第427話 単なる獣人ではない?
「うう、力が入んねえ!」
「こんなの初めてだあ!」
「何でこんなに火照ってるの?本当に何もしてない?」
僕は何もしていないと思わず言ってしまい、良心の呵責に・・・・と思っていると、
「まあいいや、それより飯うまかったぜ!」
「食べすぎた!」
「お代わりちょうだい。」
3人の切り替えの早さに頭が付いていけません。
「ああその、3人は獣人の環境改善について意見したい為に来たんだよね?」
一応本来の要件を先に済ませておこうと聞いてみます。
「あ?ああそうだった!忘れてたぜ!なあ、俺ら難しい事わかんねえからさ、いいようにしてくれよ!」
「一応先に話しているはずだけどさ!」
「いいようにしてくれたら、さっきのはなかった事にしておきますよ?」
!?
もしかして気が付いていた?
最後の人、あへえとか言ってたから一番覚えてなさそうだったんだけど、こういう人が一番厄介だったりするんだよな。
「さっきのってなんだ?」
「なんかあったんか?」
「気のせいですよ。ささ、飲みましょ?」
・・・・獣人侮りがたし!そしてこの3人のうちの1人、実は恐ろしく頭が切れるのでは?
そして僕は勝手に切れる獣人、と思う事にしましたが、この獣人何を思ったのか2人に食べ物をどんどん差し出しています。
「さあ今のうちですよ。奥に部屋があるのでしょ?あちらで色々語りましょ?」
そう言って腕を絡めてくる獣人の女性。
う、何この力。
実際触り心地がとても良いし、女性特有の柔らかさも素晴らしいし特に痛くないけれど、全くと言っていいほど自分の意思で絡めてきた方の腕を動かせないんです。
「あ?どこ行くんだ?」
「しょんべんか?」
「難しい話は私がしときますから、そちらはおいしいものを食べといてね。」
「おう!任せとけ!」
「わかってるじゃねえか!」
そして奥にある隠し部屋へ連れられて行く僕。
確かに奥には部屋がありますが、一体どうやって気が付いたんだろう。
そして彼女は隠し部屋の前に立つと、どうやって分かったのか、隠し部屋の入り口を難なく開け、僕と共に中へ入っていきます。
「さ、これで二人っきりね。」
そう言って僕を部屋の中に設置してあるベッドに彼女は自分と共に倒してきます。
「大丈夫、痛くしないから。」
こ、怖い。いったい彼女の正体は何なのか。
そして応接間に残された2人。
「行ったか?」
「上手くいったようね。」
「しかし油断した。ああも素早く尻尾を掴んでくるとは。」
「その後の耳への一連の流れ、とんでもない領主だな。」
「だがまあ事前の情報が正しかったのは間違いない。ここの領主は獣人に対して無知すぎる。」
「ええ。これでこのまま上手くいけば、我々獣人は、この領地では立場が良くなるはずだ。」
「しかしこんなに上手くいっていいのか?」
「あれだけ我等の尻尾と耳をなぶったのだ。これぐらいは問題なかろう。」
ただ単に獣人との話し合いのはずが、いったいどうしてこうなった?
【あ?魔道具だよ魔道具。】
え?何か言いましたか?
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