第467話 館へ合流

 僅かな距離だけど、魔導船はさながら移動保育園。

 20人以上の女性と、60人近い乳幼児が一斉に乗り込んだのだから仕方がないです。

 こうしてみると、凄い人数です。


 現在妻のうち召喚された女性と、子供を移動する為に連れてきた保育士の女性が、総当たりで子供の世話をしています。


 何せ家の中と違い見慣れない魔導船。


 子供が興味を持って色々見たり触ったり。

 中には上へ登ってみようと試みる子供もいて大人は大変です。


 そしてまだ小さい、つまりまだ赤ん坊はベッドごと連れてこられています。


 全員乗り込んでいるのを確認したので、魔導船を起動します。

 尤も移動距離は大した事がないので、万が一乗りそびれても歩いてこれる距離なんです。


 そして魔導船は起動が成功し、浮かびます。

 そしてどんどん上昇。


 周りにあるどの建物よりも高く上がり、障害物が無くなったので発進します。


 魔導船は音もなく進んでいきます。

 まあ飛んでいるのですけれど。

 そして5分もすると、館の前へ到着です。


 館は建物が大きいうえに、庭も広いんです。

 これはアーダの拘りで、公爵ともなれば住居も拘らないといけないらしく、相当大きな建物になっています。

 ぶっちゃけ維持が大変なんだけれど。


 一応僕はほぼ毎日この館と家を行き来していたので、館の使用人達は僕を見慣れているけれど、家に住んでいた妻や子はこの館に一度も来なかったので、使用人達も初顔合わせです。


「おかえりなさいませ常山公爵様、そして奥方様にお子様方。」


 ずらっと整列する使用人と家臣。


 あ、一部の家臣は顔みしりなんだけれどね。


「お久しぶりでございます。」


 そう、ユハニやビーチェ・ゴンザレスとトビーは何度か会ってるんです。

 そして【火炎の罪】のメンバー。


「お久しぶりです!今日からいよいよこちらに移り住む事になりましたが、どうぞお気になさらず今まで通りでお願いします。」


 友郁がそう言って集まった使用人達に声をかけます。


「ですが私達はとにかく、子供はどんな行動をとるか分かりませんので、危険の無いよう、皆でしっかり見てあげて下さいね。」


 泉が子供の事を言及してくれます。

 尤もこの家にも僕の子供が沢山いるのですけどね。


「わかっております奥様。」


 乳母?でいいのかな?

 公爵ともなれば子供一人に一人以上が付く事になるそう。

 友郁達は自分達で育てたいんだけれど、その辺りはどうなのかな?

 アーダとザーラのような王族は自ら育てる事を禁止されているようだけれど、他の妻はそのような事はないみたいなんだけど、やはりというか、貴族出身の妻達は総じて乳母にある程度任せているようです。

「ええと皆さん、これから更に賑やかになりますが、今後常山領が発展する為にも是非とも皆さんの協力をお願いします。」


 何をどうとかは言いませんが、まあ伝わるでしょう?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る