第633話 未練を断ち切るために

「何らかの方法でこちらに来れないようにしてしまうか、いやその前にこちらからあちらに行けてしまう事にも問題があるから、破壊するか埋めるか、物理的に使用できないようにすべきと思うけど、どうだろう?」


早起には悪いけれど、この世界に万が一があると非常に問題になる。

これが僕だけの問題であれば、もしかしたら日本に戻ったかもしれないけれど、今は愛する妻や子供、そして領地には領民もいるし、知人友人も沢山いる。


今やこの地が僕らの住む場所。

それにもしドローンのようなのを向こうに送り込み、生存者を発見した時、どうなるか。


助けを求めている場合、助けられるのか?

放射し物質による被ばく・未知のウイルスにより著しいく健康状態が損なわれている場合は?


もし助けたとして、そのせいでこちらの世界に甚大な被害が出てしまう可能性がある。

これは何度も考えた事だけど、それでも常に考えてしまう。

幸いにして日本人の妻達全員と内元夫妻は向こうに未練はない様子。

どちらかと言えば僕が考えているような理由でこちらとあちらの交流も否定的。


・・・・物理的に使えなくしてしまおう。

ただ日本に存在する相方の建造物はどうにもならないので、魔大陸にある建造物を破壊あるいは埋めてしまう。


何か画面の操作で色々できるようだけど、知識があれば変更した設定も元に戻す事ができるはず。


それにこちらとあちらの行き来は転移装置?

場所は決まっているのでそこを重点的に破壊するか、場合によってはそこの部分を取り除く?


一応早起に相談しよう。


・・・・

・・・

・・


「えー使えなくするのお?別にいいけれどお?魔族はあっちに行っちゃったら生きられないからさあ。魔族の為にもない方がいいかもねえ。」


魔族は大量の魔力が必要。

日本には、いや地球には魔力なんかないので、日本で活動するのは何か魔力を貯蔵しておくものをもっていかないといけないんだろう。ついうっかり日本に行ってしまえばどうなる事やら。


「早起、あの施設を破壊及び物理的に使えないようにしたい。設定を変えた場合は、もしかしたら知識があれば別の人が設定を変えるかもしれない。だから直接何とかしたい。」


早起は暫く考えたのち、


「まずはあ、システムの停止かなあ?魔力を取り込む部分を何とかすれば起動できないしい。」

修理すれば再び稼働するんじゃ?


「その後に埋めちゃう?結構大掛かりになっちゃうけどお。」

「それに関しては魔力のごり押しで何とかなるんじゃないかな。土魔術を多用すればどうにでもなりそう。」


誰が何の目的であのような施設が作ったのか知らないけれど、僕が使えないようにしても誰も文句を言わないよな?

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