第345話 仕掛けがわかったので

壁の出現方法を何度確認し、パターンがわかったのでどんどん先に進みます。


「壁の出現・消去がどのようにして行われるのか分かれば、ここはたやすいが油断せぬ事だ。別の仕掛けがあるやもしれぬ。」


オイヴィはそういって警戒の手を緩めないけれど、そんな事もなく、次のフロアへと進む階段があった。


「なあオイヴィ、敵が現れないけれどこんなものなのか?」

オイヴィは暫し考えていたようですが、

「このような罠のあるフロアでは、出ぬ事もある。魔物の代わりに罠、という訳だ。ここで魔物が出てみよ、魔物が罠にかかってしまうという、ダンジョンにとって芳しくない事態になる事もあり得る。」


それとともに気になる事が。

それは、他の冒険者を一切見かけなかったという事。

僕の領地に仕官するために、このダンジョンの探索をしている冒険者が沢山いるはず。

その冒険者に一切遭遇しない、というのもおかしな話。


ユハニの話だと、ダンジョン探索は一ヶ月。そして週に一度は連絡をする、というのが絶対条件。

なので、引き返したりする冒険者がいてもおかしくないのですが、一切会わないのはおかしすぎる。


「まあまだ探索して1日目だから、こんなものかな?」


そう言いつつ、下に降ります。


下に降りると、そこは何故か外?え?ここは外?広大な平原が広がっています。

見上げると青い空、輝く太陽、そして大きな星?


クレーターもはっきりとわかる星がいくつか。


いや、大きすぎるでしょ?

地球で言う所の月、これの数倍の大きさに見えます。


「気を付けるがいい。魔物の気配が至る所にある。」


オイヴィの忠告で、全員周りを見ます。

すると確かに動く何かが、周囲に複数います。


「来る!」


オイヴィがそう言いつつ、剣を抜き前に出てくれます。


僕も剣を手に取り、友郁や泉もそれぞれショートソードを手にします。


現れたのは複数のゴブリン?


どんどん切り付けていきます。

単体は凄く弱く、剣で切りつけるとほぼ当たり、そのまま絶命します。

そして魔石をドロップするようですが、今はそれを拾う余裕がありません。


何せ数が多い。どんどんやってきます。


どれだけ切り伏せたか分かりませんが、気が付けば新たにやってくる魔物の姿はなく、僕を含め全員の足元にはかなりの数の魔石が落ちています。


急いで拾います。


オイヴィは周囲を警戒してくれていますが、特に新手がやってくる気配もなく少し警戒を緩めたようです。


「オイヴィありがとう。殆ど拾い終わったと思う。」

「そうか。しかしいきなり数が多かった。ゴブリン故簡単に仕留められたが、オークがこの数でやってくればもっと手こずっていただろう。」


オークか。

今僕のパーティは僕以外女ばかり。

オークが来れば、興奮して襲われやすそう。


そんな事を考えていたら、瑞華が何かを見つけたようで、

「順平さん?何かあそこに建物が見えますわ?行ってみます?」

見ると確かにある。まだ距離はありそうですが、よく見つけられたね。




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