第473話 魔王の気配が消えたらしい
魔王が動いたからと、こちらもそれに合わせた対応を、と思っていたら、どうやら王都の近くまで魔王は一気にやってきたらしいのですが、どうやらそこでいきなり気配が消えたみたいです。
そうユハニから報告が今あったばかり。
いや、魔王ほどの魔力の持ち主の気配が消えるって、何かスキル?
隠密とか気配遮断とか?
「ユハニ、それはどうやって確認したのかな?」
どう消えたかとか、色々確認したいので尋ねます。
「いえ、報告ではいきなり消えたとしか。今確認させていますが、どう消えたか等を確認してからですと手遅れの可能性がありましたので取り急ぎ連絡を、と。」
これは何か魔王の策略でしょうか?
どうやって気配を消したのか疑問ですし、それが何を意味するのかも不明。
「こちらも魔王の奇襲には気を付けるようにします。引き続き何か些細な変化でもいいので、何かあったらすぐに報告するように伝えて下さい。」
「かしこまりました。」
うーん、何だろう。
すると心配そうな顔をした友郁が僕の傍にやってきて、手を握ってくれます。
顔に出てたかな?
「順平さん?」
「あ、ごめん顔に出てた?」
「うん、とても不安そうな顔をしてたよ?」
なるべく妻達に心配をかけたくはないのですが、僕はまだまだです。
「まあ気にしても仕方ないんだけどね。それより館での生活はどう?うまくいってる?」
話題を変えた方が良いかと思い、最近引っ越したのでどうなのかと。
「ええと、とても快適よ?特に子供達は遊び相手が増えたからって大はしゃぎよ?私達も特に不満はないし、そうなると子供達の事が最優先だから。さすがに私達はまだ戸惑いがあるけれど、子供って順応性が高いのか、もうすっかりなじんでるのよ。」
それはよかった。
中には人見知りをしたり、親から離れるのを嫌がる子供がいるのですが。
日本からやってきた女性陣の子供はまだ小さい子供が多く、こちらの世界出身の妻のうち、並行世界を経験しなかった面々の子供はある程度大きくなり、小学生の年です。
だからなのか、増えた幼子を嬉しそうに面倒見てくれています。
特に女の子はその傾向が高く、男の子の場合は面倒を見るのではなく子分?年下の子が大きな男の子にくっついて付いているだけなのですが、男女の差は既にこうした所ではっきりと現れるのだなあと。
僕の子で一番大きい子はザーラの娘。
もうすぐ10歳です。
男の子ではアーダの子が一番上。
常山領の跡取りとして育てられていて、若干弟たちを家臣扱いしている節があるので気を付けないといけません。
「それは仕方ない。貴族の嫡男と言うのは概ねこうだぞ?」
アーダがそう指摘していますが、僕としてはみな平等に育ってほしいんです。
「それは無理だ。そんな事をしてみろ、跡取り問題が勃発し、派閥争いに発展、血を見るぞ?」
貴族って面倒です。
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