第249話 城の近くをドラゴンで

事前に知らせてなかったからか、突然城に向かったのが失敗でした。

城と言っても建物の上に降りたわけじゃなく、建物から少し離れた場所に、広く、開けた場所があったので、そこへ降りてもらったんだけど。


その、ごめんなさい。

もう場内、そして城の外・王都中が大混乱!


「ぎゃあ・・・・城壁をやすやすと突破されたぞ!」

「う!でかい!あれは山の主ではないのか?せっかく助かったと思ったのに!もう駄目だ!」

「神様仏様常山様お助けを!」


え?最後の何?


僕が身を乗り出して鎮めようと思ったのですが、


グオオオオオオオオオオオオオオンンンンンン!!!!!!!!!


ドラゴンが空に向かって思いっきり吠えたんです。

空気が割れる?感じ。

振動が凄い!


あ・・・・周囲の人間は皆腰を抜かしてしまってます。


そんな中、果敢にも目の前にやってくる女性が数人いるようです。


よく見ると・・・・侍女さん達のようです。

「いざや逝け!皆見事に散ろうぞ!」

「赤ちゃん産みたかったな。」

「少しでも時間稼ぎを!」

「今だ!一斉に各々得意な魔法を!」


あ・・・・これあかん奴だ。

総勢30名近い侍女軍団。

数多のダンジョンを制圧したその力量は、一人で一個師団に匹敵するとかしないとか。

え?一人で兵士1万人以上の力量?いくらなんでも盛りすぎじゃない?


これはまずいと思い、僕は全魔法をキャンセルすべく、スキルで僕とその周囲の魔法をすべて無効にします。

「魔法が・・・・かき消えました!」

「そんな馬鹿な!」


これ以上攻撃を受けるのはまずいと思い僕は大きな声で叫びます。


『みんな待って!』


僕は慌ててドラゴンから降り、ドラゴンには空中で待機してもらいます。


「あ・・・・常山公爵!」


今度は別の意味で囲まれます。


そして慌てて駆け付けてきたアーダに思いっきりはたかれます。

「これ旦那様!いくら旦那様と言うてもしていい事と悪い事があるのだ!」


僕はそんなアーダの手を取り、

「アーダ、今から僕の領地予定の場所へ向かう!妻達を呼んでくれないかな?」


「何?まさかあのドラゴンで向かうつもりではなかろうな?」


「いやそのつもり。」

そして、風呂に入っていたのか、友郁たち召喚者の妻は、髪の毛がずぶ濡れのまま・バスローブを急いで羽織ったまま、目の前までやってきました。


「友郁!泉!今から出発するから準備して!」


「順平さん?まさかあのお空のドラゴンではないでしょうね?」

友郁がなんとも言えない表情をしています。


「うん?勿論そうさ!さ、早く着換えて出発しよう!」


「いくら何でもいきなりすぎよ?もう少し私達の都合も考えてね、順平さん?」

「だってドラゴンだよ!まとめて何十人と運んでくれるそうだから、一度領地に空から行ってみようと思ったんだよ!素晴らしい考えだろ?泉!」


「はあ・・・・仕方ないわね。ちょっと待ってね。着替えをしてきますから。」


暫くして、友郁達が戻ってきました。

「順平さん、行きましょ?」


「うん、友郁、行こう!みんなも乗って!」




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