第472話 僕って下衆かったんです

かつて魔王が城に攻め込んできた時、確かに魔王を退けましたが、負けるとわかった魔王がとった行動こそが嫌らしく、魔王は今思うとアッサリ?と逃げたわけで、本当なら僕の身体をその場で乗っ取りたかったのでしょうが、僕の方が強く、このまま戦っても負ける。だけど諦められない。

じゃあどうするか。


本人に気が付かれないように罠を仕込んでさっさとその場を後にする。

しかも罠を仕掛けられたと気が付かれるように、発見してもらう前提の罠。

そして二重に仕掛けたと思わせるえぐい罠まであって。


で、その後が問題で、魔王と側近はその後も魔力の感知やその他あらゆる違和感が起こらないように、更なるえげつない罠を仕掛けていって、それに僕は見事引っかかっていたわけで・・・・


僕の体調の、または行動の変化。

僕はこういった変化には気が付いていましたし、制御できないのは違う理由と思って・・・・それこそが魔王の仕掛けた罠だと冥府の王?に指摘されるまで気がつけなかったとか。


いっそ正面から戦って決着をつけたいのですが、相手はそれを是としない、むしろ力があるのに別の手で仕掛けてくる。


実際やりにくいです。


そしてその魔王がついに動きだしたそうな。


一体何をどう動いているのかさっぱり理解できませんが、魔王なりに動く理由が出来たのか、若しくは準備が整ったのか。

何の?


この時は魔王はどうするつもり?ぐらいしか思っておらず、そう言う意味では警戒が足りていませんでした。


今にして思えば、魔王は新たな身体がすぐに必要だった様子。

だけど僕の身体はそう簡単に手に入りません。


僕の身体を手に入れるまで魔王の今の体は崩壊・・・・でいいのか分かりませんが、そう言った事態になるのでは?


ではその前に何か手を打っているのでは?


「どう?何か分からないか?」


一応魔王が活動再開をした、という報告の後、緊急会議を開いたのですが、誰も何も分かりません。


「申し訳ありませんが、魔王が突然動き出した具体的な理由は皆目見当もつきませぬ。」


ユハニはあっさりとそう答えます。


「やはり順平殿の身体を奪う算段でも付いたのではないか?」


アーダがそんな事を言ってきますが、それならもっと隠密行動と言うか・・・・


「きっと順平さんの弱点を見つけたんだわ!女ね!それもスタイル抜群の別嬪っさんがやってくるのよ!」


ザーラがそんな事を言ってきますが、いや、今更そんな・・・・


その、この場に居合わせた妻全員が肯定している様子。


いや、いくらなんでもそんな事はないよ?


確かにスタイルいい美人を見れば目が行っちゃうのは否定しないよ?


「順平様、残念ながら前科がございますので、今更女性に関しての順平様の好感度は上がりません。」


僕の傍には常に3人以上の秘書がいます。

一応秘書となってますが、実情は違います。


そして・・・・その、ごめんなさい。秘書さんに手を出してしまいました。

出したというか誘われた?


え?手を出したのに何言ってるんだこいつって?


うんごもっとも。

僕自身自分がこんなクズで下衆いとは思ってもみなかった。

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