第276話 ガルムから念話が

さて、食料や住む場所など、受け入れ態勢をどうしようと悩み始めたところだったのですが、


【ちょっと聞こえてる?さっきから何度も呼び掛けてるんだけど無視なの?】


ガルムからの呼びかけでした。え?まったく気が付かなかったんだけど?


【あ、ごめん全く気が付かなかったよ。】


【あのね、あんたたち私達の巣に入ったわよね?あれね、最近変化したのよ。】


【ええとそれは何の事かな?】


【あのね、あそこ私達が巣にしてる場所、あそこが一番奥だったのよ?なのにいつの間にか分岐があったり、更に奥があったり。ちょうど夫が魔王と戦ってた辺りじゃないかな?】


【ええとそれ、僕らがあそこに入る前に教えてほしかったですね。】


【だって私もいろいろ忙しいんだから!】


僕もあそこは不自然だと思ったんだ。

巣なんだから、いくらフェンリルやガルムなんて言う化け物級の強さでも、巣は安全な場所を選ぶものだろうと思いますから。


それが奥があるのに、結構手前に、中途半端な場所に巣があったからおかしいとは思ってたんです。


【ええと、それは今何が問題あるんですか?】


先ほど見た時は魔物とかいなさそうだったけど、もしかして見落としているだけで、何かいた?


【今は塞いでるけれど、冥界に繋がってるかもしれないのよね。】


冥界?冥界ってこの世の事じゃないよね?あの世の事?それともその中間?


【もしかしてガルムでも手こずる相手?】


【そうね。単体なら何でもないけれど、ケルベロスが群れでやってくると厄介かしら。それと、ケルベロスを飼っている奴が厄介ね。】


ケルベロス!


何だか聞いた事のある魔物の名前。何だっけ?


それと、ケルベロスって誰かが飼ってるの?


【ハーデースって知ってる?】


【いや知らないし?】


【あいつは冥界の王とかほざいているけれど、それに見合う実力を持ってるのよね。】


ええと、僕これから魔王に命を狙われそうなんですけど、これに冥王ですか?

冥王にも狙われるのかな?

【それにね、あいつの女房がこれまた厄介なのよ?ペルセポネーって知ってる?】


【ええとその、まずハーデースってハデスとも呼ばれてるよね?そっちは聞いた事あるけれど、ペルセポネーは知らないな。そう言った知識持ち合わせてないから。】


【あの夫婦、本来ならもっと違う所に住んでいるはずなんだけど、何故かこの巣の近くに気配があるのよ?】


もしかして僕達、危険な場所に無防備には入っちゃってた?


でもあの時そんな変な気配は何もなかったんだけどなあ。


【あ、その2人?今から何かしないといけない感じ?様子を見ていては駄目?もしかして無害かもしれないよね?】

先にちょっかい出してドツボにはまりたくないですから。


【何言ってるの!もしこの付近に居座るようなことがあれば、この付近は死の大地になるわよ?】


【え?何ですかそれ。】


【あの2人が居続ければ、大地はその活動を停止し、あらゆる作物が育たなくなると聞いているわ。】


うわあ、それは大問題です。

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