第621話 結界の中は

オイヴィが起きます。

暫くぼーっとしているようですが、ハッとなって、


「す、すまぬ順平殿、ここまでとは思わなかったのだ。」


何の事か分かりませんが、どうやらオイヴィはこうなる事を知っていた様子。


「なあオイヴィ、怒らないから話そうか?」


「そ、その、異性と触れ合った状態でゲートを利用すると、せ、性欲が増大し、そ、その後の感じ方が凄いと聞いていたのだ。」

・・・・何それ?

「ちょっと待てオイヴィ。それはどういう事だ?」

「・・・・すまない。」


オイヴィはそう言ってどこかへ去っていきました。

・・・・どういう事?

「オイヴィ勝手な行動は駄目だ!戻れ!」

急いで追いかけます。

「ちょっと何なのよお?」


暫くするとオイヴィは・・・・建物の陰でしゃがんでいました。

まだまともに動けるはずもなく、途中で限界に達した様子。

「さっきのは後で聞くから、今は勝手な行動は駄目だ。オイヴィらしくない。」

「す、すまない。混乱してしまったようだ。こうなると聞いてはいたのだが、私の予想以上だったのだ。すまない順平殿。」

後できちんと調べよう。


「ねえ、あれどうするのお?」

早起が示したのはゲート。

あ。忘れてた。

急いで回収に向かいます。万が一があると困るので城壁の向こうのゲート、つまり先ほど使った方も回収します。

さて結界の中はどうなんだろう?


するとどうやら色々な気配があります。

ありすぎて場所が特定できません。

「あらあ?どうやら誰かいるようねえ?」

早起も気が付いたようです。

「うーん・・・・店の人かなあ?たぶん地下ねえ。」


地下って、どうして?


早起はどうやら知っている店があったのか、一つの建物の前に立ちます。

「ここねえ、いい服扱っているんだあ。」

衣類を扱っている店のようですが、パッと見た感じ人はいません。

ただやはり人の気配はします。


早起が言ったこの店、周囲も普通に店のようです。

そして同じように気配はあるのですが、周りに動くものは見当たらないんです。


「なあ早起、この辺りの建物って地下があったりするのかい?」


「あるよお。何かあったらそこに逃げ込むのよお?何処かのおバカが街中でねえ、威力のある魔法をぶっ放しちゃったり、あるあるだからあ、地下でやり過ごすのよお?」

「それはいいけど、そんな事したら周囲の建物が壊れるんじゃないかい?」

「その時はあ、魔法を使った後にい、あっという間に拘束されちゃってえ、そのままどっかに連れていかれちゃうわねえ。」

・・・・どっかって何処?


「まあいいわ。ほらここよお?」

早起は一つの棚を示します。

「こうしてずらすのよねえ。」


するとそこには下に向かう階段が現れました。

何これ隠し階段?

ちょっと興味があるんだけど。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る