第253話 襲撃

さて、皆でその建造物を見に行こうと言う段になったのですが、


【おい!何かこちらに向かってくるぞ?気配を消しているようで正体がわからぬ。】


ドラゴンの念話が聞こえます。


【え?それは危険なのかい?】「あ、何かがこっちに向かっているようなんだ、皆警戒して!」


浮かれていた妻達。ここは並行世界で見慣れた場所。

そんな油断があったのかもしれない。


そしてそんな中、フェンリルが一言。

【やばい・・・・】


え?何がやばいの?

そう思っていたら・・・・来た!速い!

気配のないままここまで一気に接近されると、中々対処が間に合いません。

だけど、どうやらターゲットはフェンリルだったようで。


【ぐほっ!】


フェンリルは何処かへと旅立っていきました・・・・それはもう、すごい勢いで。


そして、その・・・・フェンリルを突き飛ばした何かが僕の目の前に現れます。


げ!フェンリルとは少し違うけど・・・・犬型の魔物?

万全な状態のフェンリルを突き飛ばすんだから・・・・これ死んだな・・・・

そう思ったんだけど、


気が付けばフェンリルが戻ってきています。

すると・・・・え?

その魔物の後ろにフェンリルが覆いかぶさります。


【我が妻よ・・・・受け取るのだ!】

【はううん・・・・♪】


・・・・え?交尾?

まさかの交尾?ちょっと?マジですかこれ?


【主よ今のうちにテイムするのだ・・・・頭を触れば・・・・早う!】

え?え?テイム?その、お楽しみな所邪魔するのはちょっと。

そう思ったけど、その魔物の動きが止まっているので、恐る恐る頭を触ってみます。


【はううん!!!!】


何だか艶めかしい?念話が入り込んできます。


【ああ!いつの間にか!ちょっと!いくら何でも交尾中にそれはないよ?】


ええと、頭の中にガルムと出ました。


【その、ごめんね、フェンリルがテイムしろって言うから試しに。お楽しみ中邪魔して悪いね?】


【・・・・まあい今更いいよ?それより旦那が消えたと思ったら、あんたが旦那の主なの?】

【ええと旦那って?】

【私達夫婦よ?わかるでしょ?】

え?夫婦?

そう言えばフェンリルには子供が・・・・・息子がいるからね、察するべきでした、はい。

そりゃあ奥さんがいてもおかしくはないですね。


そしてここからが凄かったんです、


【一寸あんた、交尾して誤魔化せたと思ったら大間違いだよ!一体今まで何してたんだよ!知らない間にテイムされてるし?私もテイムされちゃったし?】

【う・・・・そのすまぬ・・・・たまには・・・・ゆっくりしたかったのだよ。】


【何がゆっくりだよ!あんた魔王に襲われたね?そして・・・・負けたんだろう?】

【ああそうだ・・・・そして主に助けられたのだ。】

【なるほどね、だからあんたは人にテイムされたのね?】

【そ・・・・そうなのだ。】

【だからと言って何で連絡しないのさ!】


あ・・・・これやばい奴だ・・・・あ?気が付けばもう妻達この場にいないじゃないか!

僕もその、気配を消して・・・・この場を後にしました。


【ぐは!すまぬ!だからその・・・・うが!】


【だからと言って許したわけじゃないよ!】


・・・・その後大地を揺るがすような地響きが何度もあったけど、

まあフェンリルの気配はしたままだから、生きているだろうと思いたいです。

夫婦喧嘩もほどほどにね・・・・と思う順平だった・・・・

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