第520話 であってはいけなかった章と魔王

魔王と章君が言い争っている?のでいいのかわからないけど、その現場に急いで向かいます。


もう接触しちゃってるならもはや今更。


で、暫く移動していると、元々森信君達が住んでいた建物付近が見える所までやってきて・・・・いた。

森信君に怒鳴り散らしている章君と、何故か正坐で章君の前で大人しくしている数人の姿が見えます。


よく見ると章君の背後で何やら諦めた様な表情のバイエンス氏とピートロネラ皇女の姿が。


そしてバイエンス氏の妻・エルフの女性4名とオイヴィが周囲を油断なく警戒しているように見て取れます。

周囲と言うか、森信君とその付近で一緒に正座している人物全てにですが。


「何だよ本当に情けねえ!お前魔王なんだろ!魔王つったら勇者が力をつけるまでは世界最悪最強の存在もはずだろ!それが何で他人の体を乗っ取るとかせこいマネばっかしてやがんだ!それに魔王の側近だっけか?罠ばっか仕込みやがって!実力あるんだろ!だったら正々堂々戦えよ!なんだよ罠とかそれに魔王、あんた超臭いって噂だぜ!加齢臭が凄すぎてもはや臭いっつうか瘴気だな瘴気。魔王っつうのはあんたの国のトップなんだろ?国のトップがそんなんでいいのか?あんたの国のトップの必殺技は、加齢臭でした・・・・って国民があんたの事を語るのにそう言わないといけないんだぞ?いいのかそんなんで?俺があんたの国に住んでたらショックであんたの加齢臭が収まるまで寝込んでるわ!」



・・・・言いたい放題。


「し、しかしだな・・・・」


「言い訳なんざ聞きたくねえ!てめえ自分の臭い嗅いだ事あんのか?」


「あ、いや今の身体はまだ若いし、加齢臭は出ないんだ・・・・」


しかしあのおばちゃんまで正坐しているとかどういう状況なんだろう?


魔王・・・・見た目は森信君なんだよな・・・・


しかしもう森信君自体は、つまり魂とかそういうのはどうなってるのかな?


そう思っていると、オイヴィがいつの間にか隣に居て、


「順平殿、今ここで座している面々は全て魔王とその家臣だ。」


え?全て?


その場にはあれをチョッキンされたリーマンもいるぞ?

女性も数人いるんだが・・・・

と言うか此処に送り込まれた面々、ほぼ全てじゃないの?


以前来た時は、見かけたときはそんな事はなかった・・・・はず。それとも既にそうなっていた?


「魔王をあの身体から追い出す事はもはや不可能だろう。既に身体と魂が一体化しているし、元の魂の存在を見出せぬ。ひょっとしたら元の世界に魂が戻ったのかもな。」


オイヴィは僕達がこの世界にやってきた経緯を知っているので、そんな事を言っているけれど、まあ気休めだろう・・・・


今から森信君の身体を攻撃しないと・・・・それに全くいい思い出はないけれど、同じ日本人の面々も全て攻撃しないといけない・・・・


精神だけでもあっちに戻っているのならいいんだけどね。若しくはあの身体はこの世界用の身体で、日本に戻れば今までの身体で生活している・・・・と思いたい。

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