第460話 内元君と動力についての更なる話し合い

「それなら無理に車へこだわらなくてもいいのでは?」

 内元君はそう意見してくれます。


「どうしてそう思うの?」

「現状この世界での主力って動物でしょ、まあ馬車?みたいな。あれは馬じゃなくトカゲ?まあそれはどうでもいいけれど。それとこの世界は魔法があるし。」


 うーん、確かに馬車っぽい感じかな。

 内元君はトカゲって言っているけど、小型の竜みたいなんだよね。

 だけど僕がテイムしたドラゴンとは全くの別種。

 内元君がトカゲというくらいなので、見た目も違います。


 そして一日中走らせても持つ体力。

 速度もありますし。


「まああの竜?あれは凄いからね。誰も魔石で動力を作ろうとしないのも頷けるよ。それより魔法で何かするのかい?まさかロケットエンジンや、飛行機みたいにジェットの力で推進させる?それとも水上バイクみたいに水を噴射でいいのかな?そう言ったのを推進力にするのかな?」

 しばらく考え込む内元君。


「それってどちらも色々制限があるような気がするけど。」

「そうだね。ロケットエンジンなんて燃料を燃やした火力で前に進んでいるだけだしね。それと水上バイクは水がないとね。うーん、空気で行けるのなら風魔法でも行けるけれど、ホバーだっけ。あれはあれで周囲に風をまき散らすからなあ。」


 それぞれ一長一短があるようです。改めて思うのはこうして誰かと意見を交換する事で、今まで考えてなかった事や、気が付かなかった事も気が付いたりします。


「羽、もしくはプロペラで推進力もありだけど、それじゃあ車軸と変わらないし、風魔法で物体を前進させるのもあり?だけど常山さんの指摘したように、風魔法で風が発生したら、その先が大変な事になりそう。」


「そうだよね。自分達はいいけれど、周りがね。」


「うーん、じゃあ水上バイクじゃないけど、水を用いるのって道に水をまき散らかす事になるから、他の乗り物は迷惑。」


「それは考えた。うーん、風魔法との併用で、ジェットみたいに水を吹き飛ばし、その水を風魔法で散らせば?

 ああ、ただどうやって大量の水を確保するかだよね。」


 ここで2人して悩みます。暫くして内元君が何かに気が付いたようで、

「2つ思いついた。1つは専用レーンを設け、列車にする。線路なり何かの上を走らせれば、周りの被害を抑えられるかも。」


 内元君がそう言う提案をしたのは意外ですが、まあ列車はどうなのかな。

 線路を張り巡らせるのってかなり大変。


「この世界ではそのようなのが見当たらないので、住民の理解も得られないでしょう。線路内に人や動物が侵入し、列車と衝突って有り得るし、後は魔物の襲撃。これらの対応次第では可能だけど、どうなのかな?」


 僕がそう指摘をすると、

「それは時間がかかる。できない事はなさそうだけれど。じゃあもう1つ。これも少し時間はかかるけれど、用水路を利用すればどう?」


 ははーん、言いたい事はわかる。

「それはあれだね、例えばパナマ運河っぽいの。」

「あれは船でしょ?考えの一部はそれもあるけれど、今ある用水路なら常山領だったら行けるかと思って。」


 うん?何かな?

「用水路ってそれなりの幅はあるけれど、一方通行にならないかい?」


「それは問題ない。途中で待機場所を設ければ問題ないし、目的地に着いたら運河同様水をせき止めた場所に乗り物を持っていき、水車で水を送ればどんどん水かさが上がり、高い場所から進められる。」


 あれ?それは大きな問題が。

「ちょっと待って!それ今内元君が指摘した事と相反するよ?用水路は一本だからね。何か混同していない?推進力が何かを考えてない?」


「あ、しまった・・・・うっかりしていた。用水路は一方に水が流れるから、流れに任せれば別に最後は水かさを上げて高くする必要ないんだった。これだと反対側に用水路を設けるか、上流に向かう場合のみ推進力を用いればいい?後は水路を周回させるのも手?」


 うーん、こんがらがってきました。

 ぶっちゃけ内元君の中では、提案している乗り物の動力源は何なのでしょうか?

 船?プロペラの代わりに水を吸い込んでその水を吐き出す勢いを推進力にする水上バイクっぽいの?



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