Ep5 ”妖精”のラストショー // アクト

0 // mindless evening : awaking colorless

 窓のない、白い部屋。

 何一つ装飾のない、ただ白いだけの病室。

 その中央のベットに、一人の少年が横たわっていた。中学生になったばかり、その位の年頃の、やせこけた少年だ。ほとんど布のような病院服を身に着けた、色が抜け落ちたような、銀髪の少年。

 息はしているらしい。心臓の脈動をすぐ傍に備えられた機材が示している。瞼も開いている。

 けれど、その黒い瞳――天井を眺める目は虚ろで、焦点が合っていない。

 身体はそこにある。だが、意識はどこかへと旅立ってしまって、存在しない。

 そんな人形のような少年が、その部屋に一人――

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