第251話 領地(予定)へ

一通りドラゴンを見たりどついたり?

納得したのかどうかは分かりませんが、どんどん背に移動していく妻達。


アーダが何とかザーラをなだめ、連れて行ってますが、このドラゴンの所為で瀕死の重傷を負ったわけで。


「だけど旦那様が行くのだから、こんな事ぐらい我慢しなくちゃね!」


と涙目で訴えるザーラ。

最後は僕が手をつなぎ、引っ張る形でドラゴンに乗ってもらいます。


あ、侍女さんは僕の侍女さんだけ代表でついてくるようです。


【も・・・・もう飛び立つぞ?】


最後にフェンリルが飛び乗ります。

【何故おぬしまで乗せねばならぬのだ?】

【我の縄張りに向かうのだ、当たり前だろう?それに、領地は我の縄張り付近とか。我が向かわずどうするというのだ?】

【致し方なしか・・・・では行くぞ!】


気が付けば結構上空へと上昇していているようです。


ゆっくりと進み始めます。

ゆっくりと思ったのは、結構上空へ上昇したので、下の景色があまり変わらなかったからなんだけど。

だけど、実際はなかなか速度が出ていたようです。

暫く皆がドラゴンのクルージング?を満喫できていたかはわからないけど、それなりに楽しんだようで、僕はぼーっと地平線とでもいうのかな?遥か彼方を見てました・・・・


一体どれだけ時間が経ったか測ってなかったのでわかりませんが、フェンリルの念話が届きます。

【このあたりだ・・・・その前に、我が魔王に追いやられた場所付近で降りてもらおうかの。】

【どうしたの?】

【もうすっかり回復したからいいのだが、我の牙などが落ちておるやもしれぬ。】

フェンリルの牙?

価値があったりするのかな?

「フェンリルの牙ですか!ドラゴン並の希少価値がありますから、高額で取引されてますよ?」


そう言うヘルトラウダだが、流通してるの?フェンリルの牙って?

【たまに縄張り争いで、他の魔物と争う種族もおるのだよ。その折、手傷を負うか、戦った折に折ったかした牙が、どこかに落ちておるのだろうて。】


まあ、この辺りも領地?ならここで降りるのもありだね。

【じゃあこの辺りもフェンリルの縄張りなのかい?】

僕が念話でフェンリルに聞くと、

【ずいぶん向こうから縄張りだ。ここは住処に近いがな。】

【そうか。あ、じゃあドラゴン、この辺りで降りられそうな場所があったら降りて?】


【ぬ・・・・ではほれ、そこの少し開けた場所があるゆえ、そこで降りてもらおうか。】


暫くして僕達は降りました。

だけど、何だろうこの既視感は?

「じゅ・・・・順平さん?ここってなんだか見覚えがあるような?」

うん・・・・友郁の言うとおり、見覚えがあるというか、ここはもしや?

「この付近は、私達が子供達と暮らしてた場所じゃないのか?」

柚奈がそう言ってくるので、

並行世界を経験しなかったアーダ、ザーラ、ヘルトラウダは分からなかったけれど、それ以外の面々は皆走り出します。


そして数分後・・・・


木々に隠れてわかりにくいですが、僕達が修繕して住んでいた、もう朽ちかけている、元は立派な建物が見えました。


あれ?ここフェンリルの縄張りなんだよね?

じゃあ何で並行世界ではフェンリルが来なかったの?

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