第568話 待っている間に色々と話を
流石にこの娘さんの両親、冥府の二人がこの場に急ぎやってくるとしても、それなりに時間がかかるはず。
ケルベロスを見送った後、娘さんの様子をもう一度確認しつつ食事でもと思い、声をかけてみます。
「ご両親がここにやってくるまでまだ時間があります。もしよかったらお食事か、何かお飲み物でもいかがでしょう?」
「あら宜しいのですの?なんだか喉が・・・・あら?よくわかりませんが何やらお腹もすいてしまってますわ。いやだわあ。」
「では何か食べ物をご一緒しましょう。オイヴィ、部屋まで頼む。」
「わかった。では私の後をついてきて下さい。」
「ではよしなに。」
オイヴィの後を進んでいく娘さん。
ずっと気になっていたのですが、彼女は歩いてすらいません。
ひたすら浮いています。
彼女が魔法を使用した形跡はないのですが、スキルでしょうか?それとも種族固有の能力?
そして僕はここまで一緒に居て、娘さんの名前を聞いていない事に気が付き、かつ驚きました。
有り得ない!いくらなんでも名前を聞かないで済ますとか。確かにこちらは名乗りました。僕はこの時ある違和感を感じました。
オイヴィも居たし、秘書さんも居た。
それなのに誰一人として名前を聞き出そうと、若しくはそう指摘をしないなんて考えられません。
そして手紙にも名前は書いていませんでした。
彼女は何者?
・・・・
・・・
・・
・
秘書さんの機転で可能な限り妻に集まってもらい、賑やかに食事をしました。
確かあの夫妻が来た時、泉や友郁は居合わせていたはず。
2人には娘さんと両親の事を色々聞き出してもらいましょう。
娘さんはなかなか機転が利くようで、丁寧に受け答えをしています。
そして僕は名前を聞こうとしたのですが、何故か聞こうとした瞬間、そうした流れが閉ざされ、全く違う流れになっていくのです。
そして気が付けば聞きそびれた事すら忘れてしまう。
まさか魔道具?それとも固有能力?
元々身に着けていた衣類は全て別のものに取り換えてもらっていますし、装飾品の類は一切身に着けていなかった様子なので、僕の目をかいくぐり隠し持っているとかでない限り魔道具の線はない。
それに隠し持つ理由もないはず。
そしてオイヴィの質問を聞いて娘さんがそれに答えるのですが、ここでも違和感が。
「そう言えば今何歳なのだ?」
「私でしょうか?17歳ですわ。」
おかしい。
オイヴィは娘さんが目覚める時、その、目の前で僕と子作りを・・・・
その後もずっと一緒に居たので、僕が娘さんに年齢を確認した時も話を聞いていたはず。
そしてオイヴィは経った今聞いた事を忘れる事はないはず。
友郁や泉が聞くのであれば違和感はないのですが。
あ、そうだ誕生日っていつだっけ?
・・・・あれ?
・・・・あれ?確か言っていたはず。思い出せ・・・・
思い出せない?おかしい。
僕は確かに聞いたはず。
彼女は何者?
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