第346話 ダンジョン内の建物

以前ダンジョンに入った時は、5層ごとのボス部屋を攻略するとその奥に建物があり、そこで休憩できました。

今見えてる建物もそういった類なのでしょうか?


ですが違ったようです。


確かに自然のものではなく、誰かが建てたのかな、と思われる形ですがこれはもう廃墟にしか見えません。


石でできていると思われる柱が倒れています。

これに何の意味があるのでしょうか?


「廃墟ですか?」


思わずそう呟いてしまいます。


「何か隠されているとか、そういうの無いかしら?」


泉は倒れている柱を調べています。


柚奈は地面をにらみつけていますが、何かあるのでしょうか。

何もなさそうですが、どうでしょう。


僕は周囲を見回していますが、何も変化はなさそうです。


「何もなさそうだ。何かあるように見せかけ何もない。よくある事だ。」

「オイヴィはそういった経験がある?」

「ああ、こういったダンジョンがなかったわけではないからな。他にも海だったり、雪山だったり、砂漠だったり。」


しかしながらこの周囲にも冒険者の姿は見られません。そして一向に姿を現さない魔物。

もしかして魔物がいないダンジョン?


「順平さん、どうします?」

友郁が僕に聞いてきますが、どうしよう?

特に何かあるとも思えません。

ただ、こんな平原になっているダンジョンに、意味がないとかあるのでしょうか。


「もう少し調べよう。見落としがあるかもしれないし。」


結局1時間ほど調べましたが、何も見つけられず、この場を後に。


結局何も見いだせないまま階段を発見。

結局この階層は何だったのでしょうか。


わからないまま階段を下りる事に。


・・・・

・・・

・・


下に降りると、なんだかもあっとします。

何だか温泉にいるような臭いが。

硫黄の匂い?

あ、硫黄の臭いっていうのは少しおかしな話ですね。

本当は硫化水素ですが、一般的に硫黄で通ってますからね。


「何だか温泉のような感じですわ。」

泉が何故か目を輝かせています。

いやまだ温泉と決まったわけじゃ。それより火山の可能性が。

「いいわね温泉。あったら入りたいな。」

柚奈も、もう温泉と決めているようです。

「温泉ですかあ?それにしても臭いがきついですねえ?」

瑞華が指摘しているけれど、そう、確かに臭いがきついんです。

「ちょっと駄目かも私。」

友郁はこの臭いに閉口しています。


そういえば以前、あるスキー場の近くの温泉で、若い女性が温泉の臭いがきつくて、倒れたことがある、と温泉に勤めている人が言ってましたっけ。

人によってはこれはかなりきついんだろうなあ。

ただ、温泉には入ってみたいというのは僕の中にもあって、ちょっと調べてみようと。


しかしながら、階段を後にし、少し開けた場所に出ると、その望みは絶たれました。


何故なら――

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