第475話 保護

まあその行方不明な子供、魔王と関連があるのかわからないけれど、タイミングが悪すぎます。


もし全く関係なかったとしても、疑ってしまいます。


と言うか僕としてはかなり疑ってしまいます。


「ユハニ、どう思う?このタイミングで元勇者の子供が行方不明。魔王と関連があると思ってしまうのは先入観かな?」


僕はこの世界での住人の一人、そして僕以上に常山領を知る人物、まあ事実上の常山領を管理する人物に確認の意味で聞いてみます。


「そうですな、もし万が一関連がなければタイミングが悪すぎるとでしか言いようがありませぬ。しかし何か関連があると思った方がよろしいでしょう。魔王は公爵様のお身体をわがものにしようと画策している様子ですが、そもそもあの元勇者が召喚の目的であった以上、本来なら元勇者の身体を狙った方が良いのでは、と誰もがまず考えるでしょう。それを魔王はしてこなかった。いえ、我々が知らぬ所でもう既に手を伸ばしているのかもしれません。しかし実際には魔王はあの身体を欲しませんでした。」


ユハニは此処で一息つきます。


僕もそれは考えました。いかに今僕が勇者であろうと、森信君が勇者として召喚された以上、元々の素質は彼の方にあったはずです。

それなのに魔王は僕しか狙ってこなかった。


今なら難なく乗っ取れるでしょう。それなのに何故しないのか?


魔王の基準や、今の状態がわからないので断言できませんが、元勇者ではなく子供を狙った理由が分かりません。

まさか子供を乗っ取った?

魔王にとって都合のいい因子を持ったまま生まれていたとか?


考えてもわかりません。


「まあいいいです。それより王都にも伝えてほしいのですが、元勇者の子を発見した場合、速やかに魔道具で魔力を使えないように拘束してほしいと。罠の可能性がありますし、その子に何か仕込んであるかもしれません。幼子ですから魔力を拘束されても死ぬとかの影響は・・・・ないよね?」


「魔力を使えないようにするのであれば問題ありませぬ。魔力を吸い上げればいずれ魔力が枯渇し、最悪死に至りますが・・・・」


「魔力が使えなければ枯渇もしないよね。じゃあ頼んだよ。」


そして魔王の行方が分からなくなって、森信君の子供の行方が分からなくなって1週間ほどたって・・・・


・・・・

・・・

・・


王都から連絡があり、森信君の子供を発見、保護したと連絡があったようです。


保護と言うからには生きているという事。


そして一応魔道具で魔法の拘束をしてあるとの事。


「ではそのまま王都で監視、でいいのかな?こっちに連れられても困るし。」


「問題ありませぬ。王都ではそう言った専用の設備もございますし。」


取り越し苦労ならいいのですが。昔見たアニメで、人間爆弾とかいうのがあって、敵に捕らわれた知人友人が、何故か?ちょっとどうしてか記憶にありませんが、解放されこちらの乗っている船?に乗ってもらい保護したところ、最初に敵に連れ去られた幼馴染が爆発。

その後の調べで解放された是認が体内に爆弾を仕込まれているという、当時まだ幼かった僕にはそのアニメを見た時衝撃を受けました。


再放送だったか、レンタルだったか覚えてませんが。


そんなわなを仕掛けていたら、こちらに連れられても困りますし。


それと気になる事が。


肝心の両親からは何もアクションがないという事です。

ヘルトラウダからもその事についてはヘイマンス領に何度も確認しているようで、これは元勇者森信君も何かしら魔王の影響があるとみるべきでしょう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る