第459話 内元君との話し合い
何処でどうやって知ったのか疑問ですが、何故か内元君がやってきました。
最近は貴族を押し付けられ、一応領主に収まっていて、僕がさらに内元君へ何かを押し付けようとしているのを察し、全く姿を見せなくなっていました。
異世界にやってきて、まともに話ができる数少ない日本人の男性なので、少し寂しいです。
しかしどうした訳か、道具の作成に関しては非常に積極的で、今回僕が車みたいな何かを作成しようと動き出した途端にやってきました。
確か内元君は伯爵。
あ、最近辺境伯になったのかな?
嫌がる内元君をよそに、周りがどんどん話を進め、しかし拒絶しようとする内元君。
そんな内元君に業を煮やした国王が、内元君の妻、そのうちの一人、つまりは元侍女さん。
彼女の実家も貴族なので、そう言った外堀をしっかり埋め、見事辺境伯を受けさせたそうな。
ぶっちゃけ普通は爵位が上がるとなれば競ってもらおうとするはずなんだけどね、この世界では。
何せそう簡単に貴族になれないうえに、爵位が上がるとか滅多にないらしいです。
よほど武勲を立てるか、何かそれに準じた発見、開発、その他そう思われる何かを行っていないと。
代々男爵家ですとか、何百年も続く子爵家とか。
まあ初代が偉大なのであって、その子孫はそれを引きつくだけですから微妙です。
ですが貴族を維持するのも容易ではなく、まず金がかかります。
何せ法衣貴族でなければ領地があり、その領地を治めるのが主な貴族の仕事。
そしてその領地を治めるというのは領民から税を取り、その税で領地を治め国に金を納めます。
しかし税を取る以上領民の安全を保障しないといけません。
魔物からの脅威、農作物を収穫するまでに必要な農地の管理、治水の管理。
そして盗賊等の不逞の輩からも守らないと。
それに商売の促進です。
商人を庇護し街の発展に寄与させ、街に潤いをもたらす商人。
後は文化の保護。
地味ですがこれも重要です。
祭りなどの管理。
ああ、後はギルドや教会、役場ですね。
これらを全て仕切るのが領主ですが、領主が全てを把握するのは不可能。
なので複数の部下が必要。
優秀な部下がいればいいのですが、甘い汁を吸おうとやってくる腹黒い連中も少なからずいます。
そし内元君はそう言った面倒事が嫌なので貴族になりたくなかったようですが、幸いな事に優秀な部下は内元君の妻、元侍女さんの伝手でそろったようなので、ぶっちゃけ内元君は好きな道具作成に没頭できているようです。
で・・・・
「常山さん、車を作るんですか?」
「内元君、そうなんだよ、って何も知らせてないよね、どうやって知ったんだい?」
「だって動力源となる魔石を探しているって聞いたから。」
「確かに探しているけれど、なんで内元君の領地までその知らせがここんなに早く届くかな?」
「それは商人のネットワークでしょう。」
そう言うものですか?
日本でならあっという間に探し出せるでしょうが、この世界にはインターネットがないのです。
ただ、魔道具で遠い地域との連絡は容易にできます。
細かい仕組みは省きますが。
「僕も馬車を改造したくて探してるんですよ。機関車の返りクランクなら比較的簡単に動力になるんじゃないかと思ってるんですよ。」
「ピストンを左右に動かし、クランクを用いて車輪を動かすあれだよね。詳しくはわからないけど。」
「ええ。それに用いる魔石は、ゆっくりとした振動を発揮しないといけなくって、これが見つからないんですよ。」
高速振動ではきっとすぐに壊れるでしょう。
化石燃料を燃やして動くエンジン、つまり内燃機関はこの世界では厳しいでしょうし、流石に精密加工ができる工作機械がないと無理。
地球で馬車等、動力が長い時代馬だったのはこういう事情なのでしょうね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます