第529話 魔王の拠点

「くそ!離れろ!」


魔王は自身の身体にとりついた章から離れようとするが、いかんせん今の身体はまだ馴染んでおらず、力が出ない。


「いてえ!蹴るんじゃねえ!」



章は悪態をつくが離れない。


「しょ、章様・・・・ここは何処でしょう?」


ピートロネラ皇女は先ほどまでいた場所とは全く違うので、戸惑っている。


「皇女様、お守りいたします。」


バイエンス氏の妻のうち2人が皇女の護衛に当たる。


因みに残りの2人はバイエンス氏の護衛。


章は・・・・放置されていた。


しかしここで事態は一転する。


側近が魔王の所へやってきたからだ。


「魔王様、不手際申し訳ございませぬ。」


「詫びは後でよい!それより何とかしろ!余はまだこの身体に馴染んでおらぬ。」


「私も今ので魔力が枯渇気味ですが・・・・致し方ありませぬ。多少乱暴になりますが、よろしいでしょうか?」


「ああかまわん。この城を破壊するというならそれもよかろう。あとで造り直す。」


「では・・・・『ロセウエキ・ヨ・カユ』」

側近は魔王の手を握ったまま呪文を唱え・・・・


章以下招かれざる珍客(魔王からしたら)がいた床が忽然と消え、驚いた章は思わず魔王から離れるも・・・・

「ぎゃあーーーーー!!!!!!」


以下略



「魔王様これでよろしいか?」


「まあいいだろう【ゆ・・・・床が・・・・(´;ω;`)うう、まさか本当に城を破壊するとは・・・・まあだがあの訳の分からん阿呆から逃れられたのだ、良しとしよう】。」


側近は急ぎ唱えた魔法だったせいで、威力を調整しておらず、自分で唱えた魔法だが、恐る恐る穴の開いた床を見ると・・・・床と言うか、消えた床の下は底が見えなかった・・・・いや、正確にはずいぶん奥に何か光るものが見えるのだが、それが何を意味するのか考えるのを手放した。


【し、しまった・・・・いくら魔王様が後で造り直すと言われても限度があろう。どうするか・・・・若干勾配

があるのか?】


魔王城はとある山の頂上に建てられており、側近が開けた大穴は山に大穴をあけ、麓付近で地上に出ているせいで明かりが見えていたのだ・・・・


そして章達は・・・・


「ぎゃああああああ落ちるううう!!!!!」


実際には急勾配の滑り台を滑っているようなもの。

それを何とかバイエンス氏の妻達が魔法で勢いを殺している状態。



だが滑ると言っても事実上の落下。

しかし途中で妙に光り輝く壁面があったり、中々に癖のある臭いがあったりと変化に富んでいた。

だが落下するからにはいつかは地面があるわけで・・・・

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