第569話 忘却

彼女がおかしい。

いや、そうじゃない。彼女に関する記憶がおかしい。


あまりにもおかしいので、今度こうして集った時には「公爵様宜しいでしょうか?」何か・・・・秘書さんなんでしょうか?


「何でしょうか?」


「彼女の事ですが、彼女にはおかしな所は見受けられない、そう感じたのですが、その感じ方に違和感がありまして、失礼とは思いましたが公爵様の装置をお借りし、無断で使用いたしました。まずはお詫びと、そして報告です。」


はて何の装置かな?

執務室には色々な収納かばんが置いてあります。


普段は目立たない収納かばんを所持し、何かあれば素早く物の取り出しができるよう、無駄な物はあまり入れないようにしています。


ですが本命の武具一式は入れていますし、一通りの回復ポーション等も入れています。

ですが趣味?で作成した色々な魔道具はあまり入れていません。


下手に入れていると、緊急時に混乱するからです。

だからと言ってもし今このままダンジョンに向かったとして、今所持している収納かばんの中身でも恐らく1年は過ごせます。


なので普段必要のないアイテムは、秘書さんに管理してもらっています。

なので必要とあれば僕に断り無く魔道具等を使ってもらう事を許可しています。

ですが今回秘書さんが使ったのは魔道具ではなく、複製したスマホでした。


どうやらスマホでこの娘さんが現れてから録画をしてくれていたようで、そもそも普段から録画しているようです。

そしてパソコンにその都度保管してくれているそうです。

まあノートパソコンなので容量に限界がありますが、SÐカードがあります。SÐカードも個別で複製し、そこに保管してくれているようです。


見せてくれましたが1週間毎の保管管理なようで、この様な事を数年ずっと続けてくれているのだとか。


「あ、夜の営みも全て保管しておりますわ。好みの女性との行為を見せましょうか?」


・・・・そうは言っても一日10人以上の女性と子作りをしないといけませんから、そんなの見なくても毎日見るからね・・・・


「顔と全体がわかるようになっておりますわ。」


・・・・男ならわかるよね。

僕はつい秘書さんの提示してきた一覧を・・・・って今はそれどころじゃない!


「まあ冗談ですが、このファイル全てパソコンごと複製しておりますので、いつでもどうぞ。デスクトップにショートカットを作っておきますね。」


秘書さんは日本人ではありません。ですが僕以上に精密機器を扱えているようです。


で、問題の動画。


秘書さんは気になったようで、特に違和感のある部分をいくつか見せてくれました。

僕も気になったオイヴィと娘さんの会話。


確かに最初に会った時年齢を聞き、娘さんは1か月前に17歳になったと言っています。

そして食事時にもオイヴィが年齢を聞いています。


こう言っては何ですが、オイヴィがこんな短期間に人の年齢を忘れるなど有り得ません。

やはり何かがありそう。


そして次は・・・・


「あん♪アン♪・・・・・いくうう!!!!」


・・・・

・・・・

「まあ、私ったら、私と公爵様の愛の動画を流してしまいましたわ。」


いやちょっと待て。今のはおかしい。確かに秘書さんと僕の・・・・だけど誰が撮ったの?

カメラ固定じゃないよ?

動いているよ?


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