第426話 知らなかったでは済まされないと

「な、なんて事を・・・・」


秘書さんは僕を何かとんでもいものを見るかのような目つきで見ています。


「ええと、これどうしたら?」


3人の女性(獣人)は今床にひっくり返って、とてもではありませんが人には見せられないような表情で半ば意識を失っています。


そして僕は今更ながらこれはまずいと、どうすれば挽回できるのかと焦ってしまいます。これ以上妻を増やすとかありえませんし、まして初対面の相手。口をきいた事がないどころか、どうやら食事に夢中になっていた所を、僕が背後から相手の意思に関係なく色々やらかしてしまった形。


「このまま3人を妻として受け入れるか、記憶を消すか、そのまま命を刈り取るか、奴隷にするか。今思いつくのはこのような感じです。」


3人を受け入れるのはまだいいとして、何の落ち度もない彼女達の命を・・・・刈り取る?いやいやこれはあり得ないし、奴隷にとかもないでしょ。


記憶なんてそう都合よく消せるのでしょうか。


「き、記憶を消すとか出来るの?」


僕は秘書さんにすがるような思いで聞いてみます。


「出来ると思いますが、もしかしてその前後の記憶も怪しくなるかもしれませんね。」


「前後の記憶って?」


「上手くすれば数日の記憶で済みますが、悪くすれば数年ほど。」


「いやいや駄目でしょそれ。ええと今彼女達の意識はほぼないでしょうから、無かった事にできませんかね?」


秘書さんは3人をじっと見つめています。


「彼女達の意識が戻ってからの対処になりますが、先程の様子から察するに、3人は己の身に何が起こったのかわかっておられないかもしれません。このまま医務室へ運び、ごまかしましょうか。」


結局3人は何らかの(食事という事に)原因で意識が無くなった事に。

秘書さんが3人を医務室のベッドへ運んでくれ、浄化の魔法をかけてくれました。


そして3人の意識が戻るまでの1時間程、僕は秘書さんにこんこんと獣人についての注意と共に、説教を聞く羽目に。

いや自業自得なんですけどね。

この場合災難は3人の獣人ですが。


・・・・

・・・

・・


医務室の運ばれた3人の意識が戻ったようなので、秘書さんが3人から事情を聴き、どうやら覚えていないのを確認し、僕が会う事になりました。


「待たせてしまった挙句に何か問題が発生し、気を失わせてしまったとか。申し訳ない。」


心が痛みますが、こうして謝っておくしか。


「あ、こっちこそ何だか知らねえが済まない。何だか尻尾を触られた気がするんだが、どうやら食べ過ぎたせいで気がおかしくなったみたいだな。いやあ迷惑かけちゃったぜ!」


「食事美味しかったんだけどなあ。何か私達が食べちゃまずいのが入ってたのかな?まさか気を失うとは。は!尻尾触ってないよね?」


「何だか気持ちが変ですう。耳触った?」


ここは素直に謝るか、しらを通すか。

「ああ、運んでいる時に触れた可能性はある。何せその尻尾、どうしても抱き上げれば当たってしまうからね。だけどもう大丈夫なのかい?」


う、我ながら己がこんなにひどい性格だとは。すまない。お詫びと言っては何だけど、何とか獣人の現状を改善していきたいです。

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