのを知ったんですよ」


 七海:「あの時は本当に急でゴメンなさい」


 紅葉:「まあ、子供には選択肢なんかないんですから。それよりも、そのアメリカ人の幼馴染が、今度は逆留学してきたりなんて、ありそうですよね?」


 天:「そんなご都合主義な展開はないでしょう。お話じゃないんですから。それより、あの件を決めてしまいましょうか?」


 茜:「そうだな、あの件を詰めてしまおう」


 紅葉:「いやぁ、楽しみですね〜」


 七海:「翼くんを驚かせてあげようね」


 茜:「これが成功すれば、私たちも動きやすくなる。必ず成功させよう」



 幼馴染同盟の定例会議はまだまだ終わらない。


  ――――そして、定例会議終了後に天から「ある人物」へメッセージが飛ぶことになる。

 それが、明日巻き起こる騒動の最初の一歩になった。



 ―――――――――――――――



 幼馴染同盟が定例会議を開いている同時刻


 翼と南雲大地なぐも だいちがLIINEでメッセージのやり取りをしていた。


 翼:「……と、こんなことがあったんだよ。実はな」


 大地:「あぁ、どうも変だなぁと思ってたら、そんなことがあったのか……でも、俺にその話をして良かったのか?」


 翼:「大地には知っておいてもらおうと思ってな。知らない仲じゃないんだから。それに楓や天からも、おまえには話をしていいと話は通してある。どうせ大地にはすぐバレるだろうと」


 大地:「(笑)……そのセリフは天ちゃんらしいな。しかし、姉さんも何か昨日からおかしなテンションだったが、ついにおまえに告白したのか」


 翼:「茜さんに想われていたとは思わなかった。ずっとおまえと同じ弟枠だと思ってたからな」


 大地:「俺からすれば何故気づかないのか、不思議だったんだがな?俺と扱いが天と地ほどに差があったじゃないか!それより、中野さんだよ、中野さん。まさか小学校の時の大久保さんとは思わなかったぞ!」


 翼:「俺も驚いた。まさかあんな大人っぽい美人女子高生に変わってるんだもんなぁ」


 大地:「あの色気は女子高生のものじゃないよな。と言うかエロい。人妻かよ!って思えるくらいに色気が凄いよなぁ」


 翼:「あまり変なことをクラスで言うなよ?七海は女性陣にも人気あるから、クラスの女性陣を敵にまわすぞ?」


 大地:「おぉ怖っ!気をつけるわ、滅多なこと言わないようにしないと」


 翼:「それでさ相談なんだ。楓のことでさ」


 大地:「昨日のおまえのアレか?クラス的にはおまえが振られて、ヤケになって絶縁とか言い出した痛いヤツみたいな感じになってるぞ」


 大地:「ただ、振られた腹いせに、一方的に幼馴染を突き放し絶縁した。ってイメージを女子たちには持たれているな」


 翼:「まあ、俺はそれでいいよ。いまさら発言は取り消せないし、悪いイメージは甘んじて受けるよ。それで楓は、何か変な風には思われてないか?」


 大地:「元気ないから、みんなに心配されてるよ。おまえを振るとは思わなかった。みたいに女子の子たちが話をしてるのは聞こえてくるけど」


 翼:「そうか、俺のアレで楓に変な迷惑をかけてないか、少し気になってたんだ。あまり聞かれたくもないなら、ヤケクソであんなことしたからな」


 大地:「俺に話をしたかったの本当だろうけど、久遠さんのクラスでの状況を聞いておきたかったのが本命だろう?」


 翼:「両方本命だよ。おまえに話を聞いてもらいたかったのも、楓のこともどちらもだ」


 大地:「俺はどうしてもおまえ寄りで考えちまうけど、しかし久遠さんも何やってんだかな。今は断然おまえには、姉さんを推すぞ」


 翼:「おまえからすれば、そうだよな。いまは無理と、みんなには断ってるんだけど、誰も聞く耳を持ってくれないんだけど」


 大地:「まあ、ハーレムみたいな感じになってるが、おまえが不義理なことをしなければ実害はないだろう?翼も少し落ち着いて、みんなのことをちゃんと見てから、また考えてみればいいと思うぜ?」


 翼:「サンキューな大地。おまえと話せて少し気楽になったよ。俺には勿体ない女の子たちだから、俺に縛られて欲しくないんだけど」


 大地:「おぉ、いつでも相談くらいにはのるぞ。しかし俺にも出会いが欲しいなぁ」


 翼:「何言ってやがる。おまえ、しょっちゅう告白されてるじゃねえか!」


 大地:「そうだった(笑)まあ、俺は高校は野球に専念するからな!」


 翼:「じゃあ何で出会いなんて言ってるんだ?」


 大地:「言ってみただけ。まあ、恋愛はおまえの修羅場の様を見て楽しんでおくよ」


 翼:「この野郎……まあ、俺がこの状況に一番戸惑っているんだけど。俺、初恋が終わったばかりなんだけど……」


 大地:「女子たちの誤解を解く手伝いくらいは、いくらでもやってやる。いつでも頼れよ?」


 翼:「ありがとな。でも、誤解を解くと楓がややこしいことになるからなぁ」


 翼:「まあ、何か困ったらその時には頼るよ。大地」


 

 翼と大地のやり取りはこの後もしばらく続いた。

 2人は知らない。明日騒動が巻き起こることに……



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 次回予告:幼馴染たち、動きます!

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