第210話 じゅんぺいはにげだした。しかしまわりこまれてしまった。

受付の女性・ヘルトラウダさん?がアーダさんとザーラ姫につかまっている間、僕は友郁と泉に詰め寄られていました。


「順平さん!」

「順平さん!覚悟を決めて!」

友郁と泉がここにきてぐいぐい来る!そして押しに弱い僕。


「お、落ち着こう?今2人は興奮してるから!」


落ち着かせようとしましたが、火に油。


「私たちは覚悟を決めてます!」

「あとは順平さんの覚悟だけですわ?」

「その、何の覚悟ですか?」


「順平さん、女がええと、これは浮気でもない?不倫でもないですし、えっとどう言ったらいいかわからないけれど、複数の女性とお付き合いするのを許容してるんです!」


「才村さんの言う通り、私はそれを受け入れましたわ。他の女性もです。あとは順平さんの覚悟だけですよ?こんな都合のいい話、男性にはそうそうないはず!」


僕は何とか2人を落ち着かせようとしますが、余計に興奮してしまって、そうしているうちに僕もパニックになりました。

そう、これはきっとパル▼ンテだ!ここはすることは一つ!そう、仕方ないんだ!

一度皆から距離を取らないといけません。

僕は少し考えます。いいことを思いついたので実行に移します。

「ちょっと待ってね?ええとその、これを見て?」


僕は手に何か取り出し、それを二人の前で開けます。

2人は中身を見ようと身を乗り出しています。その間に僕は、

”じゅんぺいはにげだした。しかしまわりこまれてしまった。”


うん?何故今ので逃げられないの?

ちなみに中身は宝石です。

「これは貰っておきますが、こんなので逃げられると思ったら大間違いですよ!」

「甘いですわ順平さん。男なら潔く!」


いや何か違うよ!


ですが今の彼女らには正論は通じなさそう。逃げても何故か素早く回り込まれますし。


ここは思案のしどころです。

そう思ったのですが、泉がさらっととんでもない発言をします。

「無駄ですわ順平さん。何故なら、私も未来視を使えるので、順平さんの行動は全てお見通しですわ。」


うわ、あのスキル色々問題あるはずなのに、泉はいつの間に使いこなしたの?


だが、まだ何かあるはず!あきらめるな僕!

僕は高速思考と並列思考を駆使し、考えます。

しかしどうやら友郁も泉も持っているらしく、こんなスキルまで渡してたっけ?覚えてない。というか何を渡したのか全く覚えてない?これはこれで問題が?


「順平さん、残念ながらそれも無駄ですよ?」


色々考えた結果、どうやら逃げ場はない様子。

くっ!ここまでですか。


そして気が付けば、アーダさん達まで僕の周りにいるではありませんか!いつの間に!


そして今更ですが、順平は気が付きました。

時すでに遅し!


既に外堀は埋められ、内堀もなくなっていました。


あ、大坂の陣ですかそうですか。

確か外堀をちょっとだけ埋めると決めたのに、家康がどさくさで二の丸まで埋めてしまったやつだよね。坂城は堀が事実上なくなり丸裸同然。



ああ・これがそうですか。


ここにきてついに、順平は陥落してしまいました。

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