第582話 常山領でのヒヤリング

こういう事なら、常山領に戻って領民から話を聞いておいた方がいいかも。

何せ常山領は魔王によって住んでいた国を滅ぼされ、逃げてきた人々がそれなりに住んでいます。

それなりと言うのはどうかとも思いますが。


何せ彼ら彼女らはこの地にやってきてからそれなりの時間が経っているので、もう常山領にすっかりなじんでしまい、かつこの地を安住の地と定めたのか、魔王が滅んでも祖国に戻ろうとしません。

別に強制送還するつもりはないのですが、戻った所で貧しい生活が待っているだけなんだそうです。


領地で治水の管理を担当している男性に話を聞いてみると、

「えっ?祖国へ戻れって?いやいや待って下さいよ!俺この領地に嫁さんと子供もいるんすよ。今更生まれた国ってだけの場所へ戻るとかありえませんよ!」


常山領は日本で言う小規模ながらショッピングモールが存在しています。

そうは言っても個人の商店を集めただけなんですが。

そして食品に関してはここで買い物をすればなんでも揃うような、そんな店を目指して日々規模を広げています。


そんなショッピングモールの女性店員曰く、


「え?もう魔王が滅んでそれなりに時間が経っているから、祖国を復興する手伝いをしてみないかですって?今更ですわ!魔王に滅ぼされr前から何もしてくれない、いいえ高すぎる税金を納めるのに必死で、もし滞るものならひどい仕打ち。こちらが何か訴えても訴えた者は殴られ酷い怪我をして戻ってくる。あんな腐った国、今更復興したからと戻れませんよ!」



一体どんな国だったんだろう?

もうそう言った国を治めていた国家元首やら王様やら、皆死んでいるのでもうどうしようもないのですが、良い評価は全く聞こえてきませんでした。

そしてあまつさえ魔王が攻めてきて、勝てないとわかると国王は国民を犠牲にして国外脱出を図るとか、そう言う酷い国のトップだったようです。

尤もそう言った輩は魔王とその眷属、そして部下たちの手によって全て殺されたんだとか。


そして真っ先に逃げ出した輩は死に、結果的にその死を無駄にしないよう、多くの国民がその隙に逃げ出す事に成功したんだとか。


どう突っ込んだらいいのか、それともそこは同情すべきか対応に困ってしまいます。


そしてロンドロッグです。

今章君とピートロネラ元皇女様が復興を推進しているのだとか。

なので元ロンドロッグの住民に戻ってはどうかと訊ねても、


「いくらピートロネラ様が頑張ってもあの皇帝の娘なんだよなあ。彼女は悪くないとはいえ、その父親はなあ。」

「皇帝?もう死んだからいいが、あんな無能が治める国、こっちから願い下げだぜ!」


ロンドロッグの皇族の評判はすこぶる悪いようです。

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