第209話 油断

友郁と泉が、それぞれザーラ姫とアーダさんを引きはがしてくれます。


「全く油断ならないわ!」

「くっ!隙だらけだったのでな、つい。」


泉がアーダさんに悪態をついています。

「もうしないで下さいよ?人前なのですから。」

友郁がザーラ姫を諭すように言っているけれど、

「わかったわ!人前では控える!」

何かが違う気がしますがそれでいいの?


そう思っていると、

「いただきますわ!」


女性陣が皆僕を見た?というか声の主と僕を?


”火炎の罪”のメンバーや、その所属のクランのメンバーもみな事の成り行きを見ていたみたいで、


「常山様!私にも機会をお与え下さい!」


ええと受付のお姉さんだよね?

無警戒だった彼女を止める者は誰もおらず、その、彼女は僕の首に抱き着いてきて、不意を突かれて僕も固まってしまったのですが、僕はその、受付の方に口をふさがれました。もちろん彼女の口で。


そして彼女は、恋人とかわす口づけとは全く違い、目が真剣でした。

え?彼女とはそういった口づけとか、そんな関係じゃなかったよね?そんな素振りもなかったと思うのですが?

少し顔が離れ、


「私、常山様に恋しました。結婚して下さい!」


え?いきなり求婚?


友郁が慌てて駆け付けます。

「あ、え?どうして?」


「あ、才村様、私も妻の一員として受け入れていただけませんか?」

「え?」

「え?まさかまだ常山様とご結婚なさっておられなかったのですか?」

「けけけけ結婚!とんでもない!確かに私は順平さんの恋人ですけど!エッチもしましたけど!まだ早いというか!」


友郁、いいのでしょうか?さらっと爆弾発言しちゃってるよ?

気が付けば受付のお姉さんは、友郁と泉、更にはアーダさんとザーラ姫に囲まれています。


「ヘルトラウダ、我も口づけはしておらぬのだ。それに、まさか結婚の申し込みをこの場でするとは。」


「アーダ様、申し訳ございません。皆様との差は絶望的でしたので、こうでもしないと差が埋まらなくて。」


ヘルトラウダって言うんだこの女性。初めて知りました。


そして友郁ですが、


「結婚。私が順平さんと結婚・・・・」


もしかして結婚に対してこだわりがあるのかな?


「順平さん、私と今すぐ結婚しましょう!」

「ちょっと待って友郁、落ち着こう?」

「これが落ち着かずにいられますか?」


うわ!これめっちゃ興奮してるよね?


そう思っていたら泉までもが、

「順平さん、いつまでも逃げていないで、そろそろ覚悟をして下さい!もう私達に手を出したのですから、責任取って結婚を!」


「泉、君まで、ちょっと落ち着こう?」

こんな時どうすれば?

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