第623話 魔力を込めると開くとか

あれから色々試すも撃沈。


オイヴィも果敢に挑むもやはり沈没。


こうなると魔族である早起が試せば、と思うのだけど、


「飽きちゃったあ・・・・」


あろう事か階段を枕に寝ている!

いや、首痛くならない?


「ちゃんとクッションしてるから大丈夫よお。ささ、早く開けて?」


「それなんだけどさ、人間である僕やオイヴィ・・・・オイヴィって人間なの?エルフだったりしない?」


オイヴィは出会った時から歳をとっていないのではと思う程、姿が変わらない。


なので長寿なのでは、と思ったんだけど、さらにはあの美貌。

「純粋な人と言えるかはわからぬ。はるか昔に私の祖先にエルフがいたと聞く。」


ああやはりそうなんだね。


だけど僅かでもエルフの血が入っているオイヴィでも駄目。


「さあ早起、今度は君がやってみて。」

「えーやだよお。」

「やだって・・・・ここまで来た意味がなくなるかもしれないし、さあ頼むよ。」


「仕方ないわねえ。」


早起はしぶしぶ起き上がり、順平が示す壁に手を触れる。

待つ事暫し・・・・


「ねえ、どうするのお?」

早起は今までの話を殆ど聞いていなかったようだ。


「魔力を込めて。間違っても魔法を発現させないで、たんに魔力を込めるだけ。」


「難しい事を言うのねえ・・・・あらあ?あいたわねえ。」


早起が少し魔力を手に込めると、呆気なく壁が動いた。


「さあ行くわよお。」


躊躇なく進んでいく早起。


急いで後を追いかけるとそこには・・・・


「あれえ?お嬢?お嬢生きてたのかい?」

どうやら知り合いがいたようです。


「あらあ?ここってもしかしてえ、おじちゃんのおうちい?」


「あれ?お嬢は知らないのかい?」


「知らないよお。興味なかったしい。」

「そうかそうか。ここはなあ、いやそうじゃないな。地上の街並みこそが偽装でなあ。こっちが本命さ。それよりお嬢、お嬢の連れってまさかと思うが・・・・」


「人間よお。でもお父様を殺したやつとは違うわよお。でもお父様と戦って勝ったらしいけれどねえ。」


「ああ、こいつですかい、魔王様がえらく執心してた身体って。」


おいコラちょっと待て!

本気で切れそうになった!

今のだと魔王は僕の身体をいたく気に入り・・・・

想像したくない。

いやそれより僕のこの身体を執心?


「魔王様は次の身体を探していたのはお嬢も知っているはず。そんな中いくつか候補があってねえ。そのうちのひとりって奴だな。なああんた、魔王様はあんたに色々置き土産してったろ?」


「いくつか罠を仕掛けられ、見事に引っかかったよ。」

「だが残念だった。結局魔王様は消えたからな。」


所で貴方は何者なんですか?

そう聞きたいと思ったけれど、暫く様子を見よう。


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