勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず！

第528話 その時彼らは

　時を前後し、順平が森信君・・・・既に魔王にその体を乗っ取られた後だが・・・・魔王とその眷属及び側近を一網打尽にし、特殊な収納かばんに投入、封印したのち、章たちの行方が分からなくなった時点までさかのぼるが・・・・

【ふう・・・・何とか間に合った・・・・】

　因みにこの心の声は魔王。

　万が一今の身体に何かがあった場合の保険を用意しているあたり、魔王らしい。

　そして今その保険の身体に憑依をしたばかり。

　そして眷属のほとんどを失った魔王だが、側近だけは憑依していた体を手放し、本来の身体に戻っていたのである。

　因みに側近の身体は魔王の拠点に残されており、この時点で魔王と側近は別行動。

【ま・・・・魔王様、申し訳ございません。眷属悉く脱出に失敗して御座います。脱出がかなったのは私と魔王様のみでございます。】

　魔王はどれだけ距離があろうとも、側近と念話ができる。

【私の位置がわかるか？】

【少々お待ちを・・・・先ほどの地点より少し離れているだけ・・・・発見いたしました。これより転送装置を起動、そちらに門を展開いたします。】

　側近と魔王の関係は複雑で、側近の魂の一部は魔王と同化しており、そのおかげで側近は魔王の位置を瞬時に把握できるのである。

【こちらの準備が完了いたしました・・・・3・・・2・・1・展開開始！】

　すると魔王の近くに霞んだ門らしき何かが現れる。

　魔王はやれやれと思いながら、その門に足を踏み入れようとしたのだが、何やら気配を感じ振り返る。すると・・・・

「魔――――お―――――」

　章である。

　魔王の気配を辿ってここまっでやってきた。

【やばい！追っ手が来た！この身体では対応できぬ！調整はどうでもよい！今すぐ転送を！】

　魔王は門に入ると側近にそう命令を。

【かしこまりました・・・・ではこのまま転送を開始したします・・・・３・・・２・・１・開始！】

　側近は門を起動させ、魔王がこちらに来れるように操作をする。

　しかしここで問題が。

　魔王が転送開始する直前、章が追いついたのだ。

「逃がさん！」

　章は魔王の身体を羽交い絞めにする。

　しかし魔王の身体は門の中に吸い込まれていく。

「うわ！何だこれ！」

　章も魔王と共に門に吸い込まれていく。

「章様！」

　章の後を走っていたピートロネラ皇女が追いつき、半ば門に吸い込まれてい行く章に抱き着く。

　そしてその後を少し遅れてバイエンス氏とその妻が走っていたのだが・・・・

「まずい！皇女様に抱き着け！」

　章の後を走っていた妻にそう命令し、エルフの女性は皇女に抱き着く。

　そして別の妻もその妻に抱き着き、

「やれやれ・・・・こんな事になろうとは。」

　最後にバイエンス氏が妻に抱き着き、直後にバイエンス氏も消えてしまう。