第295話 領地を見回る

僕は半年以上身動きができていませんでした。

気が付けばザーラが臨月、しかも出産間近だとか。

僕が昏睡状態になる前は、誰も妊娠していなかったはず。少なくとも妊娠に気が付いていなかった事を思えば、ザーラは僕がこん睡状態になる直前に身籠ったとしても、僕がまともに身動きできるようになるのに8カ月ほどかかった事になります。


それだけ時間が経てば、領地も様変わりしているはずです。

何せ大雑把な修復をしたとはいえ、その後を確認する事なく僕は半年以上関わらかったので、いったいどうなった事やら。


・・・・

・・・

・・


外へ案内されると・・・うわ、何これ!


壁?最初に修復したあの途方もなく長い壁、あれも何だか殺風景だったのが、何やら威厳のある、立派な壁になっていたんです。


そして、壁の内側はほとんど手つかずだったのに、今は色んな建物が修復?されていて、それも外観はどう見ても後から綺麗に手を加えた感じなんです。


周りの建物とも調和の取れている、何というか、感動すら覚える街並みになっているんです。


そしてさらに驚くのが、そう、見渡す限り人がいて、何処を見ても人だらけ。


多分この調子だと、1000人とかじゃないよね?


今はヘルトラウダが案内してくれていて、

「多分1万人はいますよ?」


え?1万人?

何処から来たの?


「王都以外の町や村からも沢山人がやってきていますわ。契約を交わした商人にゲートを持たせ、それぞれの町や村に設置をし、ゲートから移住を希望する人に来てもらってますの。今後は農地の方も区画を整理していますから、どんどん農業の従事者がやって来るでしょう。」


「あ、それは大事だよね。食料を生産できないと、そのうち街は滅ぶから。」


周りから輸入すればいいのだろうけど、飢饉なんかで食糧が足りなくなれば、輸出なんかできなくなり、この街に食料が入らなくなるだろうから、自給自足は絶対に必要。


「先に色々設備を導入しましたから。幸い資金はドラゴンの売却代がありますから潤沢ですし、この街の周囲にはそれなりの数の川や河がありますから、何基か水車を設置しています。木を切ったり、粉をひいたり色々活用できますから、今後この”常山領”は更なる発展を遂げるでしょうね。」


へえ!いつの間にか水車も設置してたのですか!

僕は水車は詳しくないけれど、耐久とかどうなのかな?

確か歯車の組み合わせが何だっけ?素数とそうではないのでは、壊れ方に違いがあるとか何とか。

決まった所に同じ歯車の部分に当たる回数が多いと、壊れやすいんだっけ?覚えてないけれど。何かで読んだ気がしますが、覚えてないです。


そんな感じで僕は大雑把に街を見たけれど、半年以上・・・・8ヶ月?経てばこんなにも発展するのか、と。異世界恐るべし!

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