第275話 王族と思って安心してたのがまずかった?
これは僕にも問題が?
仮にも領地を貰い、領主としてこの地で色々する事になるのでしょう。
そう思い、こういう事に詳しそうな王族であるアーダとザーラはこういった事に詳しいと思い込んで、半ば任せてしまっていたような。
これは非常に問題です。
何がって、彼女らは確かにそう言った知識はあるでしょう。
ですが食糧とか、そう言ったこまごまとした事は多分部下・家臣?が請け負っていたのでしょう。
普通は上は大まかな指示を出し、何かあった時は陣頭で指揮をする。
ですが何もない時は、敢えて部下に任せておく。
僕の知識では、貴族・・・・でなくても、こういった特権階級の人と言うのは総じてこんな感じです。
権力は確かにあるけれど、領地を守り、領民を守り、暮らしに必要な治水や治安、こういった事に責任を持ち、職人を庇護し、文化を守る。
いい暮らしの裏には、こういった責任があるはず。
流石にまだそこまでここは・・・・と言いますか、今日来たばかりなので、何もないのですが。
それら段階をすっ飛ばし、いきなり領民が多数いる事になってしまいました。
問題は山積みです。
「ユアサさん、どう見ますか?」
「現状は厳しいです。2、3日は王都から食料は持ってこれましょうし、物資の方は公爵様の収納かばんがあれば大概のものは運べましょうが・・・・」
「こういった手配はどうなっているかわかるかい?」
「いえ、何も聞いてはおりませぬ。公爵様の討伐報酬を使用してよろしければ、今から手配をかける事は出来ますが・・・・」
「そうですね、食料が足りないとか大問題ですので、王都で物資が不足して困った事にならない程度に購入をお願いします。それと、今も陸続と人が来ているのですよね?」
「ええ。皆職があると聞き、嬉々としてこちらに向かっているようです。」
「住む場所はどうなっている?」
「え?決まっていないので?」
「先程の話は聞いていたよね?そう言った決め事を何も話し合ってないまま人が来たからね。何せここには僕も初めてきたばかりだから、領地の大きさや気候、魔物の有無等何もわかってないんだ。職人がやってくるのは時期尚早だったと思うんだよ。」
それを僕のそばで聞いているアーダとザーラは途端にしゅんとなる。
壁の修繕を早くやりたかったのだろうけれど、こういった事はしっかり話してからじゃないといけなかったね。
「もう今更だからどうにもならないけれど、今後は話し合いを持ってからにしようか?魔物や軍隊が攻めてきたとかの緊急事態ならとにかく、今急いでここの修繕は必要なかったし、どれだけの人がいるのか、わかってないよね?」
「う・・・・言われてみればそうだ・・・・すまぬ旦那様・・・・かくなるうえは、この命をもって・・・・償うしか。」
僕はとっさにアーダの両手を掴んで、
「ザーラ、君も今動かないように。そうやって簡単に責任とか言って死なないように。その前に今起こっている出来事の解決が先なんだから。」
偉そうなことを言ったけど、どうしよう。
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