第474話 ヘイマンス子爵領からの連絡

魔王の行方がわからなくなったのと前後して、ヘイマンス子爵領から連絡があったようです。


これに関してはギルド経由で、ヘルトラウダが最初に教えてくれました。


「ジュンペイさん、ヘイマンス子爵領を覚えておられますか?」


「ヘイマンス子爵領?何だっけ・・・・待って?思い出せそう。」


何か忘れてはいけない負い目があった気がするけど、何だっけ?


ヘルトラウダはじっと待ってくれています。

色々とあって、特に最近は館への引っ越し等大変だったので、なかなか頭がまわりません。

だけど・・・・


何処かの取引先だっけ?


うーん、最近も領地は拡大しているし、子爵クラスの取引先は沢山ありすぎて、名前を覚えるのを断念してたっけ。


アーダやザーラはその辺しっかりしていて、流石は王家出身。

もうそういった事に関しては丸投げです。


だけどヘルトラウダが敢えて僕に聞いてくるという事は、何か僕にとって重大な事柄があった気が。


暫く考えていると、ふと何気に思い出した事があります。


そうだ、僕達の他に一緒にやってきた召喚者、やってきたという言い方は少し語弊がありそうですが、一緒に巻き込まれた日本人のうち、問題のあった人が王都を追放され、その追放先に選ばれた街。


「あああ!そうだ、思い出したよヘルトラウダ。何でこんな事を忘れてしまったのかわからないけど、召喚者の受け皿になってくれた街だよね。何かあった?」


「よかった、思い出せなかったらどうしようと思ってたの。」


少し困惑しているヘルトラウダ。

彼女のそんな表情って滅多にないので、これは何かあったんだなあと。


「何かまた悪さを?」


「いえ、そうではなくて、元勇者とその・・・・奥さんでいいのかしら?その2人の子が1人行方不明になったらしくて。」


今更この異世界で子供が1人行方不明になった所で、こんなに問題に?

別に子供一人を軽視しているわけではなく、そんな話は王都でもよくある話で、日本ほど治安が良くないので、子供をさらったり、子供でなくても人がさらわれたり殺されたりはよくあるんです。


常山領では日本並みに・・・・全く違うやり方で警備をしているので、そう言った犯罪は起こりにくいのですが、他の領地では僕の行動は制限されるので、流石に子爵領では何もできません。


「ええと、召喚者の子供だからって、特別視してたりしてる?ぶっちゃけ犯罪者同士の子供だし、そこまで問題になるような事柄なの?」


公爵ともなれば色々解決しないといけない事柄も多く、同郷だからと、もう召喚されてから10年たっているので、もう関わりもほとんどないですし、何故この問題を僕に伝えたのか理由がわかりません。


「その、子供が行方不明なだけではわざわざ伝える必要がないのですが、直前に魔王がやってきていたという目撃情報があって。」


そういえば魔王がやってきている途中に行方不明になったんだっけ。もしかしてヘイマンス子爵領で消えた?

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