第631話 犯罪奴隷

犯罪奴隷。

つまり何らかの罪を犯し、その罪を償うために奴隷落ちしてしまった人の事。


この世界では奴隷はごく普通に存在しており、罪を犯して奴隷落ちする場合や、借金の返済ができずに奴隷落ちする場合もある。

これらは合法奴隷と呼ばれており、広くこの制度は普及しているようだ。

あと戦時奴隷もあり、これらは勝戦国が敗戦国の人々を奴隷として扱う場合。

これらは色々あるようで、民間人の場合はある程度身元が保証され、奴隷としての扱いは比較的緩い。

一番きついのは犯罪奴隷。

特に一生奴隷になってしまう程の罪を犯した者は、その人権は無いに等しい。


あと、非合法で人狩りが、若しくは人攫いがどこからともなく人を集め、奴隷にしてしまう。そして闇市で売りさばく。


労働させる場合もあれば、慰み者として扱う場合もある。ただこれらはまだましなほうで、中には人体実験に使われたり、剣の試し切りの被害に遭ったり凡そ人として扱われない場合もある。


闇は深い・・・・


そしてアーダはこの中で犯罪奴隷を送り込むように提案をしてきた。


なお借金奴隷は借金を返済するまで奴隷。ただこれらは借金の度合いによって扱いが違い、特に女性は一般的な奴隷と性奴隷を選択できる。

性奴隷は通常の奴隷の半分の期間で済む事もあり、選択をする女性も多いようだ。

ただこうした事を嫌う女性は圧倒的に多く、当然ながら通常の扱いを選択した女性を性奴隷同様の扱いをした場合、その人物は犯罪者となる。


うーん・・・・奴隷と言ってもなかなかに色々あるな。


あまり個人的には関わらないでおこう・・・・



「順平殿、話を聞けばあちらは相当危険があると言う。それも目に見えない危険とか。そしてそのあちらの危険な何かをこちらに持ち込ませたくはないと言う。ではどうすればいいのか?知能のある人を、二度とこの地の戻らせぬように送ってしまうのじゃ。それには重犯罪を犯した者もじゃが、一番良いのは戦犯を送り込むのじゃ。戦犯と言ってもいろいろおってのう。他国との戦いで負けた国の面々の場合もあるが、貴族同士の争いで敗れた相手側や政治犯じゃな。どうじゃ?」


「・・・・アーダ、どうじゃと言われても、その人達は僕達の元居た世界の知識はないだろう。」


「そこは魔道具や順平殿の持っておる機器で補佐をすればよい。運がよければ送り込んだ面々は向こうで生き延びる事ができる。じゃがこのままこの場に留まれば、待っておるのは犯罪奴隷のまま死を迎える恐怖じゃ。」

・・・・どうする?

「ちょっと相談します。それと、もし向こうに送り込むとして、場合によってはあちらに生存者がいる場合があります。その人達を害するような事があってはならないので、もし送り込むとしてもその辺は大丈夫なのか?」

「順平さんそれは問題ないわ。」


ザーラが何故か自信満々に答える。

「どうしてだい?」

「魔道具を装着させておけば、万が一そう言った罪を向こうで犯した場合、見つけ次第その場で死なす事ができるからよ。」

「うわ、それって遠隔操作できるの?」

「・・・・そう言えば順平さんの元居た世界とこちらて魔道具作動できるのかしら・魔道具だけで試す事ができればいいのだけれど。」


それ大丈夫なのかい?

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